January 1, 2004
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カテゴリ: 身辺雑記
1年のオンとオフの詳細な計画を立てる。一つ歳をとることの意味を思索する・・・・大前研一のおしえにしたがって、お正月には何も予定を入れず、どこへも出かけず、もちろんおせちやお雑煮は食べず、こうしてパソコンの前にいる。

年が変わってまずすべきことは、年を越すことができなかった人たちのことを心に刻んでおくことだ。

夏にはコンバイ・セグンドが死んだ。年末にやった「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」の放送では、チェ・ゲバラの肖像の描かれた旗が掲げられる部分がカットされていて鼻白んだが、これなどセグンドを冒涜する行為でなくてなんだろう。

こういうことをする輩にはいずれおとしまえをつけることになるが、90代でなお稚気に富んでいた彼のような老人になれたらどんなにすばらしいだろう。

秋には吉田雅夫が88歳で死んだ。日本のフルート界の父とでも言うべき人。「フルートの神様」と言われたフランスのマルセル・モイーズの研究と紹介に一生を費やした人で、日本のフルート奏者で直接・間接に影響を受けていない人はいない。

わずかなSPレコードや資料を頼りにモイーズやジョネを探りあてたその感性もすごいが、この人ほど生涯、向学心や向上心を失わなかった人はいないと思う。

1970年代前半に2度参加した公開レッスンで聴いた彼のフルートの音は金の玉が転がるような美しさで、「美しい音」とはこういうものなのかと圧倒されたのをおぼえている。

そのときの受講生は工藤重典、酒井秀明、加藤元章らだったが、今は世界を代表するプレイヤーとなった彼らの音が貧弱に感じられたほどだった。

1962年以前のNHK交響楽団の演奏で、フルートだけが傑出した見事さで音楽的なフレーズを奏でているのに遭遇することがあるが、そういう時はまず間違いなく彼の演奏だと思う。



3月には天本英世が死んだ。「世界わが心の旅」で観たスペインやロルカへの愛は、無謀な戦争を行いその反省もなくひたすら経済的利得を求めるだけに成り下がった日本及び日本人に対する強烈なアンチテーゼだったと思う。

・・・とにかく日本人には哲学がないんだ。なんのために生きるか。生きているとは何か。教師も何を教えていいかわからない。文部省も僕らが小さい頃と同じだ。ばかばかしいことの再生産で、「君が代」を歌えなんて言っている。僕は日本のすべての俳優を引き連れて「君が代」反対のデモをやりたいくらいだ。「君が代」なんてバカの骨頂で、僕は全然天皇制なんて認めない。昭和天皇は戦争責任者の最たる者だった。こういうことはテレビでしゃべっても全部カットされるんだ。そうしたことがあるかぎり、日本人はいつまでたっても精神的に自立できない。天皇や天皇制について議論さえしないんだよ、日本人は。

・・・僕にとっては、俳優になるというのは乞食になるのと同じ意味だったんだ。生きることを捨てるというかね。かといって、それを怖いとも寂しいとも思わなかった。

ここには「怒れる老人」のお手本がある。怒り、別の言葉でいえば公憤を忘れた人間は人間ではなく家畜ではないだろうか。

全く個性は違うし生き方も違うが、最良の「昭和人」がこうしてひとりまたひとりといなくなるのはさびしい。





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最終更新日  February 5, 2010 09:26:03 PM
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