June 11, 2010
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カテゴリ: クラシック音楽
札響チェロ奏者の文屋治実が毎年開いているリサイタルシリーズの19回目。「エルンスト・ブロッホの世界」と題して、ユダヤ人作曲家ブロッホの無伴奏チェロ組曲全3曲と「3つのスケッチ」「ヘブライの瞑想」「ニーグン」というプログラム。

たいていの音楽ファンは、聴いたことのある曲、知っている曲をスター音楽家が演奏するコンサートに行く。これは音楽鑑賞ではなく、単なる消費行為である。たしかにそこでも癒しや感動や興奮は得られるかもしれないが、一過性の、そのときだけのものだ。

しかもそういうコンサートは大きなホールで行われることが多い。コンサートの印象や記憶はホールの大きさとほぼ反比例する。できるだけ小さなホールの、無名の演奏家の、知られていない作品を演奏するコンサートを選ぶのが「消費的でない」音楽ファンである。当然だがそういうコンサートには質のよい聴衆が集まるので自然によい雰囲気のコンサートになる。ただ、出演者の弟子筋が客の過半を占めることも多いので、その場合はだらけた雰囲気になる。

このリサイタル・シリーズは以前は「パームホール」という定員120名ほどのホールで行われていた。このホールの閉鎖によって定員200名ほどの「ザ・ルーテルホール」に移ったが、今回は80名ほどの聴衆を集めていた。

プレイガイドでチケットを買っての有料入場者はたぶんその半分にも満たないと思われる。ブロッホは「コル・ニドライ」一曲で知られるが、よほどの音楽ファン、チェロ音楽愛好家でも、この日演奏された作品に通じている人は少ないだろう。わたしも、すべて初めて聴く曲だったが、こうしたコンサートに関心を持つのは1万人に一人もいないということだ。

ブロッホ最晩年の無伴奏チェロ組曲は、それぞれが15分くらいの、新古典主義的作風の音楽。20世紀にあってはこうした保守的な作風が今ひとつ評価されなかった原因だと思うが、いかにもユダヤ的な重厚で瞑想的な音楽で、演奏も緊張感を保って見事だった。文屋治実はもちろん超絶技巧の持ち主とか、カリスマ性のあるソリストというわけではないが、不思議と歳をとらないその外見とは裏腹に、年齢なりの円熟を感じさせた。

後半、浅井智子のピアノと演奏された3曲も、いずれも暗い曲想の瞑想的な音楽。とくに「ヘブライの瞑想」は「コル・ニドライ」を思わせる深さがあり、名作と言っていい。

アンコールに同じユダヤつながりでバーンスタインの「マリア」(ウェストサイド物語)。

隣接した大通公園では同じ時間に「よさこいソーラン」が行われていて、その騒音がホール内部にまで侵入してきて驚いた。






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最終更新日  June 13, 2010 01:07:45 PM
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