・・・そば!ソバ!蕎麦!・・・酒そば本舗奮闘記!

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2025年11月03日
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カテゴリ: 『酒とそばと』






この度、このブログの酒とそばについて書いたものを加筆編集して、新たに幻冬社より出版しました。しばらく、 「はじめに」 を掲載してまいりましたが、読者にさらに立ち読みの気分を味わっていただこうと、本文をご紹介していきたいと思います。まずは第一部「酒編」より。

苦悩派杜甫

中国唐代の三大詩人といえば、李白、杜甫、白楽天。 この三人は大酒飲あった ということを探ってみました。昨日は白楽天が表した詩・
から、その飲みっぷりを探ってみました。

次に杜甫の酒癖についても語ろうと思うのですが、これが杜甫の生涯を調べれば調べるほど、なかなかに辛いものがあります。大唐帝国の官吏を志し仕官の道を探れども叶うことなく、困窮極まって末の子どもを餓死させてしまうという悲惨な目にも遭っている。

当時の官吏は、自分が思うところの政策を皇帝に献策するにも、それを五語・七語の韻を含んだ文章にして書き表さなければならなかったといいますから、詩聖・杜甫にしてみれば、「俺ほどのものが何故に」の思いが、長い仕官を探る道の中で鬱積したのかも知れません。
官吏としての出世の道が叶わなかったというのは、杜甫に限らず李白にも白楽天にも言えることですし、特に晩年は酒の力に頼ったのは3人とも同じ。しかし、ただ一人杜甫のみ「何故に、何故に」の思いがより強く、苦しみから逃れられないままもがいていたように私には見受けられるのです。

杜甫晩年の詩「惜しむ可し」にそれを探ってみましょう。

花飛有底急   花の飛ぶこと底(なん)の急か有る
老去願春遅   老い去っては春の遅きことを願ふ
可惜歓娯地   惜しむべし歓娯(かんご)の地
都非少壮時   都(すべ)て少壮の時に非ず
寬心応是酒   心を寛(ゆる)くするは応(まさ)に是れ酒なるべし
遣興莫過詩   興を遣(や)るは詩に過ぐるは莫(な)し
此意陶潜解   此の意陶潜(とうせん)のみ解す
吾生後汝期   吾が生汝が期に後れり


まず、私も「春の遅きことを願う」ものの一人です。(苦笑!
「心を寛(ゆる)くするは応(まさ)に是れ酒なるべし」も同感です。ただ「興を遣(や)るは詩に過ぐるは莫(な)し」と言えないところが、悲しくも残念なところではありますが・・・。(涙!

酒を飲んで詩を詠じ、憂さを晴らそうというのなら、どこが「苦悩派」なのだとお思いでしょう。しかし、それに続く結句の2節に杜甫の「苦悩派」たる所以を見いだせるというのが、私の主張です。

陶潜(とうせん)とは、陶淵明のこと。杜甫、李白、白楽天の生きた時代より300年余り前の東晋の詩人。唐代の三大詩人に限らず、後の世の詩人に大きな影響を与えたといわれていますね。李白にしろ、白楽天にしろ、陶淵明を師と仰いだ節が見受けられるというくらいですから。

この国はついに私を見出すことなく、安禄山の乱によって国は乱れ、人心は荒み、私も老いさらばえてしまった。今となっては、ただ酒を飲み、詩を詠じ、憂さを晴らそうとする日々である。この私の気持ちを分かってくれる者など今のこの国には誰もいない。いるとすれば一人陶淵明だけであろうが、生まれて来るのが遅すぎた・・・。

白楽天は理性派であるとすると、杜甫は「苦悩派」と呼べそうです。


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「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中


この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。

「酒」と「そば」と


まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。

はじめに

小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。
「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」

そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。
ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。

・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。

日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。
そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。
「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。

まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?

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第一部「酒」編
「過ぎたるは及ばざるがごとし」

古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。

「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。

このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。

大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。

3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?

しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。

すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。

確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。

あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか?

う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。


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最終更新日  2025年11月04日 06時58分16秒
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