ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Apr 29, 2007
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 今日聴きに行った演奏会は、なんて言うか、実りある旅に出かけたような爽快感の残るものだった。知ってるようで知らない世界を垣間見た感じ。イムジチやオルフェウスにはない、新世代のかほり。

 オーストリアだかオーストラリアだか紛らわしい弦楽集団。本場ウィーンの団体かと勘違いして会場に足を運んでしまったお馬鹿さんなニューヨーカーもいたようだが、団員たちが舞台に現れたとたん、その開放的な雰囲気に紛れもなく南半球を感じた。もちろん誰もネクタイなんてしてない。白人さんのくせして日焼けしてるし。

 ちょっとした舞台マナー(全員でのお辞儀のしかたとか)に、芝居小屋の一座が巡業にやってきたかのような錯覚を覚えた。チェロ以外は全員立って弾く。

 座長はリチャード・トネッティ(トグネッティ)という人(監督兼コンマス)。オーストラリア国内では知らない人はいないという豪流スターだそうで、人間国宝扱い。
 国の補助かなんかで何億円もする楽器を使用している、と先日どっかの記事で読んだ気がする。

australian chamber orchestra

 プログラム前半は、 コレルリ(コンチェルトグロッソ) ビバルディ(4つのバイオリンのための協奏曲) 、そして ハイドン(チェロ協奏曲ハ長調)

 「よつコン」の解釈も小気味良かったけど、やっぱりハイドンが良かった。なんてったって、ゲストソリストは ピーター・ウィスペルウェイ

 彼のドボルザークの協奏曲をずっと前にロンドンフィルで聴いて以来、なんとなく気になっていた。知性とユーモアの融合。いやみがなく、コントロールされた合理性。
 先に亡くなったロストロ氏とは対照的かもしれない。「淡白な熱情」に溢れてると言うか。勝手な先入観だけど、ウィスペルウェイは、僕の持つオランダ人の印象そのもの。
 カデンツァが凝ってた。親しみやすいイマドキの旋律が見え隠れ。

 後半は チャイコフスキーの「フィレンツェの思い出」弦楽合奏版 。ゴチャゴチャして騒がしい曲だけど、部分的にソロになったりしてメリハリがあり、原曲の弦楽六重奏よりも聴きやすい。
 チャイコの弦楽セレナーデに飽き気味の(?)聴衆には大ウケだった。拍手喝采。

 近現代寄りの曲も聴いてみたいと思ってたところ、アンコール曲はドビュッシーとウォルトンだった。心憎し。それ以上はアンコールを用意してなかったようだが、拍手は延々と続いた。

(於、カーネギーホール中ホール、ニューヨーク)





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最終更新日  May 5, 2007 08:52:20 PM
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