りゅうちゃんミストラル

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2005.01.19
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カテゴリ: 戦争
広島高裁で外国人被爆者に関する注目すべき判決が出た。


広島で被爆、韓国人原告が逆転勝訴…国に賠償命令
(読売新聞 1月20日1時36分更新)
太平洋戦争中に強制連行され、広島市で被爆した韓国人の元徴用工40人(うち19人は死亡)が、国と三菱重工業(東京)などに総額約4億4350万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が19日、広島高裁であった。

 被爆者が出国した場合に手当の受給権を失うとした1974年の厚生省(現厚生労働省)局長通達について、西島幸夫裁判長は、「被爆者援護法の解釈としては認められない」などと述べ、請求を棄却した1審判決を変更、国に対し、原告1人あたり慰謝料など120万円、総額4800万円の賠償を命じた。

 在外被爆者対策をめぐり、国に賠償命令が出るのは初めて。国や三菱側に対する強制連行・労働の不法行為、未払い賃金の請求については、時効などを理由にすべて退けた。原告は三菱側について上告する方針。

 判決によると、原告は1944年から広島市にあった旧三菱重工業の広島機械製作所などで働き、翌45年に被爆した。西島裁判長は、局長通達について、「通達は、国籍にかかわらず被爆者を広く援護しようとする人道的な法の適用を否定するに等しい」とも述べた。

 原告らの精神的損害については、「(国が被爆者として認定した)被爆者健康手帳の所持の有無にかかわらず、(原告らの被害に)差異はない」との判断を示した。

 一方、強制連行・労働に関し、国については「不法行為が成立する余地がある」とし、三菱については、原爆投下後に十分な食事を与えず放置したなどとして、安全配慮義務違反を一部認定。国側が主張した旧憲法下の国の行為は、責任を問えないとする「国家無答責論」を退けた。

 しかし、国や三菱の不法行為に関しては、行為の時点から20年が経過すれば、損害賠償請求権が消滅する民法上の「除斥期間」の規定を適用。未払い賃金についても、請求権の消滅などを理由に退けた。

 弁護団長の在間秀和弁護士の話「通達の違法性が認められた点は画期的な判決。今後、戦後補償に与える意義は大きい」


この判決が画期的なのは、地裁でなく高裁で原告が勝訴したという点だ。
外国人被爆者に国の責任を認めたというのも注目すべき。

このまま2週間が経てば、判決は確定する。
しかし、国側が上告すれば長い戦いがまだ続く。
国はメンツがあるから上告も考えられる。
「この判決が許されたら」という恐怖感がいつも国にはある。

もうひとつ注目したいのは、「強制連行」という言葉だ。
各新聞やテレビでは、どう報道するのか、「強制連行」という言葉を使うのか気にして見たい。
中には「強制連行はなかった」という人も新聞もあるだろう。
特に新聞の社説はよく読んでおいて損はない。
「強制連行」に対する各社の考えがこれではっきりする。
(強制連行については、追記があります)

私はここで強制連行についてあったとかなかったとか言わない。
また水掛け論になるのは目に見えているし、そもそも強制連行の定義が曖昧だ。
定義がはっきりしないものを話しても感情論になるだけだ。
(これは慰安婦問題についても同じことが言える)
感情論にならずに定義を決めることは不可能なのだろうか?

また、広島や長崎で被爆したのは何も日本人だけではない。
被爆者は高齢化が進んでいる。援助するなら今しかない。

外国人被爆者 朝鮮人被爆者

日本で被爆した以上はどこの国籍であろうと、どこの国に住んでいようとも被爆者に違いない。

国籍や住んでいる国による、日本政府の差別が問題になっている。
これは、日本政府が放置すると未来にまで問題が残る。

(中国新聞社社説 在外被爆者 控訴 説得力ない国の論理)

被爆者援護施策充実についての要請

韓国の原爆被害者・在外被爆者に関する情報のページ

世界へ移り住んだ被爆者(中国新聞)



****この事件に関する注釈*****


この事件では、旧厚生省1974年によって出だされた、「402号通達」が問題になった。

これは旧厚生省公衆局長によるもので、
被爆者健康手帳の取得と健康管理手当ての給付について外国に住む被爆者を差別する内容になっている。

この通達は2002年末の大阪高裁判決の後、廃止になった。
現在では一度、被爆者健康手帳を取得して健康管理手当ての需給権を得れば、日本にいなくても手当てを給付できるようになった。

そして、今年に実現できると思うが海外にいる被爆者には、
海外での医療機関でかかった医療費を日本の被爆者同様に公費で支払う制度が始まる予定になっている。

しかしながらこれで問題が解決したわけではない。
来日しない限り被爆者健康手帳を交付しないことに変わりはないし、支給認定しないことには根本的な解決にはならない。

追記

20日の朝日新聞社説には、私とほとんど同じ意見が掲載された。
あまりに意見が私と似ているので、読んでいて「そうなんだ!」と言ってしまいそうになってくらいだ。
ぜひ一度読んでみていただきたい。

朝日新聞社説の主張でもあるが、日本政府はこの裁判で上告しないでもらいたい。
被爆者は被爆という被害をすでに受けた人だ。
その人を差別してきたのは日本政府ではないか?
しかも原告は高齢化が進んでいる。
ハンセン病裁判での決断を思い出し、政府は上告しない判断を望む。

読売新聞(20日)は社説での掲載が見当たらなかったが、
「強制連行」という言葉は使っていた。

ところが、やはりと言うべきか産経新聞(20日の30面)は「国民徴用令に基づく徴用」と表記した。

面白いもので、東京新聞は強制連行について判決が、
「国民超用例を逸脱した行為と考えられる」と判断していると報道したことだ。

多くの人は産経と東京を重ねて購読していないだろう。
こうした報道の違いは、複数の新聞を読んで比較して初めてわかることだ。


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最終更新日  2005.01.20 16:11:32


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