
文楽劇場の鏡餅
昨日の続き
彦山権現誓助太刀(ひこさんごんげんちかいのすけだち)
杉坂墓所の段
毛谷村の段
ほんとうは11段とかのすごく長い話だけれど、ここだけ見ても大体の話の筋は十分わかる。
彦山の麓の毛谷村の六助は、樵だが武術の達人である。
母親が亡くなって、毎日墓参りにきているという孝心の厚い男である。墓参りをしていると、母親らしい老女を背負った浪人者がやってきて、そばで一休みをする。
男が、自分は浪人であり、もう先が短いこの母親になんとか楽がさせたい。この藩では六助という男と剣術の試合をして勝ったら、め召し抱えてくれるらしいと聞いてやってきたと話す。
そこで六助が名乗ると、母親に楽をさせたいので、なんとか試合の勝ちを譲ってくれないかと頼みこまれる。
男は微塵流の微塵弾正というものだと名乗る。
六助自身が親孝行な男なので、その気持ちに感動してじゃあ勝ちを譲ってやる承知してしまう。
男が去って、六助が水を汲みに言っている間に、幼子を抱えた老人がやってくるが、山賊に金を出せと脅され、切り殺されそうになる。
六助が戻ってこの有様をみて、山賊をやっつけるが、老人は死んでしまい、仕方なく六助は子どもを連れて家に帰る。
その後しばらくしての話
六助の家で微塵弾正との試合をするということで、試合をして約束通り六助は相手に負けてやる。
しかし、弾正は横柄で、わざ六助の額に傷をつけるなど憎たらしい態度をして、悠々と帰っていく。
六助はそれでも、これであいつも親孝行ができてよかったと喜んでいる状態だった。
子どもは幼すぎてどこの子どもかもわからないが「小父さん」と呼んでなつくので、子どもきていた着物を表にかけて、心当たりの人がくればわかるようにしてある。
そこへ旅の老女がやってきて、足を痛めたのでしばらく休ませてほしいと頼む。
気のいい男なので、老女を上にあげて休ませてやる。近頃母を亡くしたという話をきいて、老女は突然、じゃあ私を親にしてくれ、金もあると迫る。
あまり突拍子もない話なので、しばらく考えさせてくれと六助は老女を奥の部屋で休ませる。
そこへ、虚無僧がやってきて、家の前の子どもの着物を眺めている。中から見ていた六助は、尺八の吹き方で本当の虚無僧ではないであろうと呼び掛ける。
深網笠を脱いだ虚無僧は女で、お前こそうちの家来を殺して子どもを連れ去った犯人であろうときりかかる。
そこへ、騒ぎを聞きつけた子どもがやってきて「伯母さま」ととびつく。
そこで、六助は事情を説明して、名前を名乗る。
とたんに女性の態度がかわり、晩御飯でも用意しようかとか、六助にすりよったり女房気取りの雰囲気。
びっくりした六助は、お前はいったい何者だと尋ねる。
「うっかり名乗るのを忘れたが、私は吉岡一味斎の娘園というもので、父からお前は六助と言う男と夫婦になって、わしのあとを継ぐのだと言いきかされてきた。あなたは私の夫です。」
「吉岡先生は私の師匠であるが、私は村に住んで長らくお会いしていない、どうしておられます。」
ここで園のくどき
「父は某藩剣道指南役であったが、もう一人の指南役に闇うちにされ、落命しました。私と母と妹で敵討に出たが、探しあぐねてばらばらになり、妹は仇にあったが返りうちにあい死んでしまった。この子は妹の子どもです。」
奥から老女が現れ、私は一味斎の妻であると名乗る。それではこれかた仇討ちに力をあわせようというところで、近所の樵が母親が切り殺されていたと泣きながら、死体をかついでくる。見たら、微塵弾正が母だといって背負っていた老女である。
ここで六助は弾正が卑怯にも騙したことをしって怒る。
弾正の人相風体を聞いていた園と母親が、自分たちの敵の人相書きを示したところ、一味斎を闇うちした京極匠という男と同一人物だということがわかり、これから仇討ちだと気勢をあげる。
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