2005年01月12日
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昼の12時になると運転手のB君がやってくる。昼食に出かけるためだ。そうかもう昼か。腰を上げようとすると、B君は何かモジモジとしてる。何だ。「マイサバーイ、頭痛いです。」風邪でも引いたか。「セウェン、いいですか。」ふん。思わず鼻で笑った。自分からセブン・イレブンにパンを買いにいくというのか。車で5分ぐらいの距離、彼にひとりで行かせると30分ぐらいかかる。まあ良いか。100バーツを渡した。待っていた。なぜか10分足らずで帰ってきた。マイサバーイ、だよな?「マイサバーイ。」ふん。また鼻で笑った。

昼休みだけれどパンをかじりながら急ぎの仕事をしていた。資料のコピーが必要なのに気付いた。設計室を出て、エントランスに隣接している総務のオフィスに向かった。昼休みとあって、エントランスのガラスドア越しに、従業員が卓球で遊んでるのが見える。ドアはスモークガラスなので中から外は見えるが、外から中は見えない。コピー機のスイッチを押してふと見ると、卓球してる連中にB君も加わっている。

非常に生き生きと楽しそうに卓球を楽しむB君。つい10分前にはマイサバーイで頭痛いから昼食はセブンイレブンのパンで我慢してくれと言っていたB君。信じられないほど素早く帰ってきたのは、すでに買ってあったということか。少しは知恵がついたな。エントランスのガラスドアを開けた。ちょうど正面にB君がいる。彼は自分を見つけ、一瞬、動きが止まり表情が凍りついた。ドアを閉め、出来たコピーを持って席に帰った。

言い訳するわけでも、謝るわけでもない。さも当たり前のようにしている。もちろん良心の呵責など、微塵も感じていないだろう。怒られず何も言われないことで安心しているに違いない。もちろん何も感じていないから何も言わないわけではなく、彼に何を言っても無意味だから言わないだけだ。小学生以下のような嘘を平気でつける。自分のことしか頭にない。このクラスのタイ人は、そういう生き物だ。人間としての誠実さとか信頼とか求めてはいけない。同じ人間として接すれば、誤魔化されたり騙されたりするのは間違いない。

彼を自分たちと同じ『にんげん』だと勘違いしていたころは、「マイサバーイ」と言われれば本気で心配したりもした。しかし今の彼は自分にとって車の一部分と同じ、壊れたら取り替えるだけだ。替えはいくらでもある。





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最終更新日  2005年01月12日 12時48分10秒
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