そのヒスイの硬玉産地を散策する前に、岩壁の崩落によりヒスイが産出したとされる「明星山(標高1,188m)」の全体像を見てみたいということで訪れたのが、白馬山麓国民休養地であった。
そこで冒頭の画像は、その休養地内にあって「高浪の池」を眼下に望む展望台から、そそり立つ独立峰の「明星山」を撮影したものだ。(※下の画像は展望台にあった解説版)
ちなみにこの「明星山」は、約3億年前の珊瑚礁が移動してできた石灰岩の山だそうである。
曲がりくねった細い道を気を付けながら運転して、「明星山」の大岩盤の下方にある「小滝川ヒスイ峡」に到着。石灰質の岩肌が剥き出しの大岩盤を含めて、「小滝川硬玉産地」の全体像を撮影した画像が上だ。
もちろん安全な場所が硬玉産地として指定されたのであろうが、この画像を見ていると今にも上から大きな岩石が落ちてきそうな圧倒的な迫力だ。現地ではヒスイ原石との響き合いがよほど嬉しかったのであろう・・・例えば落石の不安などは微塵も感じなかったのは、当時を振り返ると不思議なくらいである。
上の画像の解説版に映る写真の、矢印で示されたヒスイ原石の数々に、現地では少し近づいて映したものが下の画像である。解説版の画像と実物を見比べつつ、深くて水量の多い川に阻まれ直接触れることのできない原石群を展望するのであった。
次に下の画像は、指定された国の天然記念物の範囲の上流から、ヒスイ原石の数々を含む下流域を撮影したものである。童心に帰り、岩と岩の間をピョンピョンと飛びながら移動したりして、剥き出しの自然と戯れることができ、とても充実した一時であった。
名残惜しくも「小滝川硬玉産地(小滝川ヒスイ峡)」を後にして車を走らせていると、とんでもなく尖った山岳が目に入った。そう・・・冒頭の掲載画像に映る、あの大岩壁を孕む「明星山」である。
しばらくすると、この大岩壁を近場で展望できる施設があることがわかり、その展望台から撮影した画像が下である。
これは私が今まで見た岩山のなかで、おそらく一番大きな「尖り」である。この地を訪れた私の感想は・・・日本の国石「翡翠(ヒスイ)」が産出する現場は、言語を絶する秘境にあった・・・である。
ヒスイ峡で原石群と触れ合った後は、この機会に是非訪れたいと思っていた「島道鉱泉」(糸魚川市島道)の泉質を体感すべく、日帰り入浴も可能な湯治場に向かった。
自噴する天然ガスを使った源泉掛け流しの泉質を、ただただ実感してみたいという想いが動機であった。
その地は、ヒスイの女神と詠われる「ヌナカワヒメ」の伝承が色濃く残った、山奥の侘びた温泉施設(大正12年・創業)であった。
大人四人が一緒に入れるかどうかの小さな湯船であったが、有り難いことにその時間帯は貸切状態で湯浴みを楽しむことができた。大自然に磨かれた冷たい源泉水を何度も口に含み、湧き出る「水」の質がおそらく極限にまで昇華した「湯」を心身に浸透させるべく、これでもかと体全身で浴びたことを憶えている。
お陰さまで、その贅沢な湯浴みによって、自分の内外に滞留していたものが静かに排出されていく爽快感があり、その余韻は帰宅後も数日間続いたので、この知る人ぞ知る秘境の名湯はお勧めである。
さて、最後の締めくくりの道程は、島道鉱泉に近い能生ICから高速に乗って塩尻ICまでの遠距離であった。果たして飛行機に間に合うかな・・・と内心ヒヤヒヤしながらも安全運転を心がけ、ついにJR塩尻駅でレンタカーを返却、そしてタクシーで松本空港へ急いだ。するとフライト前の集合時間に、ギリギリ間に合うのであった。
(つづく)
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