ミステリの部屋

ミステリの部屋

2005年10月01日
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季節ごとの連作短編集プラスおまけの一話になっています。


夏の終わりの三重奏|秋の足音|冬の贈りもの|春の子供|初夏のひよこ


外資系保険会社に勤める坂木司には、料理上手でプログラマーで頭が切れる、鳥井真一という友人がいます。
鳥井は家庭の事情といじめが原因のひきこもりです。
坂木は、自分が日常の中で出会った謎を解かせることによって、鳥井を外の世界に引っ張り出そうとします。

鳥井は坂木がいないとめったに外には出ないし、人と関わろうとしません。
坂木は彼についていてやれるのは自分だけだと、勤め先も比較的自由な時間が取れるからと言う理由で選びました。
まるで鳥井が一方的に坂木に頼っているように見えます。


二人のふれあい方は見ていてくすぐったくなる場面もあります。
こういうお互いの依存関係は、私には痛々しく感じられて、時々つらくなりました。

とはいえ、謎解きを通じて、少しずつ友人と呼べる人が増えていくことにはほっとします。
謎ときと言っても、そこに関わって居る人の心の中にあるものを取り出して、はっきりさせていく、という感じですが。
「春の子供」の謎ときには、予想できないことだったので驚きました。

様々な悩みを抱えて彼らに関わってくる人たちは、なかなか魅力的でありす。

特にかんざし職人の木村さんという老人が魅力的でした。
職人としてまっとうに生きてきた人です。
坂木は「木村さんみたいになれるだろうか」といいます。
私もまっとうに生きている人だと言われたいものだと、自分を省みて反省。
反省したところで、具体的に思ったのは、だしはちゃんと、こんぶと削り節でとろう、ということくらいでしたが。

仔羊の巣 」「 動物園の鳥 」と続きます。
これから二人がどうなるのか気になります。



青空の卵  青空の卵 : 坂木司









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最終更新日  2005年10月02日 18時59分29秒
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