東方見雲録

東方見雲録

2026.01.22
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カテゴリ: 建築




現代の門前町として活気づく出雲大社の参道「神門通り」付近に、かつて大社詣での玄関口としてにぎわった旧大社駅(島根県出雲市大社町)がある。和風駅舎としては唯一の国指定重要文化財で、5年間にわたる保存修理工事がこのほど完成。大正モダニズムが香る昭和初期の姿に復元され、4月から一般公開される。和洋折衷のレトロな意匠を味わいながら、終着駅に降り立った人たちの悲喜こもごもに思いをはせる。

 大社駅は鉄道黎明(れいめい)期の1912(大正元)年、大社線(出雲今市-大社)の開通に伴い開業。24(同13)年に約2倍の規模に増改築され、現在の姿となった。山陰では有数の乗降客数を誇り、72(昭和47)年度の同線全体の乗降客は146万人に達したが、90(平成2)年に廃線となり、駅も廃業した。

 木造平屋建て約441平方メートル。中央部の切り妻屋根と左右非対称の両翼部の入り母屋屋根に破風を備えた和風の外観が特徴。内部には木造の出札室や手小荷物扱室が往時のまま残され、レトロな雰囲気を醸し出す。35(昭和10)年に新設された重要人物の待合のための貴賓室や一、二等待合所に使われていたマグネシウム由来のセメントの床も忠実に復元された。総事業費は約13億5千万円。

 工事に当たっては2004年の重要文化財指定当時の姿でなく、貴賓室が新設された1935(昭和10)年当時の姿に戻す「現状変更」を行った。着工直前に昭和初期の内観写真が京都鉄道博物館(京都市)で発見され、事務室の仕切り壁や照明、出札室のガラス窓の鉄格子など当時の内部の様子が分かったからだ。

 最盛期には、大阪-大社間で夜行列車「大山」が運行されていた。駅のホーム跡に立つと終着駅特有の哀愁を感じる。近くの手銭豊さん(77)は大阪勤務時代によく「大山」を利用したといい、「駅では多くの出会いと別れがあった。列車は走らないが、保存されたことで思い出は続いていく」と昔を懐かしむ。

 出雲市は出雲大社周辺の新たな観光資源として発信していくほか、敷地内の別棟をイベントスペースとして活用する。入館料は一般300円、小学生150円、未就学児無料となる予定。市文化財課の吾郷誠さんは「一般公開で、より多くの人に大社の町を知ってもらうきっかけになれば」と期待を込める。(岡宏由紀)
引用サイト:​ こちら





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Last updated  2026.01.22 09:00:09
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