東方見雲録

東方見雲録

2025.01.04
XML
カテゴリ: 政経


© 東洋経済オンライン

「失われた30年」とはなんだったのか。そして、どうしてそうなったのか。すべては「バブル」のせいなのである。

ここで言う「バブル」とは、抽象的な「バブル」ではなく、「1980年代の日本経済・日本社会のバブル」という特定の具体的なバブルのことである。これがすべての原因であり、そこからの脱却をせずにむしろ、そのバブルを懐かしみ、復活させようとしてきたことが「失われた30年」をもたらしたのである。
・・・・
まとめると、高度成長期から日本は、「右上がりガバナンス」で経済システムを運営してきたが、それがオイルショックで頓挫し、次のシステムに移らなければいけなかった。だが、先進国で唯一うまくオイルショックを切り抜けたことが、バブルを生み、自信過剰と慢心をもたらした。そして、新しいシステムを構築する余裕も金(カネ)も力もあるときに新システムを模索せず、無意識にせよ、意識的にせよ、新しいシステムの代わりにバブルで誤魔化したこと、それが日本経済の良い成熟化の実現を妨げた。

そして、システムがうまくいかなくなってから、何かシステムがないといけないということに気づいたが、試行錯誤をサボり、懐古趣味、右上がりの時代を懐かしみ、右上がりになればなんとかなる、だから量的拡大の時代の再現を目指す、といういちばん安直なというか、もっとも悪い誤魔化し方に終始する政策を政治が求め続けたことが、バブル処理の10年で終わらずに、「失われた30年」、このままでは永遠に失われる日本経済、システムのない日本経済をもたらしたのである。

そして、これは政治だけの責任ではなく、経済学者および霞が関官僚の責任でもある。経済学者たちは、1980年代には「不動産も株もバブルとは必ずしも言えず、何らかのファンダメンタルズ、あるいは将来への希望で正当化できる」と、バブルのつじつま合わせに協力した。次の1990年代には、銀行や金融行政への非難を続け、リストラを支持し、さらに2000年代には、規制緩和を支持し、官僚たちを既得権益の一部と位置づけぶっ壊すことを支持した。

この間、新しいシステム、日本モデルを提示することはなかった。制度学派的な議論が流行し、日本型システムとは、という議論が1980年代にはじまり、1990年代、2000年に入っても続いたが、それは日本の過去を正当化したり、説明のつじつまを合わせて喜んだりしているだけで、新しいモデルは提案されなかった。



そして、2024年も何も変わらなかった。

最先端半導体の開発・製造を目指すラピダスに関与することによって1980年代の栄光を取り戻そうとしている。また、バブル的ないい車は生み出したことはあるが、いい技術者・優秀な文系人間を抱えながら、組織としては、何も株主にもたらさず、自己満足の組織だった日産自動車は、1990年代に実質的に破綻したにもかかわらず、黒船的なコストカットだけで、何かチェンジしたふりをし(自分たちもそんな気になり)、黒船が去った後、1980年代のもとに戻そうとして、結局何もしてこなかったことが現状を招いている。

何と言っても、せっかくオランダに本拠を置くステランティスグループに加われるチャンス(当時イタリアのフィアットグループがルノーを買収することにより)があったのに、自ら潰し、フランスのルノーとの資本関係を解消し、1980年代のように好き勝手に自分の思い通りにやれる日産を夢見たところが、致命的に間違っていた。

経済学者が新しい日本の経済モデルを提示すべきとき
これから20年後には、20世紀に先進国だった地域の自動車メーカーは日本のトヨタグループだけになろうとしている現在、欧州は、ステランティスのように、超高級ブランドのポートフォリオを組んで、スイスの時計ブランドやフランスのLVMHのような生き残りを図る以外は、量産メーカーはすべて消えようとしている、という現状を直視する気がまったくないのである。

これは日産に限ったことではなく、ほとんどの日本の大企業がそうだ。ホンダも、他社を救ったり利用したりしている余裕はなく、トヨタに助けてもらう以外に道はないほど追い込まれているのに、その状況にも目をつぶっている。トヨタと中国・韓国メーカー以外はテスラが残るかどうかという現状を、ほとんど誰も見ようとしていないのが問題なのだ。

もちろん、こうではない日本企業も数多くある。それらの企業は、政府や経済学者やメディアの1980年代への郷愁にまみれた世界とは距離を置き、かかわらないようにして、日本から精神的に脱出を図っている。

しかし、政府と経済学者はそれではダメなのだ。2025年は、まず経済学者が新しい日本の経済モデルを提示し、それを政治に対して説得することから始めなければならない
引用サイト:小幡 績   こちら

関連日記:2024.02.24の日記 市場はコントロール不能   こちら
関連日記:2024.02.24の日記 プラザ合意   こちら
こちら
関連日記:2025.01.02の日記 三度目の日本   こちら





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2025.01.04 07:00:08
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: