怪獣亭非日常

怪獣亭非日常

2007.09.10
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カテゴリ: 怪獣秘宝館

『サンダーマスク』の魅力は登場人物の「ボケ」にある。
『サンダーマスク』のほとんどの登場人物はひたすらボケまくる。
しかしながらツッコミする人間がいない。なので観る方がツッコミを入れていかないと収拾がつかなくなっていく。
そういう意味ではボケとツッコミの概念が一般にも広く理解された今でこそ『サンダーマスク』は観る価値があるのだ。

今回紹介するのは第6話『東京砂漠だハカイダー』。
脚本は上原正三、監督は田中進。
タイトルからしてツッコミたい・・まるで 内山田洋とクールファイブ が歌いだしそうなムード歌謡を連想させる・・・しかも ハカイダー って・・。
(ただし『人造人間キカイダー』※注)の37話でハカイダーが初登場したのは73年3月24日。サンダーマスクの最終回の3日前。本話から5ヶ月先の話である・・念のため。)

※注)考えて観るとキカイダーもハカイダーもビジンダーもワルダーも・・・魔獣ハカイダーのネーミングセンスと何らかわる所ないんだよね。

魔王デカンダの命令でサンダーマスク抹殺と東京の砂漠化を使命として地球へむかった魔獣ハカイダー。原色怪獣怪人大百科(第2巻)によると出身地は 鳥取砂丘 なんだけども・・。
手足頭を隠し卵状の金属の塊として地球に到着する。

早速宇宙考古学研究所と科学パトロール隊が現場に急行する。
何故このメンバーなのか・・はいってもしょうがない。
ガイガーカウンターみたいな機械で金属塊を調べる命光一。
地球上の物質ではない事を看破し爆破を進言する。
この際、科学パトロール隊の藤隊長は光一のやりとり。
「地球上の物質じゃない」
「どうすりゃいいんだ」
「爆破するしかないでしょう」
「爆破か!」
この会話、科学パトロールが専門分野の宇宙考古学研究所に意見を求めて従っているようにみえるが実は以降にも頻出するとおりこの藤隊長は基本的に主体性がなく人の意見にいいなりである。で変なところに依怙地で次回では状況を悪化させるのだがそれはまた別の話。

ダイナマイトで爆破される金属塊。しかし金属塊は巨大化しハカイダーとなる・・・。
・・・ってこの一連の金属塊偽装の流れ、良く考えると偽装の必要すらない。
とっとと暴れたらよろしい。

光一、ずっと手にしていた(置けばいいのに)機械を藤隊長に押し付けるように渡しちょっと前にすすんで変身・・・砂嵐の中とはいえ正体ばれそうなんだけど・・ハカイダーと対峙する。ハカイダーの第一形態はフットボール状の鉄塊の股間に顔があり脚だけが生えている姿。実は亀のように上部の頭と両手を隠しており油断したサンダーマスクの頭と脚両方に噛み付く。この噛まれているサンダーマスクの唸り声が痛くて痛くて堪らないという感じ。この件り噛み付かれ押されただけで倒されたようにみえて情けない。
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サンダーマスクのいなくなった東京をハカイダーは蹂躙。噴出す砂とバリバリビルを食うことでで街は一夜にして砂漠と化していた。
「やつは ビルが好物なんだ
「冗談じゃない東京には何万というビルがあるんだ!」
・・・・ビルが好物というのも微妙な表現だけどコンクリや鉄を食べて砂にするという所からすると妙に説得力のある会話だ。

重傷を負った光一は病院に運ばれるが医師は「 クスリが効かないので責任を負いかねる 」と匙を投げる。
サンダー星人にはクスリが効かないらしいのだがこの台詞、第一話で矢野警部が警護を放棄して責任を負いかねると言う件を思い出させる・・・上原正三は警察や医師の無責任ぶりを弾劾したかった・・・んだと思う・・どうだろ・・。

光一は高瀬姉弟に頼んでタイムカプセルで傷を癒す事を選択する。
「大分時間がかかりそうだ・・」という台詞がまた 1万年位眠りそうで 不安を掻きたてる。

姉弟が宇宙考古学研究所に戻るとスクリーンにデカンダが映し出されて

ハカイダーの餌にちょうどいいからサンダーマスクの死体を差し出せ
デカンダはこの後差し出された死体のはずのサンダーマスクが生き返ってたいそう驚く姿も描かれるのだが・・デカンダがいる限り地球征服が上手くいくとはとても思えないなあ。
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「サンダーマスクでも敗れた相手だ。どうやってやっつけるんだ・・」
相変わらず何も考えてない藤警部。
研究所員であるお調子者の六本が考えた「ハカイダーに 風船をつけて海にとばして爆破 してしまう・・という作戦(といってよいのか悩む)」にとすぐさま賛同。
「ひょっとするとうまくいくぞ」「旧日本軍は昔アメリカに風船爆弾をとばしたことがあるんだ」大分違う気がするのだけれど・・・。
あっという間にハカイダーに5個ほどの大型気球をくくりつけるという作戦が実行されるのだった・・・ああ。
おとなしく気球を括りつけられるハカイダーもハカイダーだが。
空にプカプカ浮いた(ハカイダーの体重は前掲書によると6万1千トンで他の魔獣に比べて頭抜けて重いのだが・・)のも束の間大方の予想を裏切らずジェット推進で戻ってくるハカイダーなのだった。

翌朝。
サンダーマスクは死体のふりをしてデカンダを油断させ変身。
ハカイダーと組み合うもその怪力に苦戦する。
その戦いの最中藤隊長がひとこと
駄目だ、勝ち目がない・・
何てあきらめがいいというか役に立たないんだ、パトロール隊。
せめて努力の跡をみせてほしいぞ。サンダーマスクも懸命に戦っているのに。

苦闘の末等身大になったサンダーマスクはハカイダーの口に飛び込み体内で二段変身することで強敵を葬る。体内での巨大化で内側から弾けるハカイダーと出現するサンダーマスクという図が中々カッコいい描写になっている。発砲スチロールが舞ってる?それがいいんだって。

最後に藤警部が光一に今までどこに行っていたのか尋ねるシーンがある。
この騒ぎの最中、なおかつ死にかけていた人間が信州の山奥の温泉にいっていたという光一の答えもどうかと思うが「のんきだなー」で済ます警部も・・どっちもどっちだな・・。
特撮ヒーロー作品において防衛組織は役に立たないものと相場が決まっているがせめて武器の強化とそれ以上にしっかりした人材の確保が急務ではないかと考えさせられる。
やっぱり「 パトロール 」じゃ怪獣を相手には出来ないなあ・・・。

次回「地球の油を吸いつくせ」では依怙地になった藤警部が大暴れ。ニトログリセリンで魔獣を吹き飛ばす「恐怖の報酬」ばりのサスペンスが展開・・しない・・・こいつはスゲエぜ。






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最終更新日  2007.09.11 02:03:04
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