April 2, 2006
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カテゴリ: 読書日記
過労死した高卒タタキアゲの椿山課長。
人違いで殺されたヤクザの親分。
交通事故で死んだ6歳の男の子。

極楽浄土に行くのを嫌がったこの3人が、3日間だけ現世に帰ってくるというお話。

浅田次郎の本は「初等ヤクザの犯罪学教室」しか読んだことはなかった。

あの本でも、軽快なリズムと唖然とするほど語り口のうまい文章に引き込まれたが、この小説も浅田節全開。フィナーレのテンポがフルトヴェングラーばりに速すぎるのを除けば、笑わせて泣かせて、ストーリー展開のおもしろさにうならせる、第一級の娯楽小説だと思う。

椿山課長は絶世の美女の体になって現世に舞い戻ったりと、死をテーマにしながら決して重くない。短編小説をつなぎ合わせたような構成も読みやすさの素。

この小説のテーマは家族の絆というか家族の絆の欠落であり、その回復。「誰かのため、何かのため」といったことがなければ生きられない人間の本質を描くこと、それを読者に納得させることに成功している。

美女に変身した椿山課長が自分の子とキャッチボールをするシーンは、「フィールド・オブ・ドリームス」のパロディだろうか。







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最終更新日  April 4, 2006 09:27:01 AM
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