真理探究と歴史探訪

真理探究と歴史探訪

2008年08月01日
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そして本日、その御本殿を拝観して来られた知人から連絡があり、その会話内容から新たに気づいた点などを記しておきたいと思う。

その知人は開口一番に、御本殿の天井に描かれた「八雲」の図(画像の右上の絵図)のことを話された。その躍動感にあふれる「雲紋」は、まるで生きているような印象を受けたそうである。画像の絵図を見てもらうと分かるように、「八雲」の図とされていながらも描かれている「雲紋」の数は七つということで、それが何故なのか拝観時の説明を聞いても判然としなかったということであった。

それで私なりの推理を知人に披露することになったが、以下に掻い摘んで記してみよう。

7月27日の日記では、「大国主大神」という神名の本質は「北斗七星」としたが、その推察から天井の七つの雲紋も「北斗七星」と考えられる。つまり、大地を司る「オオクニヌシ」は、地上から天上に昇る「北斗(昇り龍)」のイメージ、そして天井に描かれた「八雲」は、天上から地上に降る「北斗(降り龍)」のイメージと、私には上昇と下降の陰陽抱き合わせの「北斗七星」が神殿内に立体的に配置されているという印象であった。

そこで、なぜ「八雲」なのに「七雲」なのかということだが、この点に関しては、京都は空海さんのお寺として聞こえた「東寺」の寺紋である「八雲紋」が参考になろうかと思う。その「八雲紋」の図柄とは、中央に一つの雲紋を置き、その周囲に(中央の雲紋よりも)小さな七つの雲紋を七角形状に配置してある紋章で、寺内の僧侶に伺うとやはり「(八雲立つ)出雲」に由来する寺紋ということであった。それを暗示するように境内には、(社名は忘れたが)出雲系の神社が鎮座していたのを覚えている。

いずれにしても私は、この東寺の「八雲紋」は不思議な紋章だなと思いつつも、中央の大きい雲文が「北辰(北極五星)」であり、周囲の小さい七つの雲紋が「北斗七星」の、「北辰北斗」に対する信仰が伺える紋章だろうと、おぼろげながら認識してきたことは事実である。
(参考記事・2005年6月29日の日記)

ちなみに、真言密教の東寺では、「北斗法」といって壇場を設け、「一字金輪」を本尊とした「星曼荼羅」をかけて、延命または除災のために「北斗七星」を供養する修法が執り行われてきた寺としても著名である。




すなわち、「八雲」の雲紋をひとつ隠して「七雲」としたその心とは、御神殿の全体を支える大黒柱でもある「心御柱」に、その中心としての大きな雲紋の役割(すなわち「北辰」)を託し、その周囲を巡る「北斗七星」を強調したかったのではないか・・・と読み取れたのだが、果たしていかがなものであろう。

そしてそれは、御本殿の北西に配祀された「御客座五神」からも類推できる。この7月27日の日記では、この五柱の神々の本質を「北極五星(北辰)」と推理したが、そこに「北辰」たる「五柱の神々」を御客座(お客様)として迎えたかたちにして、主祭神の「北斗七星」たる「大国主大神」を祀るという配祀の佇まいを読み取ることができる。

つまり御本殿には、大地から上昇する北辰北斗(御客座五神と御神座)と、天空から下降する北辰北斗(心御柱と八雲)が、北斗七星(御神座・八雲の図)を主体として配置した祭祀空間と認識できるというわけだ。


※1、画像の「八雲」の図のなかで、「心御柱」の下に大き目の雲紋があるが、これは北斗七星の第4番目の星と想定され、中国古代の北極図などを見ると、「北辰」との関係で北斗七星の中心的役割を担う星とされているところから、他に比べて少し大きく描かれたと推理した。

※2、七つの雲紋のうちで、ひとつだけ尻尾の向きが逆になった雲紋(左上)があるが、これは北斗七星の第一番目の星と推定でき、「北辰」を見つけるための目星の星であるために、別格扱いの表現になったではないかと推理した。

※3、この「雲紋」については、同じ水神(龍神)系の「巴紋」と同様に、先が細くなった尻尾の方に強い霊力があるとされ、その意味で逆向きの雲紋以外の六つの雲紋は、大国主大神を祀る御神座の向かう方向と同様に、「西向き」と考えることができる。(もちろん、別の解釈をすれば「東向き」ととらえることも可能だ。)

※4、この「八雲」の図を「北斗七星」として、全体を「柄杓」に例えるとすれば、「杓」の部分が図柄の下方にあって、「柄」の部分が図柄の右側上部にあると想定できる。先述したように「北斗七星」を「剣」に見立てると、その剣先の部分に相当するのが御本殿の「上段」の天井に描かれた二つの雲紋であろう。(残る五つの雲紋は「下段」の天井に描かれている。)刀剣の世界においても、持ち手の頭部よりも尻尾の剣先に強い霊力が宿るとされることから、北斗七星の剣先部分と想定される二つの雲紋が上段に描かれたのであろう。

※5、図柄の左側最上位にある雲紋、つまり刀剣の切先に相当する星は、北斗七星では「破軍星」とされており、「三国志」において、蜀の軍師である諸葛孔明は「破軍星に向かい兵を動かせば敗北し、破軍星を背にして兵を動かせば勝利する」と説いているほど、北斗の中で最も重視された星だということがわかる。


ここでさらに、「北斗七星」と「雲紋」の因果関係を示す根拠として、「七星剣」が挙げられる。現存する「七星剣」には、四天王寺伝来の「聖徳太子御所佩の剣(国宝)」・正倉院の「呉竹鞘杖刀」・法隆寺金堂の持国天の模造七星剣(銅製)などがあるが、それらの刀身には「雲紋」と「北斗七星」が、まるでセットのように抱き合わせて刻まれているということだ。



以上述べてきたように、出雲大社御本殿の内部構成は、その背景に〔富士─出雲の太陽信仰の東西軸〕もあるのだが、「北辰北斗」への信仰・・・とりわけ「北斗七星」に対する信仰を色濃く投影した祭祀空間だと認識できる・・・と、このような推論に至った次第である。


特別拝観では、御本殿の内部だけではなく、その周囲も巡ることができるそうだ。知人の話では、一行が御本殿の東面を巡る際に、突然パラパラッと雨が降ってきたそうである。その知人と同行した感性の豊かな方も・・・龍神さんのお出迎えを受けた感じがした・・・ということであった。そういえば龍神は、「北斗七星」の天体運行をデフォルメして表現した絵図だとする見方がある。







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最終更新日  2008年08月06日 08時55分40秒


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