March 4, 2007
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「大きくなったらぼくのお嫁さんになってね」
「いいわ」
1762年、ウィーンの宮廷に招かれたモーツァルトと皇女マリー・アントワネットの会話である。

転んだところを助けてくれた彼女に感謝してこう述べた6歳のモーツァルト。彼はまだ「身分」という不条理を知らなかった。

彼女はのちルイ16世に嫁ぎ、フランス革命でギロチンの露となって消える。その革命のきっかけになったのが、貴族の堕落と横暴を痛烈に批判したボーマルシェ原作の戯曲「フィガロの結婚」だった。

ボーマルシェ=モーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」は、伯爵の召使いフィガロが、フィガロの婚約者を、権力をかさにきた伯爵の女漁りから守ろうと英知を尽くす物語。

婚約者を守ろうとするフィガロの機略は、平民出身の伯爵夫人をも味方にしていく。終幕、婚約者スザンナと夫人は変装して入れ替わり、偽手紙で伯爵をおびき出す。スザンナのつもりで抱き寄せたら実は妻。浮気は露見し、伯爵は降参・・・

「歌うアレグロ」がアクセル全開で駆け抜けてゆく序曲に始まり、随所に美しいアリアをちりばめながら軽快なテンポで進むこのオペラは、貴族は悪人、平民は善人といった「革命劇」にありがちな硬直した人間像とは反対に、人間味たっぷりに描かれている。

快活で小粋な音楽が物語りを弾ませ、人間の弱さやずるさを洗い流していく。






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最終更新日  March 28, 2007 11:49:41 AM
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