読書の部屋からこんにちは!

読書の部屋からこんにちは!

2007.05.28
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カテゴリ: その他の本
この本は、小川洋子さんの講演を本にしたものです。とてもいいお話が聴けたんだろうなあと想像できるような内容でした。

その点、私はこの本にめぐり合えて本当に幸せです。読んでよかったなあと思いました。



「博士の愛した数式」が生まれ出る過程や、白紙の原稿用紙に一字一字埋まっていき、まったくゼロの状態から一冊の本が誕生する過程が、「リンデンバウムの双子」という短編を例に出して具体的に説明されていきます。
著者が繰り返し強調しているのは、キーワードやイメージというものはこちらから何か仕掛けるということをしないで、向こうからやってきたものを受け止めるだけ。
そして、その無関係に見える島のようなものに橋を渡す作業をする。つまり、島をつないで自分だけの一つの王国を造り上げるということである。
橋を渡すだけではなく、レンガを積み上げたり川や水が必要だったり、花を咲かせたり、そういう作業を想像力によってなしていく。
私などにはまったく想像も出来なかった“物語ができる過程”を、こんなに分かりやすく説明してくれた本があったでしょうか。



終章で、 という言葉が出てきます。
なんて素晴らしい言葉でしょう。
私たちは一冊の本によって、見も知らぬ他人と、言葉の通じない外人とも、またはまったく時代の違う人々とも、共通の思いを分かち合うことができるのです。本好きであることを何よりの幸せと、実感できる言葉ではありませんか。


小川洋子さんは、今までも私の好きな作家の一人でしたが、この本のおかげでますます好きになりました。





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Last updated  2007.05.28 15:45:10
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