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不老不死
それは 滅びという名の必然を 魂の根源に刻み込まれた生物が見る夢なのかもしれない
数多くの術者達が その運命にあがない 覆そうと 己の命を代償として挑んだが
ある者は 志半ばで敗れ去り
また ある者は 自らの限りある生涯を天に呪った事だろう
だが 全てが灰燼に帰した訳ではない・・・
不老不死には程遠いが ドンドルマ南方に生息する ギザミ
たとえ 手足を落とされたとしても 数日をかけて完全に復元する高い再生能力を備える
自らを復元する能力
その意味する先は 生まれいずる時から
滅びへの階段を下り続ける生体への相反する力ではないのか?
一夜にして滅んだとされる 「超魔法国家バビロン」
では
日常的に大量のギザミ種を用いて 実験が繰り返されたと伝えられる
今でこそ 世迷い事にしか過ぎぬ不老不死も
古龍と呼ばれる希少種が時折みせる再生能力は
元来 生物が持つ自己再生能力とは比べ物にならないのは周知の事実である
叩き割ったはずの頭殻が 数日と経たぬうちに復元されている状況を
驚愕をもって相対したハンターも数多いだろう・・・
リヴァイアス が見せた 自らの四指の復元は
不老不死という名の甘美な囁きに運命を捧げた術者達の
辿り着いた一つの答えなのかもしれない
その答えが たとえ 仮初(かりそめ)
のものだろうとも・・・
死渇
の刃は リヴァイアスの体に幾度となく突き刺さり 派手に血飛沫をあげさせていた
死闘を見守る観衆の多くも 死渇の圧倒的優勢を信じて疑わぬだろう
唯一人 大きな歓声の広がる観客席で
傷の手当てを行う 鬼丸
だけが真実を見抜いていた・・・
「うぬっ・・・・!?」
鬼丸 が喉の奥から引き絞る様に声をあげる
「あ奴・・・ あれだけ攻め立てられてもなお 毛筋程も その場を退いておらぬ・・・」
鬼丸の推論は正しかった
事実 死渇自身 攻めあぐねていたのである
リヴァイアス
が持つ二刀の大剣の連撃よって作られた制空圏は
長大な間合いを有し その間合いに飛び込む物全てを破砕する・・・
先程 死渇の放った一閃は 言わば 相手の一瞬の虚をつくものであり
リヴァイアスほどの剣士には 二度は通用しない
背筋の凍る連撃を掻い潜り 一刀を放ったとしても 所詮それは腰の入らぬ一撃である
リヴァイアス
の強靭な再生能力を持つ肉体に 致命傷を与える事は出来ないだろう
己の身を捨てなければならない・・・
そう 死渇
に覚悟を決めさせるほどの相手であった
死渇の鬼相を察してか 徐々に静まる観衆達
場内は 先程とはうってかわり 異様な静けさに包まれ始めていた
噛み締める奥歯
指先が白くなるほどの力が 村正
に強く加えられていく
剣圧が舞う リヴァアスの制空圏まで あと1歩
いや 半歩・・・
じりじりと二人の距離は縮まっていく
「じゃっ!!!!!!」
「応っ!!!!!」
二人の姿が重なった
続く・・・・・・