December 2, 2015
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カテゴリ: 身辺雑記
2012年だったか、イトウワカナの「ことほぐ」という芝居を見て感心したことがあった。それで少し芝居を見てみようかという気になった。

演劇が政治に従属していた時代からアンダーグランド演劇や小劇場運動の時代を経て、お座敷芸でなければ小市民的エンターテイメントに変質してしまったという基本的な認識に変わりはない。変わりはないが、諸芸術の中でも最も反体制・価値逆転的傾向をもつのが演劇という表現形式なのだから、何か面白いものが不断に生まれてくる可能性はある。

2014年の「札幌劇場祭」で大賞を受賞したプロジェクト・アイランドという韓国の演劇ユニットによる「アイランド-監獄島」は、その期待を満たすにじゅうぶんであり、現実からの逃避ではなく演劇ならではのやり方で現実へ肉薄するひとつの見本を示したという点で新しい時代の新しい演劇の誕生を告げ知らせるものだ。

物語は南アフリカの政治犯収容所が舞台。二人の囚人はよくわからないがとにかく反体制の罪で収監されている。この二人が刑務所の中でアンティゴネーを上演するまでの二人のいざこざややりとりが中心となっている。

アンティゴネーはいわずとしれたギリシャ悲劇のヒロインである。反逆者である兄を埋葬したカドで反逆者とされ死刑を宣告される。

女性であるアンティゴネーを男性が演じようとするこっけいさを散りばめながらも、体制に毅然として抵抗するアンティゴネーとこのアンティゴネーを演ずるジョンが二重写しになるように作られている。

とにかく俳優二人のパワーがすごい。韓国人と日本人はもともと同じ民族といってよく、ジョン役のチェ・ムインもウィストン役のナム・ドンジンも、黙っていれば日本人(や極東アジア人の多く)と見分けがつかない。しかしながら、彼らの迫力ある演技を見ていると、流れている血はまったくちがうように感じられてくる。

韓国では民主労総によるゼネストが何度も戦取され、日本でも国会前や辺野古で階級対階級の激突が始まっている。

このような時代に芸術家は単なる美の世界に自閉していていいのだろうかと常々感じていたが、このプロジェクトはその疑問にひとつの解答を与えてくれた。








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最終更新日  December 24, 2015 06:37:35 PM
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