May 15, 2008
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カテゴリ: 映画
難病の孫の治療費を捻出するため、未亡人の祖母は風俗店で働くことに・・・こういう内容の予告編を見て、この映画は観なくていいかなと思っていた。荒唐無稽なコメディか、お涙ちょうだいのセンチメンタルなだけの作品のような気がしたからだ。

しかしこの映画は思いがけずよかった。

孫への無償の愛が自分への愛へと昇華し、老いらくの恋を獲得していくラストには思わずブラボーを叫びそうになった。中ほどから、いったいこの映画はどういう結末を迎えるのがしきりに気になったが、なるほど見事な着地に胸がすく思いだった。

ヨーロッパ映画ならではのおとなのラブストーリーとしてはパトリス・シェローの「インティマシー」が秀逸な作品だったが、この映画もそうした秀作の列に加えていいと思う。

サム・ガルバルスキという名前は記憶するに値する数少ない映画監督のひとりだ。

未亡人でふつうの主婦マギーを演じる女優と、風俗店の支配人ミキを演じる男優の、控えめでわざとらしいところのまったくない演技もすばらしい。風俗店で働いていたことを知られるマギーは友人を失うことになるのだが、その友人たちの偽善者ぶりも上手に描かれている。

実際、映画つくりで難しいのは、そういう人たちを上手に描くことだと思うのだが、その点でも、この映画の脚本家や監督の実力には脱帽する。

この映画はロンドンを舞台にしており、セリフも英語。テンポやリズムにイギリス映画の香りがあるが、監督はベルギー人だし多国籍のスタッフで作られている。特にヨーロッパ映画で、同じ国のスタッフだけで作られた映画よりこうしたスタッフで作られた映画に秀作が多いと感じるのはわたしだけだろうか。












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最終更新日  May 15, 2008 06:42:39 PM
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