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監督 マイケル・ケイトン=ジョーンズ
製作 デヴィッド・パットナム
キャサリン・ワイラー
脚本 モンテ・メリック
撮影 デヴィッド・ワトキン
音楽 ジョージ・フェントン
出演 マシュー・モディーン、エリック・ストルツ
ジョン・リスゴー、テイト・ドノヴァン、D・B・スウィーニー
ハリー・コニック・Jr、ショーン・アスティン
本編107分 総天然色 ビスタサイズ
B-17爆撃機「メンフィスベル」号の有名な逸話を若い10人の搭乗員たちを中心に描いた青春映画でもあり、戦争映画でもある。
1990年の戦争映画で、日本公開された1991年2月当時、製作者のキャサリン・ワイラーさんがウィリアム・ワイラー監督の娘であるというのが話題になりました。 ウィリアム・ワイラー監督は1944年(第二次大戦末期)に同名のドキュメンタリー映画を撮っていて、その娘さんが同じ題材の作品を製作。
ウイリアム・ワイラー監督のオリジナル版はコスミック出版が500円DVDで発売しています。興味があるので見ましたが、42分の記録映画で、総天然色ですが色褪せている。古い作品なのでこんなものかと不足はないけれど、航空機ファンなら見ておいていいかと、それくらいの内容です。
で、1990年版「メンフィス・ベル」ですが、これは劇場公開時に見て、レンタルビデオで一度見て、それいらいの今回は3度めの鑑賞です(スターチャンネルの放送を録画したもの)。
1943年5月、イギリス本土のアメリカ陸軍航空隊(アメリカ陸軍第8航空軍)基地。
B-17Fの「メンフィスベル」号は爆撃飛行隊として24回出撃を果たしていて、あと1回、25回の爆撃任務を終えれば、みな故郷に帰れることになっています。
10人の若い搭乗員たちは最後の任務を前にして緊張気味。フランスなら楽だと言っていると、爆撃目標はドイツ本土ブレーメンの戦闘機工場だと知らされる。
ドイツ空軍の激しい迎撃が予想されるなか、爆撃隊は離陸し、編隊を組んでドイツへと飛行。
敵の対空砲火と戦闘機の迎撃にあって編隊の僚機が墜されてゆく。
目標上空に達したが、煙で目標の工場が見えない。機長のデニス・ディアボーン大尉(マシュー・モディーン)は旋回して再度爆撃コースをやりなおす決意をする。ようやく煙が晴れて指揮機のメンフィスベルが投弾、全機がそれにならって一斉に爆弾を落とす。
任務が完了して帰途につく爆撃隊を敵戦闘機が襲いかかります。
この作品は賛否両論のようです。 アメリカ軍の爆撃目標が敵の軍事施設や工場、鉄道などに限られ、市街地の一般市民に被害をおよぼすのを避けていたというのは笑止でありおためごかしだという意見。それを理由にこの映画を必要以上におとしめる人がいます。のちのドレスデン無差別爆撃や日本との戦争で東京大空襲をおこない、広島長崎に原爆を落としたアメリカが作ったプロパガンダ映画以外のなにものでもないと。
しかし、そんな単純な貧しい鑑賞しかできないのか。
この1943年当時のアメリカ陸軍航空隊がドイツ本土を爆撃する、その目標を軍需施設に限定していたというのは事実でしょう。
アメリカにはドイツ系の市民がたくさんいる。陸軍航空隊にもドイツ系の人たちがいる。「われわれアメリカ軍はナチと戦っているのであり、ドイツの民間人を相手にしているのではない」という姿勢をしめして国民感情と世論を考慮せざるをえなかったということです。
もちろん高空からのピンポイント精密爆撃が正確なはずがなく、誤爆もあるし、民間施設に爆撃がおよんだこともあるだろう、しかしそのことでドイツ系市民から爆撃反対が持ち上がることはなかったそうです。
この映画「メンフィス・ベル」は爆撃の是非を問うのがテーマではなく、その若い搭乗員10人を描くことにある。自分がその爆撃機に乗っていたらどうするか、どうするべきか、ということです。 いつ自分の機が墜とされるかわからない死と隣り合わせの生活のなかで、誰もが自分に与えられた任務として爆弾を落とすだろう、ということです。そしてその任務をやりとげて早く故郷に帰りたい、それが正直な気持ちではないのか。