真理探究と歴史探訪

真理探究と歴史探訪

2008年11月01日
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山陽自動車道の岡山インターから降りて、まず最初に訪れた場所は、備前国一の宮「石上布都魂神社」(いそのかみふつみたまじんじゃ・岡山県赤磐市石上)であった。

※実は備前国には、「一の宮」と伝わる神社が上記の神社を含めて三社ある。他の二社とは、「吉備津彦神社」(岡山市一宮)と「安仁神社」(岡山市西大寺)である。以上の三社のなかで、一般的には「吉備津彦神社」が備前国一の宮とされている。


最近のブログにおいて、「剣」にまつわる濃い内容をシリーズで綴ったこともあったのであろう・・・、いかにも迷ってしまいそうな山奥の細い道に内心たじろぎつつも、まるで導かれるようにして上述の式内社「石上布都魂神社」に辿り着くことができた。

神社近くの駐車場に停車して、フト時間を見てみると、時計は何と!ジャスト「午前10時」を示していた。この「十」という数は、特に意識してきた数でもあり、またこの神社の祭神が「十拳剣」の御稜威と知っていただけに、これはまさしく「神様のお導き」と実感した次第。

麓の駐車場から蛇行した坂道を上り、御神前にて拝礼を済ませた。そして、かつては神殿があったとされる山頂へ向かった。その「大松山」という山頂部に、現在は本宮と呼ばれる小祠があり、これを映した写真が今日の画像である。

写真に映った小祠の背後には岩場地帯があり、古代より磐座(いわくら)信仰の遺跡として禁足地とされている。なるほどその山頂部の岩場を見渡せば、おそらくは縄文時代あたりから連綿と、この地域における信仰の聖地として祭祀されてきたのでは・・・と、そんな想いが自ずと浮かぶような、古式ゆかしき佇まいを醸し出していた。



さて、この「石上布都魂神社」の御祭神は、現在は「素盞鳴尊(スサノオ)」とされているが、明治まではスサノオが八岐大蛇を斬った「布都御魂(フツノミタマ)」という神剣であったと伝わる。

つまり、明治まで祀られていた御祭神の「布都御魂大神」とは、御神体である「布都御魂剣(ふつのみたまのつるぎ)」に宿る神霊ということであり、明治以降(明治6年頃)になってから御祭神が「素盞鳴尊」に変更されたようだ。



このうち「十拳剣」と「十握剣」は、その剣の長さをあらわす表現とされ、長剣であったことをうかがわせ、また「蛇の鹿正」や「韓鋤の剣」は、朝鮮半島からもたらされた剣ということを意味しているとのことだ。

実はこの神社をはじめて知った時にまず驚いたのは、この備前国の「石上布都魂神社」は、大和国の名神大社「石上神宮(別名・石上布都御魂神社)」(奈良県天理市)の元宮とされているということだった。

日本書紀によると崇神天皇の時代に、備前国「石上布都魂神社」の御神体の霊剣は、大和国「石上神宮」へ遷されたという記述があり、このことは石上神宮の社伝にも記されているということである。

この歴史的経緯を知って、私の心に込み上げてくるものがあった。それは、石見国一の宮「物部神社」(島根県太田市)が、古代氏族「物部氏」の大元とされる根拠地のひとつであり、その後に大和国への氏族の移動があり、現在の天理市にある「石上神宮」を創建することになった・・・。

上述した歴史の流れを読み取ると、石見の「物部神社」から大和の「石上神宮」へと物部の氏族が移住していく過程において、その中間拠点に設営した「心の礎」として、備前の「石上布都魂神社」を見出すことができるということだ。
(※備前国一の宮「石上布都魂神社」の宮司家は、代々「物部」の姓ということである。)


ここでさらに思い出したのは、秋田県大仙市の「唐松神社」である。6世紀の中ごろ、いわゆる蘇我氏の仏教勢力と物部氏の神道勢力との宗教的対立によって、結果的に物部氏の本家は、大和の「石上神宮」から遠く秋田方面まで移動することとなり、居住地を定めて祭祀の場としたのが「唐松神社」ということであった。

今から2年前の今頃、数名の知人と共に東北地域を巡った時の最後の訪問地が、その物部氏ゆかりの「唐松神社」であった。幸いにも参拝時には、物部本家の宮司にもお会いすることができ、親しくお話をさせていただいたことを思い出しつつ、日本列島を股に駆けた命懸けの氏族の移動を垣間見る思いがした。



ところで「刀剣」と言えば、「備前物」が有名である。往時の備前は全国の約半数近い刀工をもち、平安時代から幕末に及ぶまで多くの名工を輩出しており、その鍛え抜かれた「刀剣」の質の高さは言うまでもない。

その全国に名を馳せた刀工たちの心の拠り所が、おそらく備前国一の宮「石上布都魂神社」だったのではあるまいか・・・。歴史を調べると、天武天皇の治世の頃に、それまでの「吉備国」は、「備前」・「備中」・「備後」の三国に分かれたということだ。興味深いことに、この備前の「石上布都魂神社」は、「吉備国(備前・備中・備後)」のほぼ中央に位置する。

またここで、大きく吉備国の地域一帯のの特産物を、素材として挙げるとすると「鉄」である。その原料たる「砂鉄」を精錬して「玉鋼(たまはがね)」とし、これを鍛え上げ磨き抜いて、「鉄」の持つ美的な要素を最大限に引き出した「道具(工芸品)」が、日本を代表し世界に誇る備前物の「刀剣(日本刀)」だといえよう。







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最終更新日  2008年11月01日 15時16分34秒


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