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2014.12.22
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カテゴリ: びしびし本格推理
豪華客船・氷川丸の船上で展開されるミステリーを読んだ。

○ストーリー
日本の軍国主義が進み始めた1932年,本山高一郎は見聞を広めるためにアメリカへ渡ろうとする。横浜で氷川丸に乗り込む前日,彼は旧友からタイタニック号で事故死を遂げたアメリカのミステリー作家の幻の原稿というものを渡される。船旅が始まり,彼はそこで知り合った人々とその原稿について語る。だがその夜,原稿は謎の男に盗まれかけ,肝心の結末部分が失われてしまう。また船内では金髪美女の幽霊騒ぎが起き,ついに殺人事件が?!華やかな船旅の中で,高一郎たちが気付かされたこととは?

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冒頭に氷川丸のデッキの平面図と登場人物リストが掲載されている。伝統的なミステリーの匂いはそれだけでも漂ってくる。豪華客船に乗る客たちの食堂やデッキでの会話もアガサ・クリスティーを思い出させるし,物語の中で話題となる幻の原稿はジャック・フットレル(フュートレル)のものだ。

それ以外にも,いくつかのミステリー作品へのオマージュがあり,作者が先達の作品を背景にして,日本人作家として意図したテーマが浮かび上がってくる。

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それにしても若竹七海は客船を舞台にした〈グランドホテル〉形式の作品が好きだ。ロンドンへ向かう船旅を軽妙に描いた「名探偵は密航中」,大人の苦い味わいの短編集「船上にて」,そして今回の作品だ。

今回の主人公・高一郎は,資産家の息子で学校も出たのに,ミステリーを受動的に読んでいるばかりで,働きもせず,小説を書くわけでもない,という実務的な能力の乏しい人物だ。



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最も単体の作品として見ると,あまり手際が良いとは思えない。船旅で過ごす1日と1章が一致しているとは言え,前半はほとんど展開が無く,あるいは寄り道をしていて,いかにも時間稼ぎで読んでいて楽しくない。また船の中であちこちに登場する金髪女性の幽霊とその後の説明にゲンナリする。

伝統的な作品の空気をまとうのは良いのだけれど,そのだるさ,主人公の間抜けさまでも踏襲するのは失敗だったと思う。










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Last updated  2014.12.23 20:44:18
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