C型肝炎ウィルスキャリアの知人がいる。
交通事故でケガをしたときの輸血が原因で感染。感染がわかったのが10年前。3年ほどは発症の恐怖から暗澹としていたそうだが、幸い、今のところ発症はしていない。
肝炎ウィルスのキャリアなのに、かなり酒を飲む。徹夜などの無茶もやる。
それを注意すると、「細く長くよりも、太く短く生きる方がいい」と言って耳を貸さない。
健康を気にして長生きするよりは、短命でも好き勝手に生きた方がいいというのは、それなりの見識ではある。
しかし、人生には、細く長く生きるか、太く短く生きるかの二つの選択しかないのだろうか。
そんなことはない。この使い古された言い方をあえて借りるならば、「できるだけ太く、かつ長く」つまり長さを損なわない範囲ぎりぎりまで「太く」生きることを目指すのが合理的だしベストのはずだ。
そんなことは少しアタマを冷やして考えればわかることなのに、なぜかこの二項を対立させて人生にはその二つの生き方しかないと思いこんでいる人は多い。
○×式の入試問題じゃあるまいし、人生に二者択一なんてありえない。その中間にさまざまなグラデーションは存在するし、角度を変えるとまったく別の思いがけない解答が見つかることだってザラだ。
他に長所も多い知人をバカ呼ばわりするのはしのびないが、人生は太く短くか細く長くかの二者択一しかないと思いこんでいる知人は、やはりバカというほかない。
実際の人生では、二者択一を迫られることは決して少なくない。好きな女性が二人(以上)いても二人と結婚することはできないし、受験日が同じ合格確実なレベルの低い学校と難関だがレベルの高い学校を同時には受験できない。
どちらかを選ばなければならない。
しかし、いろいろな選択肢があり得る事柄まで、二者択一で決める必要はさらさらない。
日本人は、玉砕か自決かという「二者択一」スローガンでひどい目に遭わされたばかりではないか。
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