November 14, 2009
XML
カテゴリ: クラシック音楽
やってくれた。

誰が?

尾高忠明と札響である。

何を?

エルガーの名曲、「エニグマ」変奏曲の、空前絶後の名演奏である。

断言するが、ベルリン・フィルやウィーン・フィルにこれほどの名演奏はできない。ニューヨーク・フィルやNHK交響楽団はさらに不可能だ。

尾高忠明と札響は、ラフマニノフの交響曲第2番やシベリウスの交響曲第1番、第2番といった曲で、世界に並ぶもののない名演を連発してきた。

しかし、今回のエルガー「エニグマ」は別格である。フルトヴェングラーのバイロイトの第九、バーンスタインのベルリン・マーラー第九、カール・リヒターの1969年東京「マタイ」などと並んで語るべき音楽史に特筆される名演奏が出現したのだった。

尾高の優れた音楽性と指揮テクニックを持ってすれば、どんなオーケストラを相手にしていても、水準以上の優れた演奏は可能だろう。



ないと断言できる。

終曲の第14変奏を、これほど熱くうねる溶岩のように演奏できるオーケストラがほかにあるだろうか。

ないと断言できる。

アマチュア・オーケストラならあり得るだろう。PMFオーケストラのような、音楽学生たちによるオーケストラならあり得るかもしれない。しかしアマチュアは技術レベルが観賞の水準にないし、臨時編成のオーケストラに熟成はのぞめない。

リハーサルと演奏旅行(とアルバイト)に追われ、複雑な人間関係に翻弄されるプロ・オーケストラには絶対に不可能なのが、13日と14日、札幌のキタラホールで繰り広げられた「エニグマ」の超のつく名演である。それは、芸術の倫理よりは商業的論理が優先する現代の世界で、一瞬輝いては消える流星のような、奇跡の時間だった。

さらに言えば、これほどミスの少ないオーケストラ演奏というのも珍しい。両日を通して、ホルンにわずかなミスがあった程度。熱演でありながらこれほど完成度の高い演奏にはそう出会えるものではない。

ロンドン市民は、ホンモノのエルガーを聴きたかったら札幌に来るべきだろう。

名演奏だったが、オーケストラに不満がないわけではない。弱音時に弦楽器の響きがやせ細ったり、音色が単調だったり、フレーズの終わりが素っ気なかったりというのは、このオーケストラの現時点での「限界」を示す。

しかし、そんなことが気にならないほど、すべてのメンバーと指揮者が心をひとつにしたかのような充実した演奏だった。

16型での演奏だったが、18型だったら、さらに豊潤な響きがサウンドしたかもしれない。

今回の定期はオール・エルガープログラムで、前半には序曲「フロワッサール」とチェロ協奏曲が、アンコールではワイルドベアが演奏された。



「エニグマ」は、1日目もよかったが2日目は次元が違った。同じプログラムによる17日の東京公演ではさらなる名演が期待される。

生演奏とはそういうもので、3日目とか4日目になるとつきぬけた演奏になることが多い。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  November 15, 2009 01:06:18 PM
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

プロフィール

ペスカトーレ7

ペスカトーレ7

バックナンバー

December , 2025
November , 2025
October , 2025

© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: