ヨカッタ探し

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November 8, 2005
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テーマ: お勧めの本(7892)
カテゴリ: 読書ろぐ
久しぶりに読みました。エッセイ。

ここんとこ趣味で読む本は、殆ど小説に限られてたんですが…
というのは、たぶん、論文にかかりきりだったので、
その参考文献、先行研究論文プラス毎日の新聞読みだけで、
評論めいた文章は「ごちそうさま」状態だったのだと思います。(;^_^A
論文が一応カタチになって、ようやくキャパが空いたか(笑)。
移動の友である未読文庫本を切らしたので、ブックオフの105円コーナー
をチェックしていたところ、ロシア語通訳・米原万里さんのこれが
目にとまりました。

米原万里『不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か』


エッセイを連載されていて、「語学の達人は書く文章も逸品だわ」と
舌を巻いていたので、丸ごと1冊、読んでみたくなりました。
これが大正解!!
先日再読した『六の宮…』でヒロインが、見事に面白い本を
「おいしいおいしい、と最後まで食べてしまう料理のような」
と評していたけれど、まさにこの本はそんな感じでした。

米原さんは、国際会議での同時通訳もこなすバリバリのロシア語通訳者、
(なにしろエリツィンさんが「マリ」と呼び、キスをさせてと頼むほど!)
なわけなので、この本も、通訳論、通訳こぼれ話アレコレ、
という体裁をとってます。一応は。
でも、全然、それだけに留まってません。

それが、ちっとも堅苦しくない文章で、
(なにしろ思わず吹き出してしまう、通訳さんの失敗話が盛り沢山!!)
ぐいぐい読ませてしまう。
ぷぷぷ、わはは、と笑って、ふむむ…としばらく考える。
そんな繰り返しで読みました。

やっぱり何かの道を極めた人、一流の人が語ることには、
「なるほどなぁ」と思わせる、相応の何か、があるように思います。
それに、全然違う分野の人たちであっても、共通の真理、
みたいなものを語ってるときがありますよね。
ホンモノのみが到達し得る何か、なのでしょーか。

わたしは、英語が嫌いではないんですが、典型的な日本の英語教育を
受けてきたので、「読めはするけど書けない、話せない」。
英会話には及び腰、映画の字幕もないと困る…。
でも、米原さん曰く、母語を超えた語学力は身につかない、と。
日本語で表現できないものを、どうして他の言語で表現できるのか。
一流と言われる通訳の方は、外国語だけではなくて、
日本語も一流なのだそうです。
確かに。
言いたいことがはっきりしてれば、表現することはできますよね。
どんな手段を使ってでも。
わたしの場合、日本語でも会話は不自由…(笑)というか、
思考に会話が追いついていないことが多いんですね。
だから、話し言葉より書き言葉のが好きです。電話よりメール、手紙。
でも、米原さんの指摘によれば、幼児期から、
自分の母語となる言語に対して、思考のツールとして使えるまで、
徹底的に、かつ、分析的に取り組むことのない日本の国語教育は、
英語教育以前の問題だ、と。

子どもを見ていても、言葉で自分の気持ちを表現できるようになると、
暴力に訴えたりしなくても済むし、感情に巻き込まれなくなりますよね。
もっともっと徹底的に、自分の言葉と向き合う必要があるなぁ~。
そして、これはもっと耳に痛い指摘!
どんな知識でも、消極的知識と積極的知識に分けられ、
いざという時にパッとでてくる、自分で使いこなせるのは、
積極的知識に限られるんだ、ということ。
読めるけど書けない漢字、意味はわかるけど話せない英語…
どれもなんとなーく、受身的に接してきたものばかり。
もっと主体的に、能動的に、知識を身に付けよう!と思っても、
大人になると、必要に迫られなければ、そこに意味が見出せなければ、
なかなか新しいものに取り組めない。
うーん、難しい問題ですじゃ。

などなど。あれこれ考えつつも、楽しく読めた1冊でした。







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最終更新日  November 9, 2005 05:37:25 PM
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