October 23, 2015
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カテゴリ: クラシック音楽
メーン曲であるラフマニノフ「ピアノソナタ第2番」が終わったとき、近くの席の少女が「すごーい」と感嘆の声をあげた。

わたしの感想も同じだ。3つの楽章が休みなく演奏されるこの曲が最後の壮大なコーダまで一瞬の弛緩もなく演奏されたのには驚いた。

忙しく世界を巡業しているピアニストではこうはいかない。毎日のように全力投球するわけにはいかないからだ。得意な、あるいは好きな曲に集中できるからこそこうした演奏が可能なのだろう。

ピアノリサイタルには原則として行かないことにしているが、こういうことがあるから油断できない。

ドビュッシー「塔」「喜びの島」、ショパン「3つのマズルカ」「幻想ポロネーズ」が演奏された前半は、やや硬さが残った。次第に調子をあげたが、緊張したのかミスも散見された。

後半、ラフマニノフの前におかれたアルベニスの3曲(実はこの3曲がめあてで行った)「ティエラの門」「入り江のざわめき」「パバーナ・カプリーチョ」は前半の硬さがとれ、やや生真面目なもののスペイン情緒に不足はなく、アルペジオなどの思い切りもよく爽快。ただ、ギター音楽の愛好家の立場から言わせてもらえば、もっと音色に暗さがほしい。陽と陰の、明と暗の極端な対比がスペイン音楽の身上。それには一般にテンポも速すぎると感じることが多いものだが、この日も例外ではなかった。

演奏者自身のプログラムノートによれば、就職や育児を経て演奏活動を再開し、大学を出て30年の節目の年に「念願の」音楽専用ホールでの初リサイタルとのこと。コンサートタイトル「夢を追い求めて」はそのことをさす。

大学を出て30年というと50代前半だが、たいていの人間は夢も野心もなくしてただ惰性で生きている年代。それを思うと、このピアニストが自分の夢を持続できた理由を知りたいと思った。

音楽大学を出て留学までして、帰国記念デビューリサイタルが事実上の引退公演、といった音楽家(特にピアニスト)を多く見てきた。そういう人間から見ると、彼女のようなピアニストは音楽家以前に人間として別格に思える。






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最終更新日  January 11, 2016 04:09:16 PM
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