ふたり暮らしの手帖

ふたり暮らしの手帖

PR

プロフィール

サリィ斉藤

サリィ斉藤

バックナンバー

2025.11
2025.10
2025.09
2025.08
2025.07
2025.06
2025.05
2025.04
2007.12.10
XML
カテゴリ: 映画の話
東京での公開から遅れること二ヶ月余。
先日、県内での上映がスタートしたので観てきました。

この映画のパンフレットには、物語に登場する料理や、編み物や、体操を創作したスタッフが文章を寄せています。
「リラックス」「ゆっくり」「シンプル」「風」「空気」
・・・といったキーワードが、共通してその方々の言葉に登場していました。

携帯電話の通じない、どこかの南の島。
訪問者タエコが体験する日常を、淡々と追ったこの作品には、まさにこれらの言葉がしっくりと馴染みます。

“いま・ここ”での感情を優先し、自分のセンスや自分の好き嫌いを大切にする。
そんな「自分の気持ち至上主義」((c)岡田斗司夫)の価値観が重んじられつつある、今の時代の気分にも、この映画はぴたりと寄り添っているのでしょう。






育児や介護やローンや闘病や、否応なく生活を絡めとり、縛ってくるものとの関わりは、この映画の登場人物たちには無縁に見えます。

でも、実人生でそういった不自由を強いられている観客を、いっとき、静かな海辺に誘い、ほっと息抜きをさせる魅力を持った映画であることは、確かです。

無心に、自然の懐に抱かれる。
丁寧に作られた食事を、じっくりと味わう。
流されることなく進む道を決める。

物語の中で描かれるのは、とてもとても大切で、でもなかなか、実際の暮らしに実現させることが出来にくい事々。
ただ、心のありようによって、それを手にする自由を誰もが持っているのかもしれません。

本当に余計なおせっかいながら、監督の荻上直子さん、 「かもめ食堂」 という前作のスマッシュヒットが、かえって枷になってしまっているのかなぁ・・・なんて思ってしまいます。

作り手としての自由を模索する途上にあるのかな、という印象も受けるほど、ゆるく開放感に満ちた空気を希求して撮られていた映画でした。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2007.12.10 10:02:42
コメント(4) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


Re:「めがね」を観た。(12/10)  
千佳りん  さん
私も先月観て来ました。
癒されてそして最後は思わず笑顔になりました。
普段の忙しさを忘れさせてくれそして
元気もくれた映画でした。
サントラ盤は毎日、車を運転しながら聞いています。 (2007.12.10 15:44:57)

質問  
嫌好法師  さん
気になる作品の一つなんですが、小さなテレビの画面では伝わって来ないものがありますか? (2007.12.11 11:50:42)

マンドリンも素敵  
サリィ斉藤  さん
千佳りんさん

>普段の忙しさを忘れさせてくれそして
>元気もくれた映画でした。

本当にそんな表現がぴったりのピースフルな映画ですね。
メルシィ体操で心も身体ものびのびする感じ、観客も体感できるような・・・

>サントラ盤は毎日、車を運転しながら聞いています。

音楽とっても素敵でしたね。浜辺に流れるマンドリンの調べ、印象的でした。 (2007.12.13 17:43:45)

Re:質問(12/10)  
サリィ斉藤  さん
嫌好法師さん

>気になる作品の一つなんですが、小さなテレビの画面では伝わって来ないものがありますか?

ナナメに構えてしまうと「それがどうした」で終わってしまう作品かもしれません。そういう点では、大きなスクリーンで、画面の中に吹き渡る気持ちいい海風を感じながら観ることが出来て私はよかったかな、と思っています。心地よすぎて眠りを誘うという意見もあるので、おうちでのんびり、というのもいいかもしれませんが・・・答になっていなくて、ごめんなさい。 (2007.12.13 17:45:42)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: