1

「今日のクラシック音楽」 ベートーベン作曲「ウェリントンの勝利」ベートーヴェンは「楽聖」とまで呼ばれて崇められています。9曲の孤峰のようなたたずまいの交響曲、「チェロの新約聖書」と呼ばれるチェロ・ソナタ、10曲のヴァイオリン・ソナタ、そして偉大な作品群、32曲のピアノ・ソナタ、後世の室内楽作品をかき消すかのような弦楽四重奏曲、1曲しか書かなかった至高のヴァイオリン協奏曲、ピアノと管弦楽の豊穣な響きを醸し出した5曲の協奏曲など数えきれないほどの珠玉の作品群。古典派からロマン派への橋渡しとなった音楽史上でも稀有な役割と作品を残したベートーベン。 力強く、優しさと滋味にあふれ、人々に希望を与えてくれるクラシック音楽の王道、王様のような存在のベートーベン。そんなクラシック音楽の定番作曲家ベートーベンが残した愚作といわれている有名な「ウェリントンの勝利(別名「戦争交響曲」と呼ばれている)」をご存じですか? 1813年6月21日、スペイン・ビトリアにおいてウェリントン公アーサー・ウェルズリー率いるイギリス軍がフランス軍に勝利したことを受けて、ベートーヴェンがウェリントン公を讃える曲として作曲した大規模な編成の、演奏時間が約15分の管弦楽曲です。 当時オーストリアはフランスと10年間も戦争を続けていました。オーストリア国内は疲弊し経済的にも精神的にも打撃をこうむりました。日本の第二次世界大戦での敗戦前夜のような様相だったのでしょう。そこに救世主が現れます。オーストリアの同盟国イギリスが有名なウェリントン将軍が指揮を執ることでスペインで勝利を勝ち取りました。当時メルツエルという現代風の言葉で言えばプロデューサーのような人がいて、彼がこの戦争を音楽に表現してくれないかと、ベートーベンに話を持ち込みました。 疲弊していたオーストリア国民を讃えるかのように、ベートーベンはこの戦いを音楽にしました。 のちにフランス・リストが創始した交響詩のような音楽です。ベートーベンはこの戦争を大規模な編成と擬音効果を交えて華々しく描きました。 オーケストラに加えて左右にイギリス軍、フランス軍役の軍楽隊、大砲、銃、太鼓、進軍ラッパまで軍隊で使用する道具まで駆使して、一大スペクタルを想起させる、現代の映画音楽のような音楽が現れたのです。 まさに演出効果満点のスペクタクル音楽です。 そう、あのチャイコフスキーがナポレオンと戦ったロシア軍勝利を讃えた「大序曲1812年」と似ています。初演は大成功だったようです。 以降この曲は聴衆に多いに受けてベートーベンのヒット曲となりました。 あの第7、第8番の交響曲が前座でメインがこの「ウェリントンの勝利」という演奏会プログラムの図式だったそうです。 興行的にも大当たりとなったそうです。ところが聴衆の方も戦争の勝利から目覚めて地道に国家再建の道を歩み始めると、この音楽に疑問をはさむようになり、いつか演奏会から敬遠されるようになっていきました。 現代の演奏会では、ベートーベンの曲として採り上げられることが非常に少ない曲となってしまいました。その理由は音楽があまりに浅薄で深い味がなく、ただ意表をつく鳴り物入りの音楽という評価に変わったからです。 確かにこの曲はベートーベンが書いた音楽としては、とても物足りなさを感じるもので、聴く人の評価によりますが、お世辞にも名曲とは言い難い「駄作」「愚作」の部類に入るものだと、私は思います。曲は娯楽的でベートーベンの常である風格はなく、肩の凝らない音楽で、戦争といってもミサイルが飛ぶわけでもなく、所謂鉄砲による戦争で、実際にカノン砲やマスケット銃が炸裂していて剣道の練習をやっているような雰囲気で進むのが特色です。 それまでに大規模な戦争を描いた音楽がなかったのか、この作品が大当たりをとったという話がわかるような気がします。初演当時の熱狂的に迎えられた曲も、今は「駄作」扱いの「ウェリントンの勝利」。 さすがに膨大な録音量を誇るベートーベンの音楽の中でも、この曲の録音は数えるほどしかありません。何故こんな曲をベートーベンが書いたのか不思議です。愛聴盤 アンタル・ドラティ指揮 ロンドン交響楽団(マーキュリー・レーベル 434360 1960年録音 海外盤)フィリップスから直輸入盤として日本語解説付きでリリースされたいた盤を聴いていますが、現在ではカタログとして残っているのかな? 海外盤を紹介しておきます。 このディスクはチャイコフスキーの「大序曲1812年」が話題となったもので、私もそれを目当てに買ったところ、この曲がカップリングされていたという偶然の賜物でした。
2007年10月30日
閲覧総数 3557
2

『今日のクラシック音楽』 メンデルスゾーン作曲 交響曲第5番「宗教改革」今日は音楽カレンダーを見ていただければ、わかりますように有名曲の初演日でもあり、有名作曲家の命日でもあり、どれを話題にしようかと随分と悩んだ結果、あまり採り上げられないこの曲を選んでみました。フェリックス・メンデルスゾーン(1809-1847)は、ドイツ・ハンブルグに生まれたユダヤ系作曲家でモーツアルトやシューベルトのように若くして世を去っています(享年38歳)。 彼は指揮者としても名を成しており、現存するドイツの名門オーケストラのライプチッヒ・ゲバントハウス管弦楽団の指揮台にも上っています。現在の指揮法の礎を築いた人としても語り継がれており、彼の最大の功績は若干20歳で1829年(ベートーベン没後2年、シューベルト没後1年)に、大バッハの「マタイ受難曲」を公開の場で初めて演奏したことであり、これが「マタイ」の初演とされているそうです。モーツアルトやシューベルトの様に作曲活動を行う上での生活資金の工面に汲々としなければならなかったのと比べても、メンデルスゾーンは裕福なユダヤの銀行家に生れていたため、豊富な資金を背景に若い頃から英国やイタリアなどに旅行をしており、そうした体験から美しい音楽を生み出しています。ワーグナーが彼を表して「第一級の音の風景画家」と言わしめたほどに、その音楽描写には独特の美しさを湛えている作曲家でもあります。 ナチス時代には、1829年に彼の功績を讃えた銅像がライプチッヒのゲバントハウス前に建てられていたのですが、1937年にナチス・ドイツによって引き倒される事件があるなど、ユダヤ人の生まれであることから死後に不遇な扱いを受けている作曲家でもあります。 しかし、音楽の美しさはナチス・ドイツでさえも逆らうことが出来なかったようで、メンデルスゾーンの代名詞のような、現代では「メン・チャイ」とも呼ばれるメンデルスゾーンとチャイコフスキーの2大ヴァイオリン協奏曲とされており、彼の名前を伏せて演奏会で採り上げられたという記録も残っているそうです。メンデルスゾーンは,ドイツの前期ロマン派として音楽を書き残していますが、決して奇を衒うような曲はなく、古典の音楽形式の中に自由な楽想をふんだんに散りばめて書いており、そういう意味では非常に保守的であると言えるかもしれません。またそうした姿勢が今日まで親しまれている理由の一つかも知れません。交響曲、協奏曲、器楽曲、室内楽曲、オラトリオ(私は「エリア」が大好きなのですが)など多くの音楽ジャンルに名作を残していますが、交響曲では習作を含めると17曲書いたと言われていますが、そのうち現代では彼の書いた最後の第1番~第5番と呼ばれている曲が演奏されるにとどまっています。尚、作曲順と番号は必ずしも一致せず、楽譜の出版が死後となった第5番は、3番「スコットランド」や4番「イタリア」、2番「賛美」よりも先に書かれているそうです。作品105の第5番ニ長調はメンデルスゾーン21歳の時に書かれた曲で、「宗教改革」というタイトルが付けられています。これはマルチン・ルター派の宗教会議300周年の記念式典用として書かれたと言われています。第1楽章では「ドレスデン・アーメン」と呼ばれているおり、ドレスデンでの宮廷礼拝堂で行われる独特の「アーメン」で、ワーグナーも神聖舞台劇「パルジファル」で「聖杯の動機」の中にも使っています。第3楽章の弦楽器による抒情的な祈りのような旋律がとても美しく、その雰囲気のまま切れ目なく終曲へと流れていきます。第4楽章では、ルターのコラール「神はわがやぐら」の旋律が用いられており、終曲のコーダではこのコラールが壮麗に、高らかに演奏されていかにも典礼風といった音楽として鳴り響きます。このあたりにも『音の風景画家』と評されたメンデルスゾーンの面目躍如といった感のある、宗教的雰囲気を漂わせた名曲です。学生時代にNHK-FMから流れてきたサヴァリッシュ指揮のこの曲に耳を奪われるような美しさに感動して、早速買い求めて以来好きな交響曲の一つとなっています。またメンデルスゾーンの父がユダヤ教からキリスト教プロテスタントに改宗しまたので、メンデルスゾーンもそれに従っています。 その意味もかねて今日はこの曲を採り上げました。そのメンデルスゾーンは1847年の今日(11月4日)、わずか38歳の短い生涯を閉じています。愛聴盤 クルト・マズア指揮 ライプチッヒ・ゲバントハウス管弦楽団(RCA原盤 398.21341 1972年録音)↓マズア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・『今日の音楽カレンダー』1783年 初演 モーツアルト 交響曲第36番「リンツ」1847年 没 フェリックス・メンデルスゾーン(作曲家)1876年 初演 ブラームス 交響曲第1番1890年 初演 ボロディン オペラ「イーゴリ公」1924年 没 ガブリエル・フォーレ(作曲家)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ともの『今日の一花』 ホトトギス秋に咲く可愛い花の代表花の一つで、シベの奥に黄色い部分があり、花びらの斑点が何とも美しく可愛い花です。撮影地 自宅の庭 2005年10月31日今年も同じ場所で花をつけて楽しませてくれています。 撮影地 自宅庭 2006年10月30日百合科 ホトトギス属 開花時期 9月~11月中旬 秋の日陰に生えています。 我が家でも実の成らないレモンの木の下にひっそりと咲いています。花にある斑点模様が、鳥のホトトギスの胸にある模様と似ていることからこの名前が命名されているようです。 この名前の花は上の画像のものが一般的ですが、他に黄色い花の咲く種類もあり、日本原産だけでも19種あるそうです。 ↓ホトトギス 9月12日の誕生花 花言葉は「秘めた意志」
2006年11月04日
閲覧総数 189
3

『今日のクラシック音楽』 ブリテン作曲 青少年のための管弦楽入門オーケストラで使われている楽器の名前や、個々の楽器の音色などを素晴らしい音楽付きで紹介している、世界の音楽史上でもこの一曲だけというがあり、この曲を聴くと自ずとオーケストラの楽器について知ることができるようになっている曲があります。イギリス政府は学校における音楽教育の教材として1946年に一編の映画を製作しました。 「管弦楽の楽器」という教育映画で、それに音楽を付けたのがイギリスの作曲家ベンジャミン・ブリテン(1913-1976)で、「青少年のための管弦楽入門」と題されていてイギリスの作曲家ヘンリー・パーセル(1659-1695)が書いた主題とブリテン自身の主題を用いて、変奏曲とフーガという音楽形式にまとめ上げています。曲は3つの部分から構成されており、第一部ではヘンリー・パーセルの主題が全合奏によって演奏され、続いて楽器のグループ別に演奏されます。 第二部は、個々の楽器による演奏で各楽器の特色や音色がわかりやすく演奏されます。 第三部は、パーセルとブリテンの旋律が奏されて、二重フーガとなり華やかで壮麗な旋律と音楽がクライマックスへと盛り上げて終わります。この曲を聴けばオーケストラで用いられている楽器について耳でよく理解できるようになっています。 楽譜には、指揮者が楽器の形や特徴などを解説するように指示されていますが、解説なしで演奏されることが多く、その場合は「パーセルの主題による変奏曲とフーガ」と呼ばれることが多いようです。この「青少年のための管弦楽入門」は1946年の今日(10月14日)、イギリスのリヴァプールで初演されています。愛聴盤 アンドレ・プレヴィン指揮 ロイヤルフィルハーモニー管弦楽団(テラーク原盤 ユニヴァーサル・クラシックス UCCT4012 1985年録音)プロコフィエフの交響的物語「ピーターと狼」がカップリングされています。↓ブリテン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・『今日の音楽カレンダー』1926年 誕生 カール・リヒター(指揮者・オルガニスト)1946年 初演 ブリテン 青少年のための管弦楽入門・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・『だんじりの風景』先日掲載できなかっただんじり祭の風景をアップしておきます。撮影地 大阪府和泉市 2005年10月9日
2005年10月15日
閲覧総数 141
4

『今日のクラシック音楽』 ジュゼッペ・ヴェルディ作曲 オペラ「椿姫」イタリアの作曲家、ジュゼッペ・ヴェルディ(1813-1901)は「ナブッコ」「ドン・カルロ」「トロヴァトーレ」「運命の力」「アイーダ」「ファルスタッフ」など数多くのオペラを書き残しています。 それらのオペラで彼が生きた同時代に近く、一市民を描いているオペラの代表作が「ラ・トラヴィアタ(椿姫)」です。 小説「モンテクリスト伯」などの文学史に残る名作を書いたフランスの作家デュマの息子で、「小デュマ」が書いた戯曲「椿姫」を題材にしたこのオペラは、1853年3月6日に初演されています。 全3幕からなるオペラで「乾杯の歌」「花から花へ」「プロヴァンスの陸と海」「パリを離れて」などの名アリアが散りばめられた、オペラ名作中の名作です。第一幕 パリ、ヴィオレッタのサロン高級娼婦ヴィオレッタは、酒と、毎夜繰り返されるパーティーの賑やかさにおぼれる毎日を送っていましたが、その夜のパーテイにヴィオレッタに想いを寄せていたアルフレードが紹介されます。 彼は促されるまま「乾杯の歌」を歌い、ヴィオレッタと一同もそれに唱和します。 その夜は胸に患いのある彼女を襲う発作。 居室にいる彼女にアルフレードが、自分がいかに彼女を愛し、また心配しているかを熱く語ります。まじめな恋なんて、と一度は笑いとばすヴィオレッタでしたが、初めて真剣な愛の告白に次第に引きこまれていきます。 やがて友人たちが帰った後、サロンでひとり物思いに耽るヴィオレッタ。 初めての愛の喜びに浸る彼女でしたが、ふと我にかえり娼婦なる自分の身を自嘲して叫ぶのです。“馬鹿なことを!おろかな妄想だわ!”そこへ聞こえてくるアルフレードの声…“愛は、神秘的で、気高く…”ヴィオレッタは迷い、苦しみながらも彼の愛を忘れようとするのでした。(「そは彼の人か~花から花へ」)第二幕第一場 パリ郊外の別荘アルフレードの情熱に打たれたヴィオレッタは、パリ郊外で二人で幸せに暮らしています。しかしある日、息子がとんでもない女性に熱を上げ財産を貢いでいると思い込んだ父親ジェルモンが、彼の留守に乗り込んできます。 強気だったジェルモンも、ヴィオレッタが真剣に息子を愛しており、また金銭的にも彼女の方が負担を負っていることを知り態度を和らげますが、アルフレードの妹の結婚にさしさわるからぜひとも別れてほしいと彼女を説得するのでした。自分が娼婦であったが為のこの理不尽な願いに嘆くヴィオレッタですが、泣く泣く別れを承諾します。 彼女は偽りの別れの手紙を書き、パリへと戻っていきます。それを読んで激しく嘆くアルフレードにジェルモンは、ふるさとへ戻るようにと語りかけます。(「プロヴァンスの海と陸」)しかし頭に血が上ったアルフレードは、自分を裏切ったヴィオレッタに復讐をするのだと、父親が止めるのも聞かず飛び出していくのでした第二幕第二場 パリ、ヴィオレッタの友人フローラのサロン社交界に戻ったヴィオレッタは、男爵とともにパーティーにきて、思いもよらぬアルフレードに遭遇します。 彼は男爵と賭をし、勝ちまくります。 彼の身を案じたヴィオレッタはこっそり彼を呼び出しここを去るよう言いますが、彼女が男爵に心変わりしたと思い込んでいるアルフレードは聞かず、一同の前で「借りた金を返す」と、賭で勝った金をヴィオレッタに投げつけるのでした。ショックのあまり気を失うヴィオレッタ。 アルフレードの非礼を責める一同。 そこへアルフレードを追って現れた父ジェルモンにも責められ、彼は激しい後悔の念にかられるのでした。第三幕 ヴィオレッタの家ヴィオレッタの病が悪化して、持ち物も売りつくし召使いのアンニーナと二人でひっそりと暮らしています。「アルフレードが謝罪に向かっている」とのジェルモンの手紙だけを生きがいに命をつないでいる彼女は、その遅い訪問を嘆き、「神様、道を踏み外した女に哀れみを」と悲しげに祈ります。 そこに突然アンニーナがかけこんできます。 アルフレードが戻ってきたのです!激しく抱き合う二人。彼はもう一度田舎で2人静かに暮らそう、と優しく語りかけます。(「パリを離れて」)しかしヴィオレッタの病は重く、もう一人では立っていられないほど衰弱してしまっているのでした。ジェルモンもかけつけ彼女に許しを乞い、医者も呼ばれますが時既に遅く、もう手の施しようがありません。その時突然ヴィオレッタの体から苦しみが消え、彼女は何かに導かれるように立ち上がります。「私、生き返るのね…うれしいわ!…」 しかしそれはまるで消える前のローソクの炎の一瞬の輝きのようでした。 彼女は愛する人の腕の中に崩れ落ち、もう二度と目を開くことはありませんでした。愛聴盤 ピラール・ローレンガー(S) ジャコモ・アラガル(T) フィッシャー=ディスカウ(Br) ロリン・マゼール指揮 ベルリン・ドイツオペラ (DECCA原盤 443000 1968年録音 輸入盤)カラス、コトルバス、フレーニ、グルベローヴァ、ゲオルギュウなどの名歌唱が目白押しのディスクですが、1966年のベルリン・ドイツオペラでの来日ステージが忘れらず、今回も全幕を通して安定した歌唱のローレンガーと、鬼才マゼールの激しいドラマに魅かれてお薦めとしますが、決してこれがベストということではありません。 奇しくも今日がマゼールの誕生日です。映像ではストラータス/ドミンゴ/レヴァイン指揮 ゼッフィレッリ演出のオペラ映画が秀逸です。 ユニヴァーサル・クラシックからDVDで発売されています。(グラモフォンレーベル POBG1017 1982年製作)映像としてもう一つ。 絶世の美女アンナ・モッフォ全盛期のDVDがあります。 彼女の最も美しかった頃の貴重なオペラ映画です。 フランコ・ボニソッリ、指揮がジュゼッペ・パターネ ローマオペラ劇場管の演奏です. (VAIレーベル VAIDVD4223 1968年製作)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・『今日の音楽カレンダー』1831年 初演 ベッリーニ オペラ「夢遊病の女」1853年 初演 ベルディ オペラ「椿姫」1914年 生誕 キリル・コンドラシン(指揮者)1930年 生誕 ロリン・マゼール(指揮者)1933年 逝去 ジョン・フィリップ・スーザ(作曲者)1944年 生誕 キリ・テ・カナワ(ソプラノ)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2005年03月06日
閲覧総数 271
5

『室内楽の楽しみ』 ベートーヴェン作曲 ヴァイオリンソナタ第9番イ長調 ベートーヴェン(1770-1827)はヴァイオリンソナタ第5番「春」を書いた後、6番ー8番を作品30として一括して出版したあとに、1803年5月にイ長調の第9番「クロイツェル」を書き上げています。 ベートーヴェン32歳の春でした。 交響曲では3番「英雄」が完成間近の頃にあたります。 彼はヴァイオリン・ソナタを全部で10曲書いていますから、「傑作の森」と呼ばれる中期以前の第1期にすでに9割のソナタを書き上げてしまったことになり、最後の10番の完成はほぼ10年経った1812年まで待たねばならないのです。そして1812年以降、亡くなるまでの15年間はとうとうヴァイオリンソナタを書くことがありませんでした。さて、この第9番の「クロイツェル」ですが、様々なエピソードが残されています。第一に、ベートーヴェン自身が副題をスコアに書いているのが「ヴァイオリンの助奏を伴うきわめて協奏的なピアノのためのソナタ」と指示していますが、とんでもない、この曲は「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」と呼ぶべきで、ヴァイオリンは助奏どころかきわめて二重奏的な色合いの濃い曲となっています。 これは前作の第5番「春」についても言えることですが、ヴァイオリンとピアノのパートが独立性が高く、まるで2つの楽器による二重奏といった趣きで、決してヴァイオリンパートは「助奏」ではありません。 もっとも曲を聴けばそんなことはすぐにわかるくらいにきわめて優れた二重奏曲であると理解はできますが。演奏時間は30分を超す雄大・壮大な規模で書かれており、3楽章形式です。第1楽章は、二つの楽器の対話で進む緊張感にあふれたアダージョ・ソステヌートで始まり、大規模な主部へと進んでヴァイオリンとピアノの掛け合いによる張り詰めた緊張を伴う音楽に耳を奪われます。 ベートーベンのほとんどの音楽がそうであるように、とても腰が据わった安定感のある旋律・リズム・和声で貫かれた堂々とした音楽です。第2楽章は、アンダンテでしかも変奏曲風にと書かれていて、変奏曲スタイルによる緩やかなテンポの楽章で、風格ある主題が提示されたあとに4つの変奏が行われ、しかもカデンツァとコーダ付きという重厚なアンダンテ楽章です。 雄大・壮大な規模の音楽と打って変わって、ベートーベンはこれほどに優しいのかと思うぐらいに優美な旋律の楽章です。終楽章は、プレストでまるでイタリアの「タランテラ舞曲」を想起させるようなリズミックな躍動感にあふれ、華麗で、力強い音楽で締めくくられています。まさにヴァイオリンソナタの音楽史上でも稀な大傑作です。ベートーヴェンは、この曲をイギリス国籍のブリッジタワーというヴァイオリニストに献呈するために書いたと言われています。 ですから初演はこのブリッジタワーとベートーヴェンによって行われたのですが、完成が遅れたために初演のステージでは、楽譜の清書が間に合わず、第2楽章はヴァイオリンは草稿のまま、ピアノはスケッチで演奏されたというエピソードが残っています。ブリッジタワーに献呈するために書かれたこの曲が、何故「クロイツェル」なのか? それは初演のあとベートーヴェンとブリッジタワーが不仲となり、フランスのヴァイオリニストのロドルフォ・クロイツェルに献呈されてこの副題がつけられたそうです。しかし、クロイツェル自身がベートーヴェンの激しい音楽を好んでいなかったので、彼によってこの曲は一度も演奏されなかったという後日談が残っています。この曲にまつわる話は、ロシアの文豪トルストイが書いた小説「クロイツェル・ソナタ」があります。 倦怠期のロシア貴族の一家庭の不倫事件を扱っており、貴族の妻が家庭に出入りするヴァイオリニストと恋に落ち、夫が嫉妬のあまり妻を殺すという物語ですが、その不倫の発端となったのがこの「クロイツェル・ソナタ」の合奏だったのです。 トルストイはこの小説の展開上、この曲を重要な予想として扱っています。またチェコの作曲家ヤナーチェックは、このトルストイの小説を読んで「トルストイのクロイツェル・ソナタに霊感をうけて」と題した弦楽四重奏曲第1番を作曲しています。愛聴盤(1)ギドン・クレーメル(VN) マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)(ドイツ・グラモフォン 447054-2 輸入盤)緊張感の漲った演奏で丁々発止と受け渡しをしながら演奏される名人芸に酔うのに格好のディスク(2)ダヴィッド・オイストラフ(VN)、レフ・オボーリン(ピアノ)(Philps原盤 ユニヴァーサル・ミュージック 1967年録音)風格がただよう、オイストラフの遅めのテンポが王者の足取りのように聴こえてきます。 しかも力強い気迫のこもった熱い演奏で、40年以上の前の録音というのを忘れてしますほどの堂々とした熱演で、これこそ名演奏と呼べる記録だと思います。LP時代から一体何度再発売を繰り返してきたことでしょう。 現在は1000円盤で第5番「春」とのカップリングもうれしいディスクです。(3)アルテュール・グリュミオー(Vn) クララ・ハスキル(P)(Philips原盤 ユニヴァーサル・ミュージック UCCP3438 1957年モノラル録音)私が14-5歳の頃に買って聴いた懐かしい録音で、しなやかで温かみのあるグリュミオーのヴァイオリンとハスキルの奏でるピアノは、至福の時空へ誘ってくるれような演奏です。 これも何度再発売されているかわからない程リリースを繰り返しています。 現在は「歴史的名演シリーズ」として1200円盤として再発売されています。(4)西崎崇子(Vn) イェネ・ヤンドー(ピアノ)(Naxos 8.550283 1989年録音)可もなし不可もなしと言ってしまえばそれまでですが、西崎の実に素直な音色が美しい演奏で、こういうのを「普遍的」と呼べる演奏ではないでしょうか。 知人のヴァィリオンの先生に聴いてもらったところ「こんなんやったら私でも弾けるわ」と言われたそうです。それほどに西崎の音色は素直そのものです。Naxos社長夫人という地位にありながら、さすが世界で最も録音の数が多いヴァイオリニストの演奏と肯ける模範的で万人に薦めたいディスクです。 価格も1000円。 ベートーベンの「スプリング・ソナタ」とのカップリングです。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・『今日の音楽カレンダー』1876年 誕生 パブロ・カザルス(チェリスト)1893年 初演 ドビッシー 弦楽四重奏曲1906年 初演 シベリウス 交響詩「ポヒョラの娘」1965年 没 山田耕作(作曲家)2001年 没 朝比奈 隆(指揮者)
2007年12月29日
閲覧総数 306
6

「珈琲ブレイクに一曲」 チャイコフスキー作曲 「四季」交響樂的な響きの音楽の多いピョートル・チャイコフスキー(1840-1893)。 6曲の交響曲、「白鳥の湖」で代表される3つのバレエ音楽、ヴァイオリン協奏曲やオペラなどを書いたチャイコフスキー。 彼の音楽の特徴はとてもシンフォニックな響きです。そのチャイコフスキーが数多くのピアノ曲を書いています。 およそ100曲ものピアノ独奏曲を書いているそうです。 私も彼のピアノ独奏曲では「四季」と晩年に書いた「18の小品集」を聴いて楽しんでいます。今日はそれらの中から「四季」を選びました。 ロシアの大地を思わせる民族の音楽とでも形容すればいいのでしょうか、チャイコフスキーの音楽には「ロシア」がいつも根ざしています。 この「四季」も彼が住んでいたロシアの1月~12月の情景を、ロシアの詩人9人が書き記した自然や生活に関する詩に基づいてピアノ独奏で表現した音楽です。 どの曲もとても親しみやすい旋律ばかりでロシア的なピアノ音楽に浸ることが出来ます。1月 炉端で 2月 謝肉祭 3月 ひばりの歌 4月 松雪草5月 白夜 6月 舟歌 7月 草刈り人の歌 8月 収穫 9月 狩り 10月 秋の歌 11月 トロイカ 12月 クリスマスこの12曲の中でもとりわけ好きなのは1月「炉端で」、 8月「収穫」、11月「トロイカ」です。 「炉端で」はロシアと日本の暖炉と囲炉裏端の違いはありますが、この旋律を聴きますと子供の頃にはまだあった「囲炉裏端」のぬくもりが伝わってくるようです。8月「収穫」のリズミックな旋律としっとりとした抒情的な旋律、11月の「トロイカ」は雪のロシアの大地を走る情景、特にロシア映画「チャイコフスキー」で観た雪原を走るトロイカの情景と重なります。冬の寒い日に熱いコーヒーでひと時を過ごす音楽にぴったりのピアノ作品です。愛聴盤 ウラジーミル・トロップ(ピアノ) (DENON CREST1000 COCO70532 1995年録音)1000円盤でカップリングはラフマニノフの5曲から構成されて「幻想的小品集」です。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「今日の音楽カレンダー」1876年 初演 グリーグ 劇付随音楽「ペール・ギュント」1934年 誕生 レナータ・スコット(ソプラノ)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「冬の長居植物園」これも2月19日に長居植物園で撮った画像です。クリスマス・ローズ水仙
2008年02月24日
閲覧総数 131


