
桜鍔恨鮫鞘(さくらつばうらみのさめざや)
(豆知識)
もともとは、長い話であるが、現在はこの段だけが独立して上演されている。古着屋の八郎兵衛という男がなじみの遊女に愛想づかしをされて逆上し、遊女を切り殺したという実際の事件を脚色して悲劇に仕立てたもの。
鰻谷の段
古着屋の八郎兵衛は元は武士。女房お妻、お妻の母、娘のお半と幸せに暮らしていた。ところが元の奉公先の家宝の刀が盗み出されたため、その行方を探しに奔走する毎日となり、それらしい刀をみつけたが50両の金がいるということで、お妻に金策を頼む
(当時下女の年棒が3両だったそうで、50両というのは如何にも大金。しがない古着屋の女房が作れるお金ではないので、ひどい話だ。)お妻は夫の苦労を見て、なんとかして金を作ってやろうと考える。母親と相談して思いついたのが、かねてより自分に気のあるそぶりをしている金持ちの弥兵衛に結婚を承知する代わりに、50両の持参金を持ってきてほしいと条件をつける。弥兵衛は大喜びで承知し、金をもって古着屋を訪問する。さて祝言ということで奥座敷に入る弥兵衛。そこへ八郎兵衛が帰ってくる。
母親があんたのような甲斐性のない男はもうごめんだ、お妻はもっと良い男と結婚させたいので別れてくれと言う。びっくりする八郎兵衛。お妻はあらぬ方を見てうつむいている(女の辛さがわかるしぐさ。)金の切れ目が縁の切れ目別れてくれとお妻もいう 。驚き怒る八郎兵衛だったが、刀を探すため一旦家を出る。
弥兵衛は子どもお半がいては祝言の邪魔だというので、お半は外に追い出される。
再び登場した八郎兵衛はお半が外に締め出されているのに怒りを覚える。お母さんはどうしたと聞くと、男の人と寝ているというお半。逆上した八郎兵衛は家に飛び込み、でてきた母親を切り殺し、騒ぎを聞きつけて出てきたお妻も切りつける。弥兵衛はこの様子を見て人殺しと叫んで逃げ出す。そこへお半が八郎兵衛にとりすがり、お母さんから父さんに言うように頼まれた言伝があると、たどたどしく語り始める。
私は、無筆ゆえ子どもに書き置きを伝えます。あなたがお金の工面に苦労しているので、母親と相談して弥兵衛さんとの結婚をして持参金で50両の金を作りました。もちろんあなたを裏切るつもりはありませんが、よその男と一緒になるのは辛いので、お金を渡したそのあとは死ぬ覚悟をしています。どうぞそのお金で、お家の難儀が救われますように。
お半のたどたどしい言葉を聞いて、絶望のあまり自害しようとする八郎兵衛だったが、仲間の銀八がともかくここは逃げろと言うので。八郎兵衛は嘆きながらいずこともなく去っていくのだった。
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