母が以前から習っていた流派とは別の流派の「華道」を
新たにはじめると言いだした。
それで、私にも一緒に習わないかと。
「華道は好みじゃないの。花は好きだけど…」と私が言うと
「どうして?」と母。
「…だって、あんなに、花を小刻みに切ったり、ゆがめたり、
剣山に無理に押し込んだりって…、花がなんだか可哀そうで…
不自然だとおもうから。花はそのままに近い状態で、花瓶に
優雅に飾るのが自然だとおもうし、私はその方が好きだから…」
などと私は、生意気な口をきいていた。
今でいうところの、フラワーアレンジメントの方が好みだったんだと思う。
もちろん、フラワーアレンジメントも、活けるバランスを考えながら
花に細工は施す。
しかし、日本の「華道」ほどのコトはしない。
とは言うものの、母が新たな流派で活けた花を見て、
日本の「華道」もなかなかいいものだなーと、おもった。
特に好きだったのが、お盆のような花器に活けられた花。
じーっと見てると、それはまるでミニチュアの庭のような趣があった。
「写景」と言うものらしい。
小山があり、その下に低い花が咲き、石が置かれ、池がある。
全てが絶妙なバランスで配置されている。
美しい…と心からおもった。
しかし、その後も「華道」を習うことはなかったが…
ただ、母の使い残しの花で小さな花器に、ミニチュアの
庭を作って夢中で遊んでいた。
そんな 少女だった・・・・・
