
(雛鳥)
蝦夷子館の段
蘇我蝦夷子の呼び出しに応じて、久我之助がやってくる。
蝦夷子「采女の局は猿沢の池に身を投げたと聞いたが、本当にそうなのか。」
久我之助「私は采女様の付き人間違いありません。3日前に葬儀も済ませたばかりです。」
蝦夷子「お前は、采女の局の警護を怠って死なせてしまったので、親から勘当を受けたと聞いたが。」
久我之助「はい親から勘当され、主である采女様もなくなった今、蝦夷子様にお仕えしたいと思います。」
その時、蝦夷子の家来が現れ久我之助に打ってかかる。相手を苦も無くやっつけて「これはいったいうどういうことですか。」と問う久我之助。
蝦夷子「まずはそなたの腕試しというわけだ。」
「それではいつでもお声をかけてください。」と久我之助は去っていく。
そのあと蝦夷子は家来たちと雪見の宴会を始める。
蝦夷子の子入鹿の妻めどの方が登場。
「夫入鹿は100日の参籠の後生きたまま棺に入り入定(断食して死に即身仏になる)することとなっております。今日がちょうどその日にあたります。」
蝦夷子「陰気な話だな、そんな話は聞きたくない、宴会の続きをやろう。」と別室にさっていく。
めどの方は白むくを身につけ(今日は夫が棺に入ると決めている日 どうして宴会などをする気持ちになれようか、せめてこの雪の中で夫を弔おう。それにしても舅様の冷たい心)と庭先で祈っている。
蝦夷子が再び現れめどの方を猫なで声で、招き寄せる。
「入鹿が100日も参籠してついには入定しようというのは、単なる仏教狂いからではあるまい。他に思惑があるに違いない。そなたは何か知っているだろう。」
「お父様のご存知ないこと私が知る由もありませんが、お父様は朝廷を転覆しようという心をお持ちだとかで、どうぞ正しい心に立ち戻ってほしいと夫が命をかけて仏様に願をかけているのです。」
蝦夷子「入鹿はそんなことまでお前にしゃべったのか、あいつを信用して連判状まで渡したのに。一大事の秘密をしられたからにはお前には死んでもらう。」とめどの方にきりつけた。
めどの方は切られながらも、懐に入れた巻物のようなものを火鉢に投げ入れる。煙があたりに充満する。たちまち家の周りには人馬が殺到して騒然とした様子になる。
蝦夷子「これはいったい何事だ」
めどの方「お父様の謀反のこと夫が朝廷に訴え、私はお父様の本心を探るよう父(朝廷の中納言)に言いつけられ、たった今謀反の御心知れましたので、合図の煙をあげました。」怒った蝦夷子はめどの方のとどめをさす。
そこへ久我之助の父大判事とめどの方の父中納言が勅使として登場し、入鹿より連判状が朝廷に差し出され、謀反間違いなしと決せられたので、ここで自害せよとせまる。
陰謀が露見したのでは仕方がないと、腹を切る蝦夷子。大判事が首を打ち落としたところで突然矢がが飛んできて、中納言が死んでしまう。
呆然とする大判事。そこへ弓を持って有髪の僧の姿をした入鹿が現れる。
入鹿「親父のような小者では謀反などできるわけがない。中納言ももう用済み。大判事そなたはまだまだ使い道ががある、わしの配下になれ。参籠と称してこもった堂の中から御所まで地下道をほってある。ここから御所に躍り込み、逆らう公卿はすべて血祭りにあげて、わしこそが帝の位につくのだ。」と去っていく。
(めどの方は子どもが親を思って行をしていると信じで、自らも蝦夷子が更生してくれるよう祈っているが、結果として入鹿に利用され、入鹿の野心を達成するための捨て駒になってしまった。父中納言も夫の手で殺されたと知ったら余計悲しい思いをしただろう)
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