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カテゴリ: 映画の話
マリーアントワネット



大奥の寝所で、お殿様から子作りを拒絶される篤姫さまの苦悩ぶり…

それがまだ記憶に新しかったので、WOWOWで放映されていたこの映画を観ながら、
(東西で時代を超えて、お姫様は同じようなご苦労をされていたのねぇ…)
と、ため息をついてしまいました(笑)

アントワネットも篤姫も、合理性とかけ離れた宮中や大奥の儀式ばった風習には、驚きと戸惑いを禁じえない訳ですが。
お世継ぎの誕生ということが、国家的プロジェクトだった時代。
夫婦の睦みごとも公式行事のようなもので、そこには「個人としての尊厳」は存在しないも同然。

(それほどまでしないと、血筋をつなげていくシステムは本来成り立たないのか…なんて、わが国でも現在進行形の“お世継ぎ問題”を思い、複雑な心境になりますが)


その彼女が、思い通りにいかない夫との関係や、外国人ゆえに受ける偏見に傷つきながらも、期待に応えようと努力し、悩み、やがて心の隙間を、刹那的な贅沢で埋めていく姿。

フランス革命という、歴史上の強烈なトピックをモチーフにしながら、この映画、完全にマリー・アントワネットの視点だけで描かれています。
歴史の重層的な捉え方という点では、「 ベルサイユのばら 」の足元にも及ばない、という印象でした。

監督のソフィア・コッポラには、歴史映画ではなく、あくまでも「ある女の子の成長物語」を描くという狙いがはっきりとあったのでしょう。

宮中での日々は、絵巻物のようなゴージャス感をもって描写され
“こりゃホントに 「大奥・ブルボン朝バージョン」 だわ”
と、観ているこちらもノって楽しませていただきました。

結末はわかっているのに、つい(がんばれ!)とエールを送ってしまったのは、それだけ、マリーのキャラクター造型に、観る側(特に女性)の共感を誘うものがあったからでしょう。

女の子なら絶対こういうの好きよ、とか、女ならこれは辛いわ、とか、ジェンダーフリーの視点からは怒られちゃいそうな、そんなコメントが脳内にぐるぐるしました(笑)


映像の一つひとつは本当に、キレイ、カワイイ、カラフルの“3K”で素晴らしいし。


Various Artist『マリー・アントワネット』(サントラ)


それはいいとして、マリーがやっと王女を出産し、プチ・トリアノンで自然に囲まれ“ほっこりさん”の子育てライフを謳歌しはじめるあたりから、突然、物語のテンポとバランスが崩れ始めたのは、ちょっと残念…
そう思ったのは、私だけでしょうか?手に取るように伝わってきた彼女の心境が、突然見えなくなってしまった感じがしたのです。
どうせなら、尺が3時間になったとしても、もっとマリーの晩年の日々にもフォーカスしてほしかったと…

(あと「ベルばら」ファンとしては、フェルゼンのあのキャラクターとキャスティングは、ちょっと受け入れ難いものがありました)




マリー・アントワネット


とはいえ、ラストシーンの頃には、私はすっかり映画の中のマリーが好きになっていましたから、観客としては見事に、監督の術中にはまったのかもしれませんね。





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最終更新日  2008.05.31 22:50:27
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