
花は終わっているがリンドウが少し残っていた。年によっては雪融けが遅く花と紅葉と初雪が、つまり四季が同時にやってくることがある。この20年で2回あった。そういうときは万難を排してでも行く価値がある。
実は、久しぶりの本格登山でもあるし、このあたりのどこかで引き返そうと思っていた。しかし、もう一度あの沢を渡ると思うと恐怖心がわいた。上部の雪渓がどんどん融けているのだから水は増えているかもしれない。川に落ちるとかなり悲惨なことになる。子どものころ川で泳いだことがあり水の流れの抗いがたい強さはよく知っている。
左右が崖、という稜線を危険を感じながらも行くと広がりのある尾根になる。2200メートルの安足間岳への登りで、当麻岳の尾根のとりつきが1800メートルだから400メートルの標高差。400メートルというとかなりの落差だ。写真を撮ったりしているうちに時間を食い、安足間岳には11時15分に着いた。当麻岳からはちょうど一時間かかった。
休まずに安足間岳を出発。この地獄谷の尾根部分を20分歩いて比布岳に着いたのは11時35分だったが、この20分は緊張した。というのは、稜線のすぐ下をトラバースするのだが、以前はしっかりとあった登山道が風化し、崖のしみのようになってしまっているのである。斜面をただ歩くという感じに近い。左側は大覗きと呼ばれる絶壁、すぐ足元から右は、絶壁というほどではないにしても滑落したら骨折程度では済まないという斜面である。今回、はじめて登山用のストックを持っていったが、これが役に立った。これより危険な斜面を歩いたことは何度もあるが、なぜか今回は緊張した。加齢のせいでバランスが悪くなっているのかもしれないし、体重が減ると重心が高くなるので、よけいにバランスがとれないのかもしれない。こういう場所はあんがい女性は強い。母もここは2回通ったがスラスラ歩いた。
このお鉢平を見るのは15年ぶりだ。あまりに雄大で、絵にならないというか、写真に撮る気さえ起こらない。このお鉢平は一周したことがあるのでだいたいの距離感はあるが、それでも自分がここを一周したことが信じられないほど広大だ。「大雪山に登って山の大きさを語れ」と大町桂月は言ったらしいが、こんなに雄大な景色は大雪山国立公園全体でも屈指だろうと思う。
分岐からはひたすら下る。30分ほどで中岳温泉に。先客3人が足湯を終えたところで、ひとりになったので、少し砂や石をかきだして入浴。もう少しゆっくりしたかったが、17時30分がロープウェイの最終。温泉からロープウェイ駅までは約2時間。15時には出発しなければならない。だから入浴は10分で切り上げ、14時50分に出発。朝の30分の遅れが悔やまれた。このたびの旅~玉川温泉からあさこハウスへ October 20, 2015
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