ミステリの部屋

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2005年11月28日

仔羊の巣：坂木司

(8)

テーマ：ミステリはお好き？(1646)

カテゴリ：日本ミステリ（さ行作家）

先日感想を書いた「青空の卵」に次ぐ、二作目。

やがていつの日か、友が開かれた世界に向かって飛び立っていくのではないか、という予感が、僕の心を悩ませる。
そんな僕の同僚、吉成から同期の佐久間恭子の様子が最近おかしい、と相談されたり、週に1回、木工教室の講師をするようになったという木村さんからの誘いで、浅草に通うことになった僕たちが、地下鉄の駅で駅員から相談を受けたり、と名探偵・鳥井真一の出番は絶えない。
さらには、僕の身辺が俄に騒がしくなり、街で女の子から襲撃されることが相次ぐ。新しく仲間に加わった少年と父親との確執の裏にあるものとともに、鳥井が看破した真実とは？

日常の謎を解明していく、口が悪いが料理はうまい素人探偵。
謎解きに気を取られていると、突然それはやってきます。
動揺し、涙を流す子供のような姿にショックを受けます。

それでも、ひきこもりの鳥井は少しずつですが前進しています。

何より謎ときを披露するためにみんなを集める場所が、鳥井の部屋から栄三郎さんの家になっていますから。

初めはちょっと心地悪い思いをしました。
坂木と鳥井、二人の関係があまりに近すぎて……。

でも、次第に坂木の気持ちになっていることに気づきます。
自分だけが必要とされているということの幸せ感、自分ではなくてもよくなると言う寂しさ。
わかるような気がします。

鳥井と一緒に坂木も成長できるさ、と言ってあげたい。
完結編（？）の「動物園の鳥」で二人がどうなるのか、見守ってあげたいと思うのです。