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私 : 8月8日 、 天皇の「お言葉」 が ビデオメッセージ で 放送 された。
これについては 論点が2つ に分かれるね。
一つ は、 天皇 が「 生前退位 」に関係する 法 に関することを ビデオメッセージで流したことの適切性 と、 もう一つは、「皇室典範」の改訂問題 だね。
前者 については 歴史社会学者・ 小熊 氏が 論壇 をまとめ、 後者 については 首都大学教授・ 木村 氏が論じている。
A 氏 :まず、 前者 だが、 明治天皇の玄孫である竹田恒泰 氏は、「 本来このような形で公にしてはいけないことであった 」と述べており、 小熊 氏も同意見だね。
憲法学者の横田耕一 氏は、 天皇の行為 には「 国事行為 」「 私的行為 」「 公的行為 」の 3つ があるという。
「 国事行為 」とは、 国政に権能を有しない天皇 が、「 内閣の助言と承認 」で行う 儀礼的行為 で、例えば、 国会の召集や栄典の授与 などがそれにあたる。
「 私的行為 」とは、 一個人としての行為 で、 一人の人間として、好きな本を読んだり、知人と会話したりするのに、内閣の助言と承認は必要がなく 、 宮中祭祀も、法的にはここに入る 。
私 :「 公的行為 」とは、 被災地を訪れたり、外国を訪問したり、外国元首と親書を交わしたりすること で、 天皇として行うのだから、「私的行為」ではない が、 憲法が規定した「国事行為」でもない。
政府見解 では、 これらは法的には限定がなく、内閣の助言と承認も必要ない が、それは、 政治的意味や政治的影響力を持つものではあってはならず 、 天皇に責任が問えないから、内閣が責任を持つことになっている 。
原武史 氏は、 被災地訪問や慰霊といった「公務」が増えた のは、 平成になってからだ と指摘しており、 法的に限定がないので、天皇のイニシアチブによって拡張しやすい領域といえる としている。
今回のビデオメッセージ が 国の予算で作成 され、 放送を想定して配布 されたなら、 それは「私的行為」でなく「公務」と考えられ 、 それに対しては内閣が責任を負っているはず だが、 その責任のあり方がみえないと小熊氏は指摘 している。
A 氏 : 2つの問題の後者の「皇室典範 」 改訂 について、 木村 氏が論じているね。
憲法2条 は、「 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する 」と規定しており、 憲法 は「 生前退位」を禁じているわけではなく 、「 皇室典範」という法律を改正すれば足り 、「 生前退位」のために改憲が必要との主張は誤解だと木村氏は指摘 する。
明治時代 に 院政や退位強制などの混乱を生ずる危険を重視し、「生前退位」を認めない形で「旧皇室典範」が制定 された。
戦後、新憲法の制定 により、 天皇の地位 は「 統治権の総攬者 」から「 国家の象徴 」へと変わり、「 新皇室典範 」が制定された。
当時、 議会 では、「 生前退位」の可否も検討された が、 明治政府 と同様に、 退位した天皇が不当に政治的影響力を行使したり、政府が退位を強制したりする危険が重視 され、 「旧皇室典範」の内容が引き継がれた という。
私 : 憲法学者や法思想史学者 の中には、 以前から、「生前退位」を認め、天皇の地位に就く人の人権回復への道を開く必要があるとの主張 があったが、 「生前退位」の制度が、政治利用されることは絶対に防がなくてはならない のは当然である。
そのためには、 「生前退位」のための明確な基準や厳格な手続き を設ける 工夫が必要 になるだろうと 木村 氏は指摘している。
その工夫が難しい ので、今まで、 先延ばし になってきているのではないかね。