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カテゴリ: 映画の話
「人生の最期を迎えたとき、誰の名前を呼びますか?」

死の床にある老いた女性。
薄れていく意識の中で、過去の恋の思い出が、抑えようもなく立ち上ってくる…

実際には巻き戻すことが許されない時間を、彼女の魂は自由に行き来します。
過去と現在を、現実と幻想を、蝶のように軽やかに往還する。体はベッドに横たわったままでも。

ある事情で封印せざるを得なかった、若き日の恋の顛末が、美しく丹念に描かれるのですが、私は、時折差し挟まれる、この女性の“その後の人生”の断片、その短い描写の方に、胸を揺さぶられました。

日々を生きていくための悪戦苦闘。
様々な瞬間に、彼女の心の奥底で沸いていたに違いない
(あの時、あの恋を貫いていれば)


しかし、現実には、そうはならなかった。そうすることは出来なかった。





自らの歩いてきた道を、最後に彼女がどのような思いでふり返るか。
それは、これから映画をご覧になる方のために伏せますが、その結論は、彼女の娘たちの物語とあいまって、静かな感動の余韻となって私の心を満たしました。

ひとつの人生が放った確かな輝きが、打ち寄せる波のように胸に迫ってくる作品だと思います。

生きていくことは、思い通りにいかないことの連続。
それでもやっぱり、すばらしいことなのだと思わせてくれる。そういう映画に出会った時は、本当にうれしくなります。

トニ・コレットの出る映画にハズレなし、という、私の持論をまた一つ、裏付けてくれた映画でもありました。
メリル・ストリープの若い頃を実の娘(メイミー・ガマー)が演じ、その母をグレン・クローズが演じるという、「顔面相似形」の配役の妙を楽しめる側面も(笑)

いつか眠りにつく前に





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最終更新日  2008.05.15 01:19:29
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思い通りに生きてきた  
まろ0301  さん
 「思い通りに生きてきた」なんて人生ってあるんでしょうか。

 「あの時ああしていれば」「こうしていたらどうなったか」なんてことも山積みです。
 それでも、「今」があります。そのことが時々とても不思議に思えるときがあります。 (2008.05.15 23:32:45)

Re:思い通りに生きてきた(05/14)  
サリィ斉藤  さん
まろ0301さん

> 「思い通りに生きてきた」なんて人生ってあるんでしょうか。

ないと思います。まろさんに比べればまだまだ、浅い人生経験しか経ていない私でも、それは実感として、そう思います。

若かりし日、未来がまだまだ遠大で、万能感に満ちていた時期には、こんな風に思う日が来るなんて想像もできないことでしたが…

この映画は、想定外の人生を生き抜くことの価値を、静かに端正に歌い上げていて、そこにとても好感を持ちました。 (2008.05.16 00:14:28)

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