りらの徒然日記

りらの徒然日記

2005年10月13日
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カテゴリ: 短歌
 「野球短歌」を探して、「塔」を遡りながら読んでいる。


 で、今年の7月号と8月号を読んでいたら、岡部史さんのこんな歌を見つけて、思わず(^ー^* )フフ♪ と一人でにやけてしまった。

パ・リーグに美髯の選手多きこと映して五月のテレビの勢ひ
                      (塔・7月号)

「負け投手・帆足」とありしがゆつくりと夕日に溶けゆく船影思ふ
                      (塔・8月号)

 1首目の「美髯」は、最初、読み方も意味も分からず、「『美形』ぐらいの意味かな…」などと思っていたのだが、調べてみたら、全然違っていた。

 美髯(びぜん)=美しいほおひげのこと


 そう思って、改めて読み直してみると、岡部さんの野球選手に対する独特の視線が感じられて、とても面白い。
 同じユニフォームを着て戦う野球選手が、プレー以外で個性を主張できるところって、髪型とひげくらいかも知れない。
 プレーとは本質的には関係ないところで、醸し出される個性に、ふと心惹かれてしまった岡部さんの感覚が、とても好ましく感じられるのだ。
 そう言う意味で、「美髯」という単語が、とても効いている一首だと思う。
 また、「五月」「テレビの勢ひ」という語選択も、的確だなぁ、と思わされる。

 ところで、具体的に「美髯の選手」って誰だろう…。
 そんなことが気になって、今年の選手名鑑のパリーグのページをパラパラめくってみる。
 意外に、ほおひげを生やしている選手は少ない(もっとも、撮影後に生やした選手もいるかも知れないが)。
 パリーグなら、思い浮かぶのは、有銘(楽天)、新垣(ソフトバンク)かな。
 それから、ほおひげじゃないかも知れないけど、ガッツ・小笠原(日本ハム)もひげが個性的。
 わがライオンズなら、マヨちゃんかな。

 ひげが作り出すイメージというのも、案外大事かも知れない。

 これから、プロ野球を見るたびに、ほおひげが気になってしまいそうだ。
 岡部さんの一首から、いろいろ思いが飛んでしまったが、こんな所も短歌は楽しいのかも知れない。

 2首目は、見た瞬間「うわぁ、帆足たんが登場している!」と思わず叫びそうになってしまった。
 ライオンズファンには、サウスポーエースとして、もう押しも押されぬ存在だけど、一般的な認知度は…、となると、はなはだ心許ない。

 そんな帆足たんが、いきなり「塔」の歌の中に登場してきたので、びっくりしてしまったのだ。

 で、岡部さんは、スポーツニュースか新聞かで「負け投手・帆足」と書かれているのを目にされたのだろう。
 その文字の並びから膨らんだ、イメージを歌にしている。
 そのイメージが、実に美しく、やわらかい。
 「ゆつくりと夕日に溶けゆく船影」という言葉が作り出す寂しさが、負け投手のそれと重なり、増幅して、1つの重厚な世界を作り出しているように思う。
 そして、岡部さんの「負け投手・帆足」に対する、やわらかい温かい気持ちまで、伝わってくるような気がするのである。
 私は、個人的に帆足たんをかなり応援しているので、こんな素敵な歌を作って下さったことが、本当にわがごとのように嬉しかった。
 帆足たんがこの歌を読んだら、どんな感想を持つだろう…。

 岡部さんは、全国大会で数回お会いしたことがあるくらいで、それほど面識はないのだけれども、何だか、一気に親しい存在のように思えてしまった(畏れ多いことだが)。
 また、岡部さんの、野球に関する短歌が読みたいな、と思った。





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最終更新日  2005年10月13日 23時35分13秒
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