ふたり暮らしの手帖

ふたり暮らしの手帖

PR

プロフィール

サリィ斉藤

サリィ斉藤

バックナンバー

2025.11
2025.10
2025.09
2025.08
2025.07
2025.06
2025.05
2025.04
2007.08.07
XML
カテゴリ: 映画の話
映画の冒頭、浅草演芸ホールの入口が大写しになった瞬間に

と思いました。
でもよく考えたら、実際にはホンの数回、前を通り過ぎたことがあるだけの場所。

それなのに、思わず懐かしさがこみあげてしまったのは、大好きだったクドカンのドラマ「 タイガー&ドラゴン 」で、いつも登場する情景だったからです。

ドラマが理由のすべてではないでしょうが、ここ数年落語ブームが続いているのだといいます。
私もご多分にもれず、落語ってすごいな、いつか寄席に行ってみたいな…と興味津々なのですが、いまだに実現できていません。

そんなわけで、噺家さんが主人公のこの映画の評判も、ずっと気になっていた次第です。


(そういえば、「タイガー&ドラゴン」主演の長瀬くんとはTOKIOつながり)
彼の下に、ふとしたきっかけから、落語を習いに三人の男女が集まってきて、さて…という物語。



それぞれ「話下手、口べたな自分」「周囲とうまくコミュニケーションできない自分」を何とかしなければ、という思いで三つ葉の下を訪れます。

その不器用さたるやまったく痛々しいほどで、その気がなくても「怒ってるの?」と言われてしまう、香里奈と松重豊の顔相ははまり役!(実生活でもそう言われていそう…)

その上、当の三つ葉本人が、「口は災いの元」を地で行く短気なガンコ者。
落語は大好き。私生活でも和服を着て古典しかやらないと決めている。でもそれが結果に結びつかない。
まさに「あがき」と「焦り」の真っただ中。
本当なら、人の面倒なんて見ている余裕はないのです。

そんな、師匠も弟子も手探り状態で「でも、進まなきゃ」と一歩を踏み出していく物語が、多くの人の心をつかんでいるのかな、という気がしました。

実のところは、落語を一本覚えたからって、人間の性分がそうそう簡単に変わるものでもない。
そのあたりのことも、きれいごとのサクセスストーリーにはしないで、ちゃんと描き出しているところに好感のもてる作品でした。



(以下、ネタバレご注意!)

映画のモチーフとして、三人のにわか弟子たちの行く末とは別に、主人公の三つ葉自身の成長というストーリーも大きいのですが、国分くんを本当に見直しました。

師匠の十八番である「火焔太鼓」に挑戦し、一門会で披露する…
先に、伊東四朗演じる師匠の舞台をじっくり見せ、稽古をつけてもらいながら必死に練習する姿を見せ(必死なんだけど全然ダメなところも見せ…)

丁寧な伏線がはられて、いかに、三つ葉が本番の舞台で大化けしてみせたか、落語に精通しているとは言えない私にもひしひしと伝わってきました。


落語の魅力のある側面を、この映画を観たことでとてもクリアに理解することができました。もちろん、それはほんの一部分のことなのでしょうが…

中盤のクライマックスであるこの舞台のシーンがあまりにもよかったので、 そこから先の数十分がすべて蛇足にしか見えない というのが、皮肉な結果を生んでいる…それが率直な感想です。

【原作の方を読んでみたくなりました。】






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2007.08.07 11:13:07
コメント(6) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: