ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Jan 23, 2022
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カテゴリ: 映画、テレビ
「#MeToo 運動」(評価 ★★☆☆☆ 二つ星)

 いろんな映画祭で賞獲ってるみたいだし、ついにこちらアメリカでもあちこちの映画館で上映されてきており、そんなすごい日本映画なのであれば観ておかねばと思って鑑賞。そもそも日本映画を劇場公開で観るのは久しぶり。
 今日の映画館、混んではいなかったけれどガラガラというわけでもなく、思ったよりもお客さんがいらっしゃってた。意識高い系白人さんという印象の方々ばかり。

 感想としては、あまりにビミョーすぎて観るのは時間の無駄のような気もしたし(三時間!)、いや、とんでもない名作のような気もした。で、一周まわってぼくの評価は二つ星。

 確かに凝ったつくりだし、唸るようなお見事な台詞も出てくるのだけれど、三時間もかければそりゃあんなことやこんなことを織り込むのは難くない。映画づくり的にぼくの好みではなかった。

 主演の西島秀俊さんほか、役者の演技が下手なのか監督からそうゆう演技指導をされてるのか(おそらく後者)、みんなして歯の浮くような台詞をひたすら棒読みなさる。聞いててイライラしたし、すごく疲れた。こうゆう演出が令和の標準になってきてるのであらうか。やはりぼくとしては苦手。

 そもそもこの主人公、演劇業界で成功して結果を残しているヤリ手の演出家という設定なのであれば、もっと芝居に情熱を持ってて発言/滑舌や顔の表情が活き活きしてるべき。コミュ力に欠けるこじらせ男子というキャラは職業的に無理ありまくりだし、このおじさん、いい歳こいて自分探しの旅とか言ってないで、妻に浮気されたならプンプン怒ったりシクシク泣いたりオロオロ慌てたり、人間らしい反応をしていただきたい。業界の修羅場を乗り越えてきた実際の舞台演出家さんらがこの映画観たら、この優柔不断な主人公を同業者として認めるだろうか。

 脇キャラも中途半端で現実味なし。例えばお騒がせ役としてイマドキ男子も登場するのだけれど、この役をどう描きたいのかが謎。イケメンなのかチャラ男なのか狂気男なのか、全部ひっくるめた神秘的な男ということであれば演出/演技不足。かなり重要な役なのにもったいない。車の中でいきなりドヤ顔で熱弁はじめちゃうし、キャラ設定がブレてる。


 父娘ほどに歳の離れた演出家と運転手が、なんだかんだ言って共通点がいろいろあって徐々に打ち解けていくくだりも、やはり演技や演出の問題なのか惜しい。痛い。
 彼らに限らず登場人物一人ひとりが悩みや苦痛を抱えており、そんな人間の弱い部分や孤独な部分を静かに語っていくという製作者の意図はわからなくもないけれども、三時間もかけずに上手くまとめられる脚本力や演出力こそが現代の映画界に求められてるのではないのかなと。

 一方この映画、ガイジン目線で観るとかなり楽しめる。トーキョー、ヒロシーマ、ホキャイドーなどの各地の風景も堪能できる。赤い自動車もいーかんじ。
 てか、日本語わかんない人のほうがフツーに楽しめるかもしれない。登場人物の棒読みのような会話についても、日本語とはそうゆう抑揚のない言語なのかと思うかもしれないし、演技力とかいちいち気にせずに観られるのかも。

 ぼくの場合、この映画観て確かに広島に行きたいとも感じたけれど、むしろ韓国行きたいと思った。登場する韓国人がもれなくいい人たちばかりだし、それに最後の場面もそう。結局は韓国推しの映画かという印象すら感じた。

 あと、ベートーベンの弦楽四重奏第3番が出てくる場面があって、ちょっとだけ萌えた。←そこ?





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最終更新日  Jan 30, 2022 10:56:17 AM
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