プレリュード

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2010年10月28日
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「名曲100選」  チャイコフスキー作曲 交響曲第6番 ロ短調「悲愴」



管楽器が物哀しい調べ、鬱蒼とした旋律を謳い、ブラスが時には吼えるがこれもハーモニーの厚い憂愁の流れを歌う。 弦楽器はまるでうねる様に悶え、すすり泣き、時には慟哭のような哀しみを謳う。 終楽章の哀しみは限りのない程に心に迫ってくる。 ここにはモーツアルトの疾走する悲しみがなく、立ち止まり嗚咽を挙げて泣くチャイコフスキーの悲しみが刻まれている。

この曲を初めて聴いたのが確か中学2年生頃だったと思う。 何の予備知識もなくていきなり30cmLP盤を買ってもらって聴いたのが最初。 ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮のフィルハーモニア管弦楽団のモノラル録音のLPだった。 コロンビア・レコードだった。 今から思うと何故カラヤン指揮の録音がコロンビアだったのか不思議。 まあ、そんなことはどうでもいい。

とにかく聴き終わって「哀愁」、「悲しさ」の美しさに圧倒された曲。その前に買って聴いていたのがドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」(ヴァツラフ・ターリッヒ指揮 チェコフィル盤)だったから、両曲の落差はひどかった。 心に圧倒的に迫ってくる「哀しさ」。

特に終楽章の、悶えに悶えている表情は忘れがたい音楽だった。その前の第3楽章のマーチ風の怒涛のような物凄い迫力ある音楽の推進に息を呑まれるように聴き入っていたから、この終楽章の「すすり泣く」ような音楽はいっそう心に残る音楽だった。

そして、その感動は今も変わっていない。同じです。 14歳の頃に聴いた聴感がそのまま今も変わらずに生きています。 

チャイコフスキーの「白鳥の歌」となった最後の作品。 およそ120年前の1893年の今日(10月28日)、チャイコフスキー自身の指揮でロシアのペテルブルグ(現在のサンクト・ペテルブルグ)で初演されています。

初演は不評だったそうです。それは聴衆にとってあまりにも型破りなスタイルの交響曲であり、あまりにも「悲しみ」に満ちた曲であった為と言われています。 しかし、この初演から9日後にチャイコフスキーが亡くなっています。



そういった詮索を受け付けないほどに曲は美しい「悲しみ」「哀愁」に溢れた音楽を湛えています。 チャイコフスキーの死後ようやく人々はこの音楽を理解できたのでしょう。再演されたこの曲を聴いた聴衆からすすり泣きが漏れていたそうです。 


愛聴盤

フェレンツ・フリッチャイ指揮 ベルリン放送交響楽団

POCG1957 1959年録音
(グラモフォン原盤 ユニヴァーサル・ミュージック POCG1957 1959年録音)

カラヤンの64年録音盤、ムラヴィンスキーの60年と82年録音盤、バーンスタインの86年録音盤などを主に取り出して聴いていますが、このフリッチャイ盤ほどに熱く演奏された録音盤を知りません。 音の一つ、一つに情熱と哀しみを込めた渾身の演奏は50年を経た現在でもこれほどの演奏を聴かせてくれる指揮者は稀有と言っても過言でない記念碑的な人類の遺産だと思います。

弦楽器の呻る様な表情、寂しげな木管の響き、厚いブラスのトーンもほの暗く、全楽章を通してチャイコフスキーの嘆きが聞えてきます。

多くの人に聴いていただきたい演奏です。













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最終更新日  2010年10月29日 00時12分26秒
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