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私
朝日新聞の月曜夕刊
には 池上彰
氏の「 新聞ななめ読み
」というコラムがある。
11月9日の月曜日
には、タイトルのような記事を書いている。
これは例の 温室効果ガスを2020年までに1990年に比べて25パーセント削減
するということに関連したものだね。
A氏
:君がこのコラムを愛読しているので、俺も毎週読んでいるよ。
25パーセント削減
すると、 1所帯当たりの可処分所得は年間22万円減少
し、 光熱費は14万円増加
するので、「 合わせて年間36万円が世帯の負担になる
」というものだね。
これは麻生前政権の目標づくりのために、 経済通産省が試算
したものだという。
これだと、 年間36万円の負担を今から20年まで毎年続くのか
と誰もが思ってしまうし、当時、テレビのワイドショーでよく大変だという説明があったね。
実は、これは 数字が独り歩きした誤解によるウソ
なんだね。
私
: 池上
氏は、 9月27日付の日経新聞
の「 中外時評
」欄の記事をとりあげ、この「 年間36万円の誤解」を指摘した内容
を「 目からウロコ
」としてほめているね。
1ヶ月ほど前の新聞記事で、ちょっと取り上げるのが遅かったね。
何か事情があったのかね。
A氏
: 約10年先を予測して計算
するのだから、 ある条件を前提
にする。
この 温室効果ガスの試算
では、 毎年、GDPが1.3パーセントほど伸びるという前提
だ。
その上に立って、 排出削減策をとらない場合と、削減策をとった場合の2002年時点の可処分所得を比較
する。
私
:そうすると 2020年の可処分所得に22万円の差が出るという計算
だ。
すなわち、 削減策をとると22万円の可処分所得のダウン
となる。
それに 光熱費の増加14万円を加えて
36万円
となる。
これは毎年、2020年まで続くのでなく、 2020年時点での差
だね。
ここにまず誤解が生まれるね。
A氏
:一方で、 毎年GDPが1.3パーセント
伸びるから、 可処分所得の絶対額
は 25パーセント削減策の実施とは無関係
に 70万円以上増加
する。
したがって、 25パーセントの削減策をとると、70万円から36万円を引いた34万円の増加
となるという意味だというわけだね。
私
:「 36万円負担が増える
」のでなく「 70万円の可処分所得増が、34万円の可処分所得増に留まる
」ということだね。
ずいぶん前のサンデイープロジェクトか何かで、 25パーセント削減をすると国民負担が年間36万円増えると司会者が言っていた
のを思い出したね。
そのとき、 民主党で環境に詳しい 福山哲郎
議員
が、ずばり、それは誤解で、経済通産相がある仮説で作った 2020年の予測値だと明快に即答
していたね
だから、俺は前から誤解はしていなかったがね。
福山
氏は、 鳩山政権で外務副大臣
になったね。
京都議定書の外交の失敗
の反省から来た布陣かね。
A氏
:しかし、こういう数字は意味があるのかね。
「 百年安心の年金
」の計算の根拠だって、将来の 子どもの出生率
や 経済成長率
を予測して計算していたね。
計算の前提になった 子どもの出生率の実績
は、 翌年から予測値を大きくダウン
しだした。
経済成長率
も、 昨年起きた百年に一度の経済不況でダウン
だしね。
私
:30年くらい前かね。
俺の友人で マーケティングを専門
にしていた人が、 工場の設備機器を作っている中小企業の売り上げ予測
をした。
彼は、その会社の 売り上げの上昇線
が、 日本企業の設備投資の伸びと比例していたのを見出し
、 当時の通産省の10年先の設備投資の予測値があったので、これを用いてその会社の売り上げの伸び率を予測
した。
ところが、 社長
は、「 そんなにうまくいくかね
」とニヤニヤ笑っていたという。
彼は頭にきて「 論理性のない社長だ
」と不満だった。
後で聞いたら、 社長
は、ときどき、 高島易断
の占い師
を呼んでいたという。
しかし、 数ヵ月後に オイルショック
が来た。
その会社の 受注は激減
した。
俺の友人の売り上げ予測は見事に外れた。
後から振り返ると、 日本が高度成長から低成長に転換した時期
だね。
A氏 :その会社は大丈夫だったの?
私 :製造機能は全部、外注にするという社長の長年の方針に救われて、実害はほとんどなかったね。
こないだ 国会中継
をTVで見ていたら、 自民党議員が鳩山首相の25パーセント目標は中身がないスローガンだと批判
していたが、 麻生政権のときも数字遊びのスローガン
であることは変わりがなかったのではないのかね。
昔から「 捕らぬ狸の皮算用
」とか「 来年のことをいうと鬼が笑
う」というし、占いも「 当たらぬも八卦
」というね。
数字スローガン
は明快で結構だが、 その計算根拠となる数字
は明日には読めない条件変化があるということと念頭に、こういう問題はあまり、熱くならないことだね。
必要なのは、 具体策の着実な推進と状況の変化に対する対応力
だね。