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カテゴリ: 映画の話
東京での公開から遅れること二ヶ月余。


この映画のパンフレットには、物語に登場する料理や、編み物や、体操を創作したスタッフが文章を寄せています。
「リラックス」「ゆっくり」「シンプル」「風」「空気」
・・・といったキーワードが、共通してその方々の言葉に登場していました。

携帯電話の通じない、どこかの南の島。
訪問者タエコが体験する日常を、淡々と追ったこの作品には、まさにこれらの言葉がしっくりと馴染みます。

“いま・ここ”での感情を優先し、自分のセンスや自分の好き嫌いを大切にする。
そんな「自分の気持ち至上主義」((c)岡田斗司夫)の価値観が重んじられつつある、今の時代の気分にも、この映画はぴたりと寄り添っているのでしょう。






育児や介護やローンや闘病や、否応なく生活を絡めとり、縛ってくるものとの関わりは、この映画の登場人物たちには無縁に見えます。

でも、実人生でそういった不自由を強いられている観客を、いっとき、静かな海辺に誘い、ほっと息抜きをさせる魅力を持った映画であることは、確かです。

無心に、自然の懐に抱かれる。
丁寧に作られた食事を、じっくりと味わう。
流されることなく進む道を決める。

物語の中で描かれるのは、とてもとても大切で、でもなかなか、実際の暮らしに実現させることが出来にくい事々。
ただ、心のありようによって、それを手にする自由を誰もが持っているのかもしれません。

本当に余計なおせっかいながら、監督の荻上直子さん、 「かもめ食堂」 という前作のスマッシュヒットが、かえって枷になってしまっているのかなぁ・・・なんて思ってしまいます。

作り手としての自由を模索する途上にあるのかな、という印象も受けるほど、ゆるく開放感に満ちた空気を希求して撮られていた映画でした。





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最終更新日  2007.12.10 10:02:42
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