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背後で 化鳥のように けたたましく叫び声をあげる サバツ
を尻目に
ポーチ
は コバンの下に素早く駆け寄った
「おいっ コバン しっかりしろっ!!!」
コバン の両肩を掴み激しく揺さぶるも 返事は無く 呼吸さえも微弱に感じられる
(は・・はやく 治療しなくては・・・)
焦る気持ちが大量の発汗を呼んだ・・・
自らの命さえ薄氷を踏むような状況で 意識を失った コバン
に加え
泥の様に眠る女性をも救う事は事実上不可能である
「くっ・・・・・」
ポーチ
は 浅く唇を噛む・・・
「姉さん達!!! 起きてくれ!! どうしちまったっていうんだよ!!!」
必死で叫び続けるも 二人の反応は無い・・・
(あのスパイスワームの効果だって そう長続きしないっていうのに!)
背後では 瞼と鼻腔を真っ赤に染め 必死の形相で粉末を取り払う サバツ
の姿が視界を掠める
「ゼェ ゼェ・・・ 待っていろよ
て・・てめぇの一物を切り取って 自分自身・・・に喰らわせてやるからな・・・」
サバツ
の脅しが 結果としてポーチの覚悟を呼び込んだ形となった
「しゃっーーんめぇ!!!」
傷つき横たわる コバン
を背負い それだけには留まらず
傍らに眠る彼女の腕を自分自身の肩に回し一気に立ち上がる
峨嵋刺
が食い込んだままの左肩と 腰部が猛烈に悲鳴をあげた・・・
「ぐぅぅ・・・・・ お・・・重い・・」
調理をする際 アプノトス
の巨大な肉片を軽々と扱うポーチでさえ
3人の重量は生半可なものではない
覚束ない足取りで 扉へ向け足を運んだ・・・
命の危機が迫るとき 人は思わぬ力を出す事があると聞く
まさに ポーチ
の状態がそうであったろう
一歩 また一歩とゆっくりとした足取りであったが 3人を抱えたまま歩みを続けた・・・
もう数歩を残す距離まで辿り着いた時に 奇跡の行軍は終わりを告げた
ポーチ
の左太腿に 耐え切れぬほどの痛みが疾り抜け
それが呼び水になったのであろうか 4人はその場に倒れこんでいた
「ぐ・・・・・ こ・・・これは・・」
冗談のように ポーチ
の左脚から生えてる物は
自らの左肩に撃ち込まれた物と同様の針であった
「ククククククッ どこに行くつもりだよ お前・・・
まさか黙ってこのまま トンズラかます気じゃねぇだろうな・・・・」
サバツ
の様子から 未だ本調子では無いものの 薄っすらとは見え始めたようだった
「舐めた真似しくさりやがって・・・
自らの口で死を哀願するほど切り刻んでやるよ・・・」
唇をゆっくりと吊り上げる仕草は 人の死を至上の喜びとする タナトス(死神)
そのものだった
もう奇襲は通用しないだろう・・・・
寸刻みに刻まれ ファンゴの餌にされる自分自身を想像し怖気が全身を包む
残された手立ては無かっ・・・ いや 一つだけある!
自らも助からないかもしれないが 寸刻みでファンゴの餌にされるよりは人間らしいかもしれない
「あんた マンドラゴラって知ってるかい?」
唐突も無く ポーチ は話し始めた
「クククククっ 今更 命乞いは無しにしようや・・・
これだけの事をして ただで済む訳ねーだろう・・・」
サバツ の言葉を無視したかのように更に話を続ける
「10年に一度咲くと言われ その価値は同じ重さの黄金に
匹敵すると
言われてるんだよ・・・ 市場はおろか 国中探したって出てきやしない代物さ」
「ククククククッ 生憎 俺は金じゃ動かねぇ・・・ もう戯言は終いにしようや」
「その味は天上界の神々でさえ とろけちまうって言うんだから想像が出来ないだろ?」
「マンドラゴラと 黄金魚の素材を使った料理を作る事が
料理人としてのオイラの生涯をかけた夢なのさ」
ポーチ の話が終わらぬうちに 視認すら不可能な速さで黒い陰が4人へと飛翔した
漆黒に染められたトマホークの刃が 唸りをあげて ポーチ
へと襲い掛かる
「姉さん達! コバン! すまねぇ!!!」
ポーチは ビストロ服
の裏地に丁寧に縫い合わされた野草を躊躇すること無く眼前に掲げ
茎の中心部に浮かびあがる 人面疽(じんめんそ)
を 渾身の力を込め引き千切った!!!
ギャアアアアアアァァァァァァァァァァァァァ !!!!!!!!!!!!!!
人面疽(じんめんそ)の口から この世の物とは思えぬ程の悲鳴がほとばしった!
聞くもの全てを殺してしまうと言われる伝説の絶叫だった
続く・・・・・・・
後記・・・
次回で 詳しく説明しやすが モンハンの世界では秘薬の一部として
使われるだけのマンドラゴラ これは伝説の植物でもあり 実在の植物でもあるっす
古くは錬金術の時代から存在し 実在のマンドラゴラも麻薬的成分を含む事から
伝説が生まれたのかもしれません
モンハンの世界でも 調合は日常茶飯事で 錬金術っつうスキルもあることから
マンドラゴラも 一概にかけ離れたパラレルワールドでは ないやもしれないっすね
画像は 伝説上のマンドラゴラっす
