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A氏:「文書」の審査・承認が必要だとすると、ハンコを押す2つの欄が必要だね。私:通常、作成者の欄が追加されて、3つの欄となるね。 しかし、中小企業では、作成から承認まで同一人が行うことが多いから、審査欄を削除して最低、作成・承認の2欄にしている例が多いね。 それでも、2回同じサインをしなくはいけないね。A氏:それでは、「文書」の審査を要求しているISO9001の要求を満たしていないのではないの?私:その場合、マニュアルで、審査は承認者が行うと明記しているね。A氏:俺の元いた会社では、審査欄が2つあって、部長が承認欄に捺印するが、2つの審査欄には課長と次長が捺印していたね。 もっとも次長は、判を押すだけで課長が実際に審査しているのだがね。 作成は係長だね。 これは印だけでなく、実際に作成している。私:君のところは大手企業だから、機能があいまいな次長とか副課長が多いからね。 ある会社で、ISO9001をとるとき、無意味な捺印をやめようとして、「文書」の欄を作成・審査・承認の3つの欄に機能的に統一したことがある。 従来は、ハンコを押す欄が5つくらいあったんだね。 そうしたら、従来、ハンコを押していた副課長がと次長が押す欄がなくなった。 副課長と次長から文句が出たので、3つの欄の欄外に押すようにしたというね。 要するに、これらの人は「俺が見た」という証拠を形式的に残したいだけなんだね。A氏:失礼な言い方かもしれないが、犬の小便みたいだね。 「審査」の中味がないんだね。 それから、作成・審査・承認には日付が必要なのかね。私:通常は日付が必要なので、ハンコでもデータ印といって、日付が入ったものを使うね。 ISO9001の拡大で使用が増えたようだよ。 その「文書」の発効日が必要だからね。 しかし、「文書」によっては、3つの欄の上に年月日を書くものもある。 これに書けば、データ印は不要だが、つい、欄外なので記入を忘れるという弱点があるね。 データ印がおすすめだが、「文書」作成がパソコン化してきたので、よほど、経理的に重要であるような「文書」以外はパソコンの文字入力になってきているので、データ印は「記録」確認には使うが、「文書」には使わなくなっているようだね。A氏:君は「文書」にハンコを押すのを好まないね。私:特に社内用の「文書」にはね。 ISO9001以前から、ある超大手企業では社内用「文書」の承認には承認者の名前のカタカナのトップの文字を書き、この文字を丸で囲んで承認としていたね。 佐藤ならサだけだね。 同姓なら、名前のトップのカタカナを一文字追加するだけだ。 承認で同姓同名というのはあまりないだろうが、あれば、どちらかに二重丸をするんだろうね。A氏:俺の会社では、ISO9001以前は、購買の注文書は工場長が承認印を押すことになっていたけれど、厖大な量なので、工場長は印を秘書の女性に渡し、その女性が機械的に捺印していたね。私:これは「記録」への捺印の話だが、ある中堅企業の社長は叩き上げで、現場をよく知っていたんで、営業マン約200名の週報に全部目を通していたね。 読んだという証拠にこれも赤のサインペンで苗字の一文字をサインしていた。 そして、コメントがあるとその赤ペンで書いていたね。 「文書」の作成・審査・承認や「記録」の確認などにハンコや署名の仕方があり、各社いろいろだが、その会社の知的体力があらわれているね。
2011.10.24
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昨日、急なヤボ用で、電車でトンボ帰り。往復5時間余の電車の中で、この本を読了。新刊である。この本は松本清張の昭和史を扱った「昭和史発掘」と「日本の黒い霧」の評論である。これらの清張の本はもう30年くらい前であろうか、当時、清張ファンであった私は文庫本で読んだ。 「昭和史発掘」は20件、「日本の黒い霧」は12件の事件からなる。 30年ほど前、これらの本をよんでいたときは、面白かったが、今、全体を通じて思い出すと私たち世代にはつらい。日本の苦々しい時代を描いているからだ。 しかし、これらを読んだことのない人には、清張の別な側面と、昭和の裏面を知るのによいガイドブックとなろう。 「昭和史発掘」のほうは、軍国主義が次第に支配し、太平洋戦争に向っていく状態が描かれる。しかし、昭和11年の2・26事件で終わり、途中の戦争の間はすっぽり抜ける。 次の昭和史は、敗戦後の事件を扱った「日本の黒い霧」で始まる。清張にとっては、2・26事件は5年後に始まる太平洋戦争と昭和史上つながっているのであろう。 「日本の黒い霧」は戦後の下山事件、松川事件、帝銀事件など不可解な事件を扱っており、その不愉快な謎が今も解けないのがつらい。清張はアメリカの謀略も疑っている。そして、最後はその謀略の総決算として「日本の黒い霧」は朝鮮戦争で終わる。だから、清張は、この本では朝鮮戦争はアメリカ側がしかけたという疑いを捨てきれない。 この朝鮮戦争で破滅した日本経済は息を吹き返し、高度成長への足固めをするが、その後の昭和史を清張は書いていない。 倒産しかけて、創業社長が退陣したトヨタは、石田社長の時代になるが、トヨタも朝鮮戦争の恩恵を受けた例にもれない。別な本だが、当時の石田社長の次のような談話がある。「この数ヶ月、ワシは夢を見ているようだ。トラックも四輪駆動車もろくに塗装もせずとも、羽が生えている鳥みたいに(韓国の米軍基地を目指して)飛んでいく。中国の義勇兵がプサンまで攻め込んできたときは、値段もへったくれもなかったで。よこせ、よこせの矢のような催促じゃった。ワシも長いこと商売をやってきたが、あの時ほどボロ儲けしたことはなかったわ。戦争直後のときも(豊田自動)織機は信じられないくらい儲けたが、今度はケタが違う。」 このカネがトヨタの生産設備に投入され、高度成長に向う。 司馬遼太郎は、この昭和の軍国主義時代は日本史で稀な狂気の一時代としている。言わば、一神教の時代である。そして「坂の上の雲」の日露戦争で小説は終わりで、その後の近代小説は書いていない。彼は敗戦時、22才で戦車隊にいたので、ノモンハン事件を小説に書くことを期待され、取材もしていた。しかし、遂に書かないで亡くなった。 司馬遼太郎は、「坂の上の雲」でも203高地の戦いを書いているとき、その戦い方の稚拙さで多くの兵士が死ぬことに耐えられず、しばしば呆然となって筆をおいたという。ましてやメチャメチャにソ連の戦車にやられ、多くの戦死者を出したノモンハン事件を書くことは気が進まなかったのではないか。 清張は36才で敗戦を朝鮮で迎えたが、2・26事件後の日中戦争、ノモンハン事変、太平洋戦争も書いていない。 保坂氏は、太平洋戦争の全体像を「あの戦争は何だったのか」(新潮新書:昨年夏発刊)として新書版に簡潔にまとめ、このブランクを埋めている。これも日本人にはつらい本であるが、知らないといけない知識であろう。
2006.06.01
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A氏:先々週から毎月曜続いた「環境側面」の「特定」と、「環境目的・目標」の「決定(設定)」の違いは勉強になったね。「設計で電力を使う」は、設計活動にある客観的な事実を定めることだから「特定」。 「設計課で昼休みに消灯する」のは人の主観的な判断が入るから「決定(設定)」だね。 設計課の「省エネ」には、「昼休みに消灯する」以外に、「パソコンの未使用時の自動電源停止」、「パソコン画面の液晶化」など、いろいろ案がある。 それらから人が評価して「昼休みに消灯する」に決めたんだからね。 人の主観的な意思が介在するね。私:「特定」と「決定」の重要な違いの認識は品質のISO9001にもあるんだよ。 何か不良品で顧客からクレームがあったとする。 修理とか、良品との交換とか、当座の処理はするが、ISO9001ではさらに未来に向けて「再発防止」を要求している。 これをISO9001では「是正処置」と言っている。A氏:「是正」というからには「是正処置」は「修正」とか「修理」することかね。私:全く違うね。 「修正」とか「修理」は、トラブルの事後処理だね。 「是正」だけならそういう解釈もできる。 しかし、これに「処置」がついて「是正処置」となると、意味が百八十度違う。 「是正」の「処置」ではない。 再発予防行為だから、未来に向けての「改善」のことだね。 今後の対策のことだね。A氏「是正措置(そち)」とも違うんだね。 これも起きたトラブルの事後処理のことで未来に向けての「改善」を意味しないね。私:「改善」活動に事後処理の「是正」という用語を使ったので、混乱しやすいね。 これは日本語訳だけの問題でなく、もとの英語でも「是正処置」をcorrective action というために、「修理・修正」を意味するcorrectionと混同しやすい。 だから、用語規格に両者は異なるという注記があるくらいだね。 ところで「改善」は、今までの仕事の方法を変更して、良いものにして、2度と同じトラブルを起こさないようにすることだね。A氏:それと「特定」と「決定(設定)」はどうからむの。私:トラブルの再発予防を考えるには、起きたトラブルの「原因」を正確に客観的につかまないといけない。 この原因を捉えることをISO9001では「原因」の「特定」という。 そして、その原因をつぶし、改善となる方法をきめる。 これを「是正処置」の「決定」という。A氏:「原因」を「特定」し、「是正処置」を「決定」するというステップだね。 自社の業務の「環境側面」や「危険源」を「特定」し、その環境影響や危険を軽減する「環境目的・目標」や「労働安全衛生目標」を「決定」するのと同じ順序だね。私:ISO9001をとっても、会社の品質が向上しないという場合、大抵、この「是正処置」をしても再発や再々発していることが多くい。 それは最初のトラブルの「原因」の「特定」が不十分なことがあげられる。A氏:「原因」の「特定」が正確でなく、客観性に乏しいということかね。私:まず、5W2Hと言って、いつ(When)、どこで(Where)、誰が(Who)、何を(What)、何故(Why)、どのように(How to)、どのくらい(How much)というようにもれなく起きた現象を「特定」して把握する。 それだけでない。 Whyについてはさらに、5Wというのがある。 カイゼンで有名なトヨタ生産方式では、「原因」では「特定」が甘いとしてと「真因」という。 「真因」まで「特定」してそれをつぶさないと再発するというわけだ。 「真因」を「特定」するテクニックとして、「何故Why」を次の例のように5回連鎖して追求して問うので、5Wと言っている。 機械が急に停止した→何故か(1W)・ヒューズがとんだからだ→何故とんだ(2W)・渦電流がながれたからだ→何故、渦電流が流れたのか(3W)→潤滑ポンプの汲み上げが不十分だからだ→何故、不十分なのか(4W)→ポンプの軸が摩耗してガタガタになっているからだ→何故、摩耗したのか(5W)→濾過器がついていないので、切粉が詰まったからだ 対策(是正処置)はヒューズを換えることでなく、濾過器の設置だね。A氏:言い換えれば効果的な「是正処置」のためには「原因」でなく「真因」を「特定」するということか。私:ところでこの重要な5Wにもとんでもない誤用がある。 来週はその例についてふれよう。
2010.11.08
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A氏:ISO9001をちょっと読んだけれど、「検証」という言葉が出てくるね。 例えば「7.4.3 購買製品の検証」の規格文を読むと「必要な『検査』又はその他の活動」とある。 「検証」と「検査」はどう違うのかね。私:用語定義集のISO9000(ISO9001ではなく、最後の1は0である)では「3.8.2 検査」のところに、「必要に応じて測定、試験又はゲージ合わせを伴う、観察及び判定による適合性評価」とあるね。 それから、「検証」は、「3.8.4 検証」で「客観的証拠を提示することによって、規定要求事項が満たされていることを確認すること」とある。A氏:ということは、「検査」は現物を扱う現場作業的な内容になっているのに対して、「検証」は事務的な仕事内容を感ずるね。私:その通りで、「検証」は必要だが、「検査つきの検証」と「検査なしの検証」が考えられるね。 ISO9001の94年版では「購入検査・試験」という項目があって、 「購入検査の量及び内容を決めるにあたっては、下請負契約者先(2000年版から『供給者』に変更)での管理の程度及び提供された適合の証拠を示す記録を考慮すること」 とあった。 これが外注から納入品に添付される「検査記録」で、これにより、その書類添付の確認で合格として、「検査」を省略できたね。 一時、ISO9001の拡大とともに、外注の「検査記録」が流行したね。A氏:94年版ではなにか、「検査」という言葉が多いような気がするね。私:2000年版の大改訂で、「検査」という言葉が基本的になくなり、「監視及び測定」に置き換わった。 それはISO9001をサービス業にも使いやすいようにということで、サービス業であまり使われない「検査」という言葉をなくしたんだね。A氏:しかし、逆に「検査」という言葉になれている製造業では「監視及び測定」という日常使っていない用語になって、かえって分かりにくいね。私:しかも、「監視及び測定」の用語は定義集にないしね。 94年版では「検査」という言葉は40個くらいあったのが、2000年版では2個になった。 君が「7.4.3 購買製品の検証」で見た「検査」は、その2個中の1個だね。A氏:何故、残ったのかね。私:10年もたってそのままだが、修正漏れだろうね。 ところで、「検査」という用語は、日本のJISでは、「品物をなんらかの方法で試験した結果を、品質判定基準と比較して、個々の品物の良品・不良品の判定を下し、又はロット判定基準と比較して、ロットの合格・不合格の判定を下すこと」とあり、「検証」という言葉がないね。 日本語では「検査」は「検証」を含んでいるようだね。 明確に分離していない。A氏:何故だろう。私:「検証」と「検査」という言葉の分離から、「検証者」と「検査員」を分離できるね。 これは日本の「検査員」は合否判定までしているが、欧米の「検査員」は測定データだけの提供で、合否の最終判定は「検証者」が行うという分業となっているようだね。 「検査員」はブルーカラー、「検証者」はホワイトカラーと考えると分かりやすい。 日本ではその区別は明らかでないがね。 言葉というのはその文化的な背景を無視できないね。
2011.04.18
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A氏:先週、ISO9001規格の弱点は工程設計にあるという君の話で、「工程設計」の重要性は理解できたように思う。 しかし、よく知らないから、基礎からもっと説明してほしいね。私:用語定義集のISO9000では、「3.4.4 設計・開発」は「要求事項を『製品』、『プロセス』、又は『システム』の規定された特性、又は仕様書に変換する一連のプロセス」と定義しているね。 この定義の注記2に「設計・開発されるものの性格を示すために、修飾語が用いられることがある(例:製品の設計・開発、プロセスの設計・開発)」とある。 この「の」は煩わしくて不要だね。 この「プロセスの設計」が「工程設計」だね。 TSの訳では「製造工程設計」と訳していて「の」はないね。A氏:それに、一々、設計の後ろに「開発」をつけるのも煩わしいね。私:ISO9001の初版の87年版、そして最初の改定版の94年版は「設計」だけだったし、現在の2008年版まで設計についての規格内容の変更はほとんどない。 それなのに、2000年版から、「開発」が付け加わったが、その意味がわかりにくい。 審査では従来の「設計」だけのときと同じだね。A氏:簡単にまとめると定義では「製品設計」「プロセス設計」「システム設計」という3つになるようだね。私:しかし、「システム設計」でいう「システム」も「製品」の1種だから、「製品設計」だね。 要するに設計には「製品設計」と「工程設計」の2つがあり、大きく分けると2種類しかない。 これは、ISO9000の用語定義を参考にすれば、簡単に理解できるね。 まず、「3.4.1 プロセス」の定義は「インプットをアウトプットに変換する、相互に関係する又は相互に作用する一連の活動」としている。 一方、「3.4.2 製品」の定義は「プロセスの結果」と単純明快だね。 この「プロセス」と「製品」の定義を結びつけると、「インプットをプロセスで変換してアウトプット(製品)ができる」という関係になるね。 「インプット→プロセス→アウトプット(製品)」だね。 だから、「アウトプット設計」が「製品設計」、「プロセス設計」が「工程設計」となる。A氏:「インプット」はどうなるの?私:「インプット設計」は「製品設計」に含まれるね。 「製品」を構成する基本要素だからだ。 ところで、 日本は高度成長期に品質で世界を制したが、そこには「製品の品質は工程で作られる」という基本的な考えが底流にあったね。 「工程設計」がしっかりしていないと、「製品設計」は絵に描いた餅になってしまう。 逆に「工程設計」がやりやすいように「製品設計」をしないとコストアップになる。 効率的な「製品設計」は、「工程設計」と共同してやることだね。A氏:トヨタの開発センターには、千人くらいの外注など部品メーカーの技術者が共同して設計しているそうだね。私:「製品設計」と「工程設計」を並行して行う効率的な設計活動を「同時設計(Concurrent Engineering:CE)」と言っている。 こういう考えはアメリカのマネジメントで発達してきたね。A氏:ISO9001ではなぜ、そういう発想がないのかね。私:ISO9001はもともと、イギリスのBS(英国標準British Standard ・BS)5750という規格をベースにして始まったから、イギリスの製造業の慣習が基本にあるのだろうね。 イギリスは階級社会だから、泥臭い「工程設計」は、伝統的に現場任せだったんだろうね。 俺の技術経験のある知人が、イギリスの日本工場のディレクターで行ったとき、残業時間に現場の不良品の修理をしたら、イギリス人のマネージャーが慌ててとんできて、それはマネージャーのやることでないと止めに来たという。 彼は頑として日本流を押し通し、品質が向上して、イギリスの輸出に貢献し、女王勲章までもらったという。 日本では、生産技術とか製造技術部門が「工程設計」を担当していることが多い。 1990年代にある大手の会社に行ったら、生産技術部門の人たちが「品質保証部門の連中が今、ISO9001で大変だ」と他人事のように言っていた。 本当は生産技術部門が品質を達成する重要部門なのにね。 ISO9001は書類屋さんの品質保証部門の仕事になりやすいね。 その点、TSはアメリカ流の上に、トヨタ生産方式を参考にして「工程設計」を全面に出しているから、生産技術部門は他人事ではすまないだろうね。
2011.01.31
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送料無料/コンビニ人間/村田沙耶香 私:「コンビニ人間」は第155回芥川賞受賞作。 一昨日、近くのコンビニまで行って買ってきた。 A氏:小説「コンビニ人間」をコンビニで買うとは、寒い洒落だね。 私:昼頃、購入し、午後から、夜までかけて、40ページほどの作品を一挙に読了したね。 コンビニという日常、われわれが知っている職場を中心に描き、仕事や店員の人間描写が面白く、途中で投げ出すことがなかったね。 A氏:このブログの「8月8日朝日新聞日曜書評より」でふれていて、ここでは、文芸評論家の斎藤美奈子氏が新種のプロレタリア文学で、主人公が暮らすのは労働疎外の先にある世界であり、読者はときに哄笑し、ときに冷や汗をかきながら、景色が反転する感覚を味わうだろうと評していたね。 私:文藝春秋では、作品の掲載頁の前頁に「芥川賞選評」を掲載しているね。 各選考委員が短いコメントを載せている。 以前、石原慎太郎が選考委員のとき、彼の選評は独特なのでよく読んだね。 彼が推奨した作品はあまりなかったように思う。 同様に、村上龍の選評もよく読んだね。 二人の選評が似ているのは、あまり熱心に推薦しているものがなかったことだね。 石原慎太郎が選考委員をやめたので、特に選評を読むのは村上龍だけになってしまったね。 A氏:しかし、その村上龍氏の今回の「コンビニ人間」の選評は珍しく、べた褒めではないのかね。 私:村上氏は、選評で「現実を描き出す」というのは、小説が持つ特質であり、力だという。 そして、「コンビニ人間」の作者は「コンビニ」という、どこにでも存在して、誰もが知っている場所で生きる人々を厳密に描写することに挑戦し、勝利したと高く評価している。 そして最後に「この作品には上質のユーモアがあり、作者に客観性が備わっていることを示す。このような作品が誕生し、受賞したことを素直に喜びたい」と村上龍氏は選評文を終わっている。 A氏:コンビニには俺達が見ている活動以外に、裏の活動があるんだね。 新人は店長やベテランから訓練を受ける。 マニュアルがある。 交代の始まりに朝礼や夕礼があり、各自の分担や特売の準備などの指示がある。 私:俺はこの「コンビニ人間」の作品を読んでから、コンビニ行ったら、何故か、店員一人一人の動きが気になってきたね。 若い学生アルバイトらしい男子の店員が、サンドイッチの棚の商品を並べ替えしていた。 賞味期限の近いものを前に並べ替えをしているのだろうか。 コンビニの世界が、そのまま世の中の縮図のように感じたね。 今、マスコミはオリンピックだらけだが、それでもコンビニはいつもと変わらず、24時間、営業をしているわけだ。 日本の多くの企業がそうであるようにーーー。 そう感じたね。
2016.08.12
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【送料無料】隠される原子力・核の真実私:再処理して蓄えられたプルトニュウムを始末するために、これを普通の原子炉の熱(サーマル)中性子炉で燃やすという「プルサーマル」計画が考えられた。 しかし、もともとウランを原料とする原発でプルトニュウムを燃やそうとすると安全性で無理がある。 この貧乏くじを引いたのが九州電力で2009年12月に玄海原発3号でプルサーマルを始めた。 次に2010年3月に四国電力伊方原発3号炉がプルサーマルを始めた。A氏:皆、弱小電力会社だね。私:中国電力の浜岡原発4号炉もプルサーマルを開始しようとしていたが、これはこの本が出版された後、例の菅直人前首相の浜岡原発全面停止で中止となっているね。 このプルサーマルで使われた使用済み核燃料は、発熱量が高く、超ウラン元素という厄介な放射性核種を含んでいるため、普通の再処理工場では処理できない。A氏:普通の原発の使用済み核燃料の再処理をする六ヶ所再処理工場すら動いていないのに、第2の再処理工場など、夢のまた夢だね。 それなのにプルサーマルが進められると、その使用済み核燃は原発の敷地内に貯蔵するしかないね。私:この本で、「『原子力発電所』という呼び名は正しくなく、正しくいうなら『海温め装置』だ」という説明があるね。 300万キロワットのエネルギーを出して、200万キロワット分は海に温水で捨てている、という。 温度にして7度上昇するという。A氏:海の生態系をおかしくするね。私:著者は、今、原発から簡単に足を洗えるとしている。 発電所の設備能力では、原発は18%と低い。 原発が発電量で28%になっているのは、火力発電所のほとんどを停止しているからだという。A氏:それに夏のピーク時が問題だけで、それは今年、福島第1原発が停止しても、東電が夏をゆうゆう乗り切ったのでも明らかだね。私;火力発電で二酸化炭素を出しても、もともと、温暖化への影響度は低いんだからね。 つくづく思うのは原発というのはやっかいなものになったね。
2012.01.14
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私:旭化成建材の杭打ち偽装で、工事全体の管理・材料発注などをしている元請けの三井住友建設の話が出てこないのが不思議だと思っていたね。 A氏:君は、杭打ち関連で以下の3つのデータ(最後に1つ追加で4つのデータ)をあげていたね。 データ1――ボーリングの地盤調査データ データ2――これによる杭の長さと杭打ちする場所の設計データ データ3――杭が地盤に打ち込まれた証拠データ データ4――打ち込んだ杭に流すセメント量のデータ 今回、主に問題になったのはデータ3だがこの重要なデータを「雨が降ったから」とか「装置の故障」などで現場で取れないので偽装したのではと幼稚な説明を旭化成副社長が昨日の記者会見でしていのには驚いたね。 私:今回の横浜市の「傾斜マンション」ではこの4データのうち、データ1とデータ2は元請けの三井住友建設で扱ったものではないのかね。 それがマスコミ報道では明確で無いね。 データ1とデータ2が正確でないと、いくら現場で設計通り作業をしても正しい杭打ちはできないね。 三井住友建設の設計者は、自分が設計した杭で問題なく地盤に打ち込まれたか気にしないのかね。 気にしていたら、データ3は打ち込みが終わったらすぐみたいはずだがね。 杭の品質を保証するには、この4つのデータの一貫性が重要だが、誰が一貫して管理しているのかね、 元請けの品質管理も問題だね。 ついでに、三井住友建設はISO9001を2002年に取得している。 A氏:旭化成建材については建設業法にもとづく国交省の立ち入り検査が始まった。 国交省はさらに、横浜のマンションの元請けのゼネコン、三井住友建設についても調べる方針だという。 私:今回、横浜では元請けの担当者は最初の1本目の杭打ちには立ち会ったものの、それ以降は旭化成建材から提出されたデータで確認しただけだった。 こうした対応が元請けの役割に照らし問題がなかったか、国交省は関心を持っているという。 元請けと直接契約していた1次下請け、日立ハイテクノロジーズも調査の対象だ。 契約では、杭工事の安全面や工程管理を担うことになっていた。 ただ、同社の社員が現場に常駐していたのかなどについて同社広報は「まだ調査中」。 もし必要な管理業務ができていないと、建設業法が禁じる「丸投げ」に当たる可能性もあるという。 今後の調査結果を待ちたいね。
2015.11.03
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私: 「コーヒーの真実」1、2、3では、コーヒーの低賃金労働の暗い歴史部分を扱っているが、この本は、原書のタイトルが「苦いチョコレート・世界で最も誘惑的なスウィートの暗い部分を調査して・Bitter Chocolate Investigating the world most seductive sweet 」とあるように、チョコレートの歴史の低賃金労働の暗い部分の歴史を描いている。 和訳の題名の「チョコレートの真実」は意訳だね。 著者は、女性ジャーナリスト。 チョコレートはカカオの実からできるのだが、カカオを食していたのは、3000年以上の昔で、オルメカ人、マヤ人が食していたという。 1502年、コロンブスがメキシコに来たときは、カカオに興味を示していかったようだ。A氏:1519年にメキシコにスペインが乗り込むね。 そして、アステカ帝国は崩壊するね。私:しかし、カカオ豆栽培は残った。 こうして、チョコレートがヨーロッパに最初に渡ったのは、スペインで1544年のことだという。 貴族などの嗜好品となる。 当時、カカオ豆から油状のチョコレートにする作業は、スペインでは修道院にあった装置で行われたという。 そして、17世紀にはイギリスに渡る。 イギリスの都市では、チョコレートは王侯貴族の嗜好品でなく、一般庶民も入れるチョコレートハウスで登場する。A氏:イギリスでは同じ頃、コーヒーハウスができるね。私:チョコレートの製造技術は産業革命の影響を受け、イギリスで板チョコを作り出すね。 19世紀半ば、イギリスの菓子業者のキャドリバー社は、チョコレートをバレンタインデーと結びつけてロマンチックな愛のシンボルにするという天才的なマーケティング戦略を展開する。 一方で、19世紀半ば、メキシコとカリブ海のカカオが病害で壊滅する。 しかし、カカオ商人は、他にカカオの生育に適した地を見つける。 ポルトガルは理想的な地をカメルーン沖、ギニア湾に浮かぶサントメ島とプリンシペ島に見出す。 ポルトガルはもう何年も、アメリカのカカオ・プランテーションにアフリカ奴隷を送り込んできた。 今度は、アフリカにカカオとアフリカの奴隷を持ってくることになった。A氏:しかし、18世紀に盛んだった奴隷貿易は世界的に禁止されたのではないの?私:ポルトガルは、表面的にはアフリカ人と雇用契約をして働いていることにしていた。 イギリスのジャーナリストのネビンソンは、1904年、現地に取材し、奴隷制の実態を雑誌に発表する。 イギリスのチョコレート業界は激しく反発。 一方、奴隷廃止運動はサントメ島カカオ豆のボイコットを求めた。A氏:奴隷廃止のイギリス政府は支援するのではないの?私:しかし、イギリスもアフリカのダイヤモンド鉱山で安い労働者が必要でひそかにポルトガルと交渉中だった。A氏:お互いに脛に傷をもっていたということか。私:困ったのはキャドリバー社だ。 この会社は、従業員の福祉を厚くして、奴隷労働にも反対の会社だった。 結局、キャドリバー社はカカオの供給源をゴールドコーストに見つけて、サントメ島カカオ豆のボイコットをしたが、10年かかった。 奴隷制に対する国際的非難や奴隷制廃止法にかかわらず、19世紀の終わりから20世紀初頭にかけて800万人にも上るアフリカ人が過重労働により死亡、または雇用者に殺害されたという。A氏:そういう悲惨な背景があって、チョコレートがヨーロッパで愛用されているのは皮肉だね。私:19世紀末、アメリカで移民の子、ハーシーはミルク入りの板チョコを発売。 製菓業界で伝説的な名前となる「ハーシー」のマーク入りのチョコだね。 1930年代になると、カカオ豆はイギリス行政支配下のゴールドコーストが最も多く産出し、ついで、フランス行政支配下のコートジボワールが産出していた。 この頃、ハーシーはカカオ豆相場に手を出して、カカオ商人のわなに落ちて大損害をする。 しかし、第2次大戦で兵士を元気付ける食品として、ハーシー社は戦争中に大いに繁栄し、アメリカのチョコレート業界で独占状態を維持する。 戦後のチョコレート業界は競争が激しくなり、多国籍企業化する。 明日は、再度、アフリカのカカオ豆栽培のその後に話を移そう。
2008.03.28
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この対談集は2004年に刊行されたもので図書館より借りて読んだ。月刊「薬の知識」に連載された対談を集めたもの。数年にわたっているが途中で、養老氏の「バカの壁」のベストセラーが出るから、対談の内容も変わってきているようだ。 養老氏の対談集は、たくさん出ているが、あまり評判がよくないようだ。それは氏の対応姿勢が言い切り型であるせいだろうか。 この本は、19人のいろいろの分野の人との対談である。 この19人の中で、もっとも対談として異色で、これこそ対談ではないかと思ったのが文筆家池田昌子氏とのものである。慶応大学の哲学科を卒業し、難解な哲学用語を使わずに、哲学を語ることを目指し、文筆活動を行っている。 彼女との対談は、冒頭、養老氏が「なんでも言いたいことをおっしゃってください。言うことがなければ、黙っておられてもいいのですが。」と意外な発言から始まる。 途中で、ベストセラー「バカの壁」の話が出る。彼女は「どうですか、読んでみなさんがわかっていると思いますか。」と聞く。養老氏は「いえいえ、わかるはずはないと。」答える。彼女は「でしょう。なぜかよく売れていますね。なんで、とか。(笑い)」とくる。 養老氏が二宮尊徳が薪を運びながら本を読んでいるということにふれ、これはついでの行為で、虫取りのように自己充足的な行為でないという。これに対して、彼女は「じゃあ、本を読むことが自己充足でもあり得るじゃないですか。」とくる。養老氏が「いや、だから僕の場合はそうじゃなかったのです。」と切り返す。これを彼女はさらに「じゃあ、変わっているだけじゃないですか、養老先生が。それこそが問題じゃないですか。(笑い)」とさらに切り返す。 彼女は、本を何十冊かあげろと言われたら、どんな本をあげますかという質問に対して、古典以外にありませんよと答えている。哲学専門だから、プラトン、デカルト、ヘーゲルとなるが、老子、荘子もあげていた。 養老氏が「子供が言語を身につけるのに、行動自体に反応する神経細胞があることがわかってきた。」と言ったら、彼女は「また、神経細胞ですか。(笑い)」と切り返す。養老氏は追いかけて「サルに電極を入れる。」と言い出すと、彼女は「また、もう(笑い)。先生、そんなことを本気で信じているのですか。」となる。養老氏「いや、だって事実だもの。」彼女「私は絶対認めません。騙されませんからね。(笑い)」 だから、この対談は、他の人の対談と違い、養老氏の「ではこれでおしまい。はい、さようなら。」であっさり終了。 この対談で彼女に興味を持ち、早速、彼女がこの対談で薦めている「14歳からの哲学」と昨年出した「勝っても負けても:41歳からの哲学」を読むことにする。
2006.05.20
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