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上京2日目。快晴の土曜日。昨晩の酔いも消えて、気持ちよく目覚める。とは言っても、BARが朝から開いている訳がない。そこで、いつものように夕方まで東京散歩としゃれ込む。 前回は、青山墓地(霊園)の著名人のお墓巡りに興じた僕だったが、今回はうって変わって、11日にオープンしたばかりの「表参道ヒルズ」(写真左)にお邪魔した。「表参道ヒルズ」と言えば、あの歴史的な同潤館青山アパートの跡地に建った表参道の新しいランドマーク。設計は、今をときめく安藤忠雄氏とあれば、注目されない訳がない。開館15分前に着いた僕だったが、すでに300人近い列が…。さすが話題のスポットだけに、凄い人気。 入館した僕は、とりあえず最上階を目指す。「表参道ヒルズ」は地上6階、地下6階(店舗は地上3階~地下3階)と、とんでもなく底が深い。安藤氏曰く「建物は表参道のケヤキ並木とあまり違わない高さに、しかし容積率はしっかり確保したい」という相反する願いを両立させるために生まれた設計だという。 外観はガラスとコンクリートの打ちっ放しというモダンな造りで、細長い形はなんとなく、豪華客船を連想する。内部の造りも面白い。地下3階から地上4階くらいまで、中央部分が吹き抜けになっていて、内部の周囲に緩やかなスロープが、最上階から最下階までスパイラル状につながっている(写真右)。そして各階のスロープに面してショップが並ぶ。 安藤氏の建築は時に、その奇抜さが故に賛否両論を呼ぶ。しかし独学で建築を学び、今日の名声を築き上げたことは、誰しも認めるところ(同じ関西人としてその活躍は嬉しい限り)。この「表参道ヒルズ」については、知る限り評判はいいようだし、個人的にもユニークな発想がとても気に入っている。今回も、建物の一角に同潤館アパートの一部を再生させるなど、安藤流のこだわりも。 さて、内部をざっと見て回った僕の印象。日本にまだあまりお目見えしていないブランドを、よくぞこれだけ集めたなぁと感心する(ショップの詳細は「表参道ヒルズ」のHPを見てね!)。酒飲みの僕が一番気に入ったのは、名だたる蔵元から集めた日本酒や珍味がBARスペースで楽しめる「はせがわ酒店」(地上3階)と、常時80種のワインがテイスティングできる「BISTY’S」(地下2階)=写真左。今回は時間がなくて味わえなかったが…。 さて、「表参道ヒルズ」を後にした僕は、夕刻までの時間を映画鑑賞にあてた。当初は、「有頂天ホテル」か「フライトプラン」を見ようという心づもりだったが、有楽町の映画館まで来て気が変わり、S・スピルバーグ監督の「ミュンヘン」に変更した(まぁ、こっちも前から見たいと思っていたし…)。 この映画「ミュンヘン」については後日の日記で詳しく触れることとして、映画の後、いよいよ陽も落ち始めて、BAR巡りタイムの始まり始まり! 2日目のスタートも、やはり銀座から。 まず、7丁目の「Rockfish」にお邪魔。大阪・北浜でBARを開いていたMさんが4年前、上京して開いた支店。老舗のサンボアで修業したMさんは、格式と伝統で知られる銀座に、サンボア・スタイルのハイボールを紹介。フード類などは、サンボア以上に充実させた。安い、旨い、早いがモットーの「Rockfish」は東京でもBAR好きに支持され、根強いファンがついている。 この日飲んだのは、もちろん定番のハイボール(美味しくて胃にしみるー!)=写真右。ちなみに現在休業中の北浜の本店も、4月に再オープンするとのこと。順調な発展を祈りたい。 さて2軒目は、久々に5丁目のBar「ルパン」(写真左)へ。ここは言わずと知れた、銀座のBARの歴史そのものという老舗。とくに太宰治、坂口安吾、織田作之助ら数多くの作家に愛され、店内のインテリアや、太宰らが座ったスツールなどは昔のまま現役。 カウンターの隅にはいつも、太宰らが来店した際の有名な写真が飾られている。昭和のヒトケタ時代のBARにタイムスリップしてみたい方は、ぜひ一度お越しを。 さて、今回の最大のお目当ては6丁目にある、シェリーがウリの「しぇりークラブ」。ここは、大阪で僕が最近よくお邪魔しているBar「Artemis」出身のMさんが店長をつとめている。5年前(確か…)、「しぇりークラブ」の店長にならないかという話をもらい、「何の縁もゆかりもない東京へ出てきた」というMさん。(写真右=味わったシェリーのうち2種。きりっとして旨かった!) しかし持ち前の努力と、紳士的で、上品、気さくなキャラクターで、東京でもお客さんの心をつかむ。そして数年前には、スペインで念願のヴェネンシアドールの資格も得るまでに。お店の壁には、なんと「世界で一番たくさん227種類のシェリーを置いているBAR」とのギネスブックの認定証が! 本国スペインを差し置いて、す、すごーい! さすがに最近は、「接客時の関西弁もあまり出なくなった」と言うMさんだが、この日は関西人の僕が訪れたとあって、「関西人同士やから、関西弁でやりましょか」と楽しそうに応対してくれた。迷うほどあるシェリー・メニューの中からお勧めを4種ほどを味わい、前菜&生ハムの盛り合わせ、エリアなどもいただき、至福の時間を貰った。 さて、「しぇりークラブ」に長居した僕は、同じ6丁目にあるBar「保志」に移動したが、あいにくオーナー・バーテンダーのHさんはまだ店に来ておらず、「出直して来まーす」と言い残して、いったん店を辞す。そして西麻布へ転戦。以前から一度行ってみたかった住宅街の中にあるBAR「霞町・嵐」(写真左)へ。 ここは、実は有名な女優さんKさんの元邸宅の地下を利用して開いたBAR。邸宅のオーナーは今もKさんで、この地下室はその元夫だったUさんの音楽スタジオだったとか。いわゆるオーセンティックBARではないが、照明やインテリアがとてもおしゃれ。とても落ち着けてリラックスできる。 店には僕と同行者のほか、外国人の家族連れが1組、個室のようなスペースでくつろいでいる(場所柄、外国人客が多いのだろう)。7歳くらいの女の子が一緒にいる。na_geanna_mさんが見たら、顔をしかめるかなぁ…? 「霞町・嵐」にはバーテンダーとバーテンドレスがいたけれど、福井県出身のバーテンドレスの方とは、共通の知り合いである大阪のバーテンダーの話で盛り上がる(ちなみにバーテンダーは石川県出身で、北陸コンビです)。家主のKさんも月に一度くらい、ここに飲みに来られるとか。 さて、「霞町・嵐」を別れを告げた僕。まだ10時すぎ。まだ銀座に戻るのは早いので神楽坂へさらに転戦。ここでも以前から気になっていた「Kansui」というBAR(写真右)へ。華道家というマスターが和風の趣を上手く生かした、隠れ家的な、素敵なお店だったが、マスターはちょっと寡黙すぎたかなぁ…。 さて気を取り直して、地下鉄で再び銀座へ戻る。そしてBar「保志」(写真左)へ。マスターのHさんとは、昔(たぶん8年ほど前)、友人に連れて行ってもらった銀座の「Little Smith」というBARで初めてお会いした。Hさんは、そのときすでにバーテンダー世界大会での優勝経験を持つという凄い方だった。 しかしHさんには、そんな栄光をひけらかすようなことは微塵もなく、初対面からとても気さくで、温かい接客をしていただいた。その後もたまに、「Little Smith」にはお邪魔したが、Hさんが別のBARの店長に移られてからは少し疎遠になっていた。そして昨年、念願かなって独立したと聞いて、ようやく実現した訪問。久しぶりに見るHさんはやはり、明るく気さくな人だった。 さて、初訪問の「保志」で味わうのは、やはりマスター自慢のカクテルしかあるまい。フルーツが何があるか尋ねた後、僕は「ストロベリー・マティーニ(写真右下)をお願いします」と頼む。 普通の関東のバーテンダーならここで、「かしこまりました!」とだけ言うだろうが、Hさんは「ストロベリー・マティーニ、いっちゃいますかー?!」と少しおどけたような声で、コミカルに受け返す。関東のというより、大阪のバーテンダーのノリに近い。それも、僕が親しみを感じる理由かなぁとも思う。 従業員のバーテンダーさんとあれこれ話し込んでいるうちに、気が付けば午前0時半頃に。そろそろ今夜の締めにかからなければと、「レッド・アイ」(ビール&トマトジュースのカクテル)を注文する。「レッド・アイ」もHさんが作ると普通のレッド・アイではなくなる。 Hさんは、ボストン・シェーカーを取り出し、グラスの方に生トマトを8つくらいに切って入れ、ペストル(すりこぎ)で潰し始めた。そしてスパイス類を加え、シェーカーに移して一気に振る。それを別の大型ビア・グラスに半分ほど移し、冷えた生ビールをゆっくり注ぎ、優しく混ぜる。 7割ほど満たした後、さらに残りの3割ほどを同じ動作で作り、完成させるという手の込んだやり方。出来上がりはクリーミーで、美味しいったらない。さすがHさんの「レッド・アイ」は絶品。どんな客にも手抜きしないサービス精神が嬉しい。だからこそ、今夜も「保志」は、銀座という激戦区で客が絶え間ないのだろう。 という訳で、東京BAR巡りもめでたく終了(計6軒はちょっとハードだったかな?)今回お邪魔したくて実現しなかった店もいくつかあるけれど、それは次回の楽しみにとっておこう。人気ブログランキングへGO!→【人気ブログランキング】
2006/02/22
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久々に週末の東京出張。本来は1泊2日だったのだが、1日目の仕事が夜遅くまでかかってBAR巡りには少々時間不足ということもあり、身銭を切って2泊してきた(長くなるので、上下2回に分けて記します。今回はまず1日目のご報告)。 今回の出張の最大のお仕事は、会社の06年度の予算調整。東京以外に、札幌、名古屋、大阪、九州(小倉)の予算担当者が集まった。景気がいまいちのため社の財政事情もパッとしない。だから、経理当局から数%くらいの予算削減指令が来るぞと覚悟はして行ったが、意外や意外、削減要請額は0.5%ほどで、拍子抜け。逆に、「これっぽっちの削減で大丈夫なのかなぁ」と心配してしまう。 でもまぁそういう訳で、会議は紛糾もせずにすんなり終わり。夕食は会社近くのこじゃれた居酒屋さんで。僕は、9時半くらいで皆と別れて、早速銀座へ。1日目の夜は、とりあえず3軒がノルマ。 まず以前から行きたかった「幻の桜」という8丁目のBARへ(写真左=何も書いてない超重~い木の引き戸。あまりに重いのでお休みかと思った)。ここはブレンディドでもモルトでもとくかく超マニアックなものばかり置いていることで、通の間では知る人ぞ知るBAR。 最初は都内・三軒茶屋で出店したが、5年ほど前に銀座に移転。おかげで僕も行きやすくなって嬉しい。店内は大きな1枚板のカウンター(白木で、ブナだったかな?)があり、バック・バーの棚も同質の白木。いわゆるオーセンティックBARの造りではないんだけれど、それはそれで心地よい。 セーター姿で、想像してたより若い(ような)マスターのIさん。一見気むずかしそうな印象を感じたが、喋ってみるととても気さく。料金はノー・チャージなのだが、超マニアックな酒が故に、基本的にショットで4000円未満のものは置いていない。しかし、すべての酒がハーフ・ショットで味わえるので、ただ、マニアックな世界を体験してみたい僕のような者にとっては、2杯飲んでも4千~5千円だから、それはそれで、良心的かもしれない。 「幻の桜」で味わったのは、「Old Mull」という1900年頃(今から100年以上前!)のブレンディド(写真右=見よ、この凄いラベル)。相当アルコール分がへたっているかぁと思ったが、意外としっかりしたボディで、麦の香りもよく出ていた。 もう1杯は、1960年代の陶器ボトルの「Spring Bank」(写真左=グラスもすべてアンティークもの。そのこだわりが嬉しい)。こちらはシェリー樽熟成。昔のバンクの良さがにじみ出ている。 2杯飲んで4500円をお支払いして、2軒目の老舗BAR「Brick」(写真右)へ。場所は「幻の桜」からもすぐそば。ここは20年くらい前から何度かお邪魔しているのだが、ここ6、7年はご無沙汰していたので、ドアを押すのはほんとに久しぶりだ。 ところが金曜の夜とあって、超満員。「これはちょっと、だめかななぁ…」と思ったたら、従業員の方が「地下の方へご案内いたします」と優しく声をかけてくれた。 何度も来ているのに、地下もあるとは知らなかった。あぁ不覚。地下の方も、8~9割の入り。良心的な価格設定や、1人でもグループでも来やすい雰囲気、キャパの広さ、ロケーション等が支持されているようだ。僕は、ここでジン・リッキーとフェイマスの水割りを頂いて、次なる店へ。 ところが3軒目に考えていた7丁目のBARは満席(それもほとんどが女性!)。やむなく、久しぶりに彼の顔を見てみようか、と同じ7丁目にある「Talisker」というBARへ(写真左=目印はビル1階の店の看板灯)。「Talisker」はオープンした98年に、友人に連れられて来て以来、すっかり気に入ってしまって、たびたびお邪魔している。 気さくなオーナー・バーテンダーのUさんは、今年40歳。僕が大阪でよく行くBARのバーテンダーたちとも懇意であるという不思議な縁もあって、最初から意気投合してしまった。 「Talisker」の自慢は2000本はあるかというモルト、そして、「若きモルト博士」の異名を持つUさんの博識ぶり。博識だが、決して自分からあれこれウンチクを垂れるようなタイプではなく、話術はあくまで控えめでスマートだ。 この夜「Talisker」で頂いたのは、いずれもボトラーズものの「Ardmore」(写真右=写真映り悪くてすみません)と「Tamnavulin」(写真左)。前者はピートがよく効いたアイラ・タイプ。ガツンとくる旨さ。 後者はシェリー樽熟成の22年もの(確か70年代だったかな)、嫌な苦みもほとんどなく、とても奥行きのある味わい。チョイスはすべてUさんに任せたが、さすが、僕の好みをよく知ってくれている。 ウイスキーマガジン・ライブの話やパブデ・ピカソさんの絵の話(「僕もあんな絵、描いてみようかなと思ってるんです」とUさんも言ってましたぞー)などで盛り上がっているうちに、スタートが遅かったこともあり、時間も午前1時ごろに。明日もハードな日程の予定なので、「では、この辺で」とUさんに別れを告げる。 ホテルまでの徒歩での帰り道、小腹がすいた身に、ところどころにあるラーメン屋のにおいで腹がきゅんと鳴る。でも、ダイエット中の身としては「いかん、いかん」とぐっと我慢(腹が減って寝付きは少々悪くなったけれど…)。人気ブログランキングへGO!→【人気ブログランキング】
2006/02/19
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東京でBAR巡りをすることはあっても、横浜まで足を伸ばす機会は、残念ながらほとんどない。関西在住の僕は、神戸で飲むときは、最初(1軒目)から神戸でスタートする。しかし、出張で来た東京で飲んでいて、「じゃぁ、これからちょっと横浜まで」という風には、なかなかいかない。 しかし、神戸と並ぶ代表的な港町であり、国際都市である横浜をまったく知らないのは不幸である。そう思って、5年ほど前のこと、翌朝から東京出張という機に、前日に横浜で宿をとった。 とは言っても、横浜にはまったく土地勘はない。横浜のBARについての情報や知識もほとんど持ち合わせていない。そんな僕のために、東京在住のBAR好きの友人が同行してくれることになった。 当夜は、駆け足で5、6軒BARを回ったのだが、なかでも一番印象的だったのが、岸壁の氷川丸も望める山下公園の近く、ザ・ホテル・ヨコハマのすぐ裏にあったBAR。岸壁まで歩いてすぐ。潮風の匂いが漂ってくるようなロケーションだ。中華街から近いというのも嬉しかった。 キャパは結構広い。楕円を半分に切ったような大きなカウンターには10人近く座れるだろうか。フロア席もゆったり作ってある。合わせると30人近くは入れるかもしれない(写真左上=店内はとても落ち着いた雰囲気。珍しいモルト・ウイスキーもたくさんある!)。 木やレンガをふんだんに使った内装は、どこかイギリスのパブにも通じる雰囲気。インテリアには、船の絵がかけてあったり、所々に飾られたノベルティ類の小物も海や船にまつわるものが多く、港町のBARらしい演出だ。 友人は以前にも来たことがあって、マスターのYさんとは馴染みのようだ。僕は「**と言います。兵庫県のN市から、お邪魔させてもらってます」と挨拶した。すると、Yさんの顔が少し輝いた。そして、「僕、中学校はN市立の大社(たいしゃ)中学を卒業したんですよー」と話した(写真右=お店は、すぐに目に入る黄色い看板が目印)。 「えーっ、N市にいたんですかー!」と驚く僕。大社中学というのは、我が家からは少し遠い場所にあるが、有名な昔からの伝統校。Yさんとの「距離」が急に近くなったような気がした。この話の後も、Yさんが昔住んでいた桜谷町辺りの話やら、僕の家の近くにある「上甲子園中学」は、女優・常磐貴子の母校だよ(だから彼女は関西弁のセリフが上手い)なんて話で盛り上がった(ローカルな話ですみません)。 BAR巡りの楽しさは、バーテンダーとの素敵な出逢いの喜びでもある。その方が偶然、関西出身の方だったり、関西にゆかりのあったりしたら、なおさら感激する。縁あって、関東で仕事に就いていても、関西のことを忘れずにいてくれる方々を、僕は遠くからいつも応援している。 あれ以来、横浜のBARとはご無沙汰。久しぶりにまた行きたいなぁ、と思っているこの頃。その時には必ず、このYさんのBAR「Three Martini」を再訪したい。【Three Martini】横浜市中区山下町28-104 電話045-664-4833 年中無休でノー・チャ-ジ(!) JR石川町駅から、徒歩約10分。
2005/05/24
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