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2025.10.23
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今日は唐津に来ています。 といっても、鍋焼きうどんで思い出した30年以上前のお話です。
バイクで訪れた秋の風が心地よく、鏡山の展望台までの道のりも、どこか懐かしい気配に包まれていました。
駐車場のすぐそばに、昔ながらのお土産屋兼食堂があったのを思い出します。

店の入口には「鯉の餌あります。〇〇円」と書かれた手書き看板。
袋入りの麩が山のように積まれていて、店の奥には池があり、鯉がゆったりと泳いでいました。
軒先には何かがゆらゆら揺れていて、風に吹かれて旅人の心を和ませてくれたものです。




店内に入ると、右手には唐津らしい箱詰めのお菓子が並ぶ棚。
「松露饅頭」「丸ぼうろ」「呼子のいかせんべい」など、素朴で懐かしいパッケージが並び、旅の記憶を持ち帰るための宝物のようでした。
中央には冷蔵庫が鎮座し、瓶入りのラムネやアイスキャンディーがぎっしり。
その上にはポテトチップスの袋が無造作に積まれていて、まるで昭和の雑貨屋そのもの。

食堂スペースは奥にテーブルが二つ。
ジャンバー姿のライダーが湯気の立つ鍋焼きうどんをすすっていたのが印象的でした。
私も席につき、同じものを注文しました。

ほどなくして運ばれてきたのは、銀色に輝くアルマイト鍋。
その中で、黄金色の出汁がふつふつと湯気を立てていて、見ただけで心がほぐれていくようでした。
具材は、ちくわ、油揚げ、生卵、そしてふわふわの麩。
割りばしと一緒に白いレンゲが添えられていて、なんとも言えない安心感。



※画像はAIによる生成(Gemini使用)

まずは出汁をひと口。
昆布と鰹の旨味がじんわりと広がり、ほんのり甘い醤油の香りが鼻をくすぐります。
湯気とともに立ちのぼる香りは、まるで旅の疲れを包み込むような優しさ。
その出汁を吸った麩は、ふわふわとした口当たりで、噛むとじゅわっと旨味が広がり、まるでスポンジのように味を抱きしめてくれます。


油揚げは甘みが強く、出汁の中でとろけるような柔らかさ。
その甘さが全体の味をまろやかに包み込み、まるで煮物のような存在感を放っていました。

そして卵。
黄身がとろりと溶け出す頃には、鍋の中がまるで小さな宇宙のように感じられました。
白身はふんわりと固まり、黄身は出汁と混ざり合って、まろやかさとコクを加えてくれます。
麺は太めで、もちもちとした食感。
アルマイト鍋の保温力で、最後まで熱々のまま食べられるのが嬉しく、ひと口ごとに湯気が立ちのぼり、顔を包み込むようでした。


※画像はAIによる生成(Gemini使用)

麺をすすりながら、ふと窓の外に目をやると、鏡山の緑が広がっていました。
唐津湾は見えなかったけれど、山頂には静かな池があり、そこでは鯉がゆったりと泳いでいました。
食後に池をのぞき込むと、麩を投げるたびに鯉が水面を揺らし、まるで「また来てね」と言っているようでした。

あれから30年以上が経ち、あの店は閉店してしまい、今ではおしゃれなレストランに変わっているようです。
でも、私の記憶の中では、あのアルマイト鍋のうどんは今も湯気を立てている。
旅の疲れを癒し、心をほぐしてくれる、昭和の味そのものとして。



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最終更新日  2025.10.23 20:19:14
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