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Aug 12, 2007
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カテゴリ: 病院でのできごと
またまたお久しぶりですこんにちは。

つい先日、7月の終わりに停留睾丸のシーズーの、腫瘍化してしまった睾丸の摘出手術をやりました。
この子は毎月定期的に、フィラリアの薬をもらいに来る際に健康診断を受けていた子です。
そこで私が診察する時はいつも、おなかを触診して睾丸が腫瘍化して大きくなっていないかチェックしていました。
ただ、たまたま6月の検診では別の獣医がチェックしたため、厳密な腫瘍発生の時期は私には判りませんが、少なくとも2ヶ月前の検診ではおなかに異常はありませんでした。
それが7月の検診ではすでに大人の握り拳ほどの大きさになっていました。
その時点ですぐに手術の予定を組みましたが、手術日までの5日間足らずで、その子の容態はみるみる悪くなっていきました。
手術当日になると、激しい下痢と嘔吐まで始まり、極度の貧血と溶血まで起きていましたが、それらも全て癌化した睾丸が原因だと考え、年齢に伴う心臓の弁膜症に加えてさらに容態も悪い中、とてもではないけれど「一旦体調を整えて・・」などと悠長な事は言ってられないと、半ば強引に手術に踏み切りました。

手術は私が執刀し、私以上に優秀な同僚を助手に、恐らく今の院内での最強タッグで望みました。

開けてみてビックリ。
おなかの中は一面血の海で、腫瘍化した睾丸はどす黒くうっ血した状態で膨れ上がっていました。
どうやら、元々ねじれていた睾丸が腫瘍化して大きくなるうちに血管のねじれが限界に達してしまい、血液の流れをせき止めてしまったようです。
しかもねじれているのは静脈のみで、動脈からは次々と睾丸へ向けて血液が送り込まれて、ところが出口が塞がっているために急激に膨れ上がり、腫瘍と血管のあちこちから滲み出ている状態でした。
最長でもわずか2ヶ月(おなかのチェックは私以外も行っているので、恐らくは1ヶ月)という期間のわりに大きくなりすぎた腫瘍の原因は腫瘍そのものの捻転とうっ血だったのです。
この子は自身の体中の血液の多くを腫瘍の中に閉じ込めたまま、おかげで全身の血液が足りなくなって、さらに閉じ込められた血液が壊れるために全身に溶血の反応が出てしまっていたのです。
ですが幸い、腫瘍の発生そのものはごく最近ですから腫瘍とおなかの中の臓器との癒着はなく、摘出手術そのものはとても短い時間で終わりました。
おなかの中の停留睾丸の腫瘍の多くは、飼い主さんがおなかの張りに気がついて来院した頃には非常に大きくなっていて、すでにおなかの中で癒着している事が多いのです。

この子の場合、腫瘍の発見と処置の時期としては早かったと思ってますが、まさか大量の出血を起こしていたとは。
もうあと一日でも様子を見ていたら・・・と思うとゾッとします。

術後、腫瘍化した睾丸から大量に分泌されたエストロジェン(性ホルモン)の影響で骨髄抑制がかかっているのか、なかなか貧血状態が改善せず、時折嘔吐を伴い、食欲も戻ってくれませんでしたが、6日目になってようやく元気を取り戻して改善の兆しが見えたので退院となりました。


過日、メス犬の避妊手術の重要性と氾濫する情報の疑問点についてお話しましたが、基本的には私は、メス犬に対してはできるだけ早い段階での卵巣・子宮摘出をお勧めしてます。
ですがオス犬に対しては、将来生殖器が原因となる病気にかかったら、その時手術すれば良いと思っています。
睾丸腫瘍・前立腺疾患・肛門周囲腺腫など、ほとんどが「外から一見して判る」病気のため、メス犬に比べてとても早い段階で対処できるのと、開腹手術ではないので手術時間もとても短く、老齢犬だとしても体への負担が「比較的」少ないからです。
もちろん、若い内の手術のほうがより安全ですが。

ところが今回の子のように「停留睾丸」の場合だけは例外となります。

が、私がこれまで経験した停留睾丸で飼い主さんの同意が得られず摘出しなかった子の、ほとんどの例で腫瘍化しています。
これは誇張でもなんでもなく、あくまで私の経験した範囲ですが、腹腔内停留睾丸の腫瘍化率は6~7割にも及びます。

それよりも重大な点は、
鼠径部にある場合はまだしも、おなかの中では飼い主さんも気がつかない事が多く、手遅れになる可能性がある事と、他の腫瘍に比べて低年齢でも発生し得るという事です。
ましてや今回のように、その事も十分承知の上で毎月欠かさず定期健診を受けていて、比較的初期の段階で発見・摘出できたにも関わらず、予期せぬトラブルのために瀕死の状態に陥ってしまったり。

やはり「停留睾丸」の子は早期に摘出手術を行うべきでしょうね。
しかも、片側陰睾の場合は無事なほうに生殖能力は残ってはいますが、この「停留睾丸」は遺伝病とも言われているので、繁殖を避ける意味でも両方摘出するのが望ましいです。





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Last updated  Aug 12, 2007 07:15:06 PM
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