ミステリの部屋

ミステリの部屋

2006年01月01日
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明けましておめでとうございます。


今年1冊目は落語とミステリの話です。

これまで生で落語を聴いたことが一度だけあります。
その時はオチがわからなかったのですが、一緒に行ったサークルの先輩に、「今のわかった?」と聞かれ、思わず「はい」と答えてしまいました。その後居心地が悪かったことを今も覚えています。

そんな苦い思い出はありますが、落語は好きです。最近は飛行機に乗った時ぐらいしか聴くことはないのですが……。


さてこの作品の主人公は金髪の鶏冠頭、フリーターの竜二です。
手がつけられないやんちゃな彼の行く末を心配した高校の元担任が、上方落語の大御所・笑酔亭梅寿に竜二を弟子入りさせてくれるよう、本人の意思を無視して頼み込むところから物語は始まります。

ちょっとだけテレビドラマ「タイガー&ドラゴン」を思いださせる設定です。


ところが、八方破れながら一本すじが通っているし、芸はピカイチなのです。後には浪花節的な一面もあることがわかり、しんみりさせられます。

連作短編ですが、それぞれ「たちきり線香」、「らくだ」、「時うどん」、「平林」、「住吉駕籠」、「子は鎹」、「千両みかん」 という落語の噺のタイトルが付けられています。その落語の内容にそった事件が起こり、笑酔亭梅寿が(竜二が)謎を解くというパターンです。
冒頭にはそれぞれの噺に関する月亭八天の解説もつけられています。

最初はいやいや内弟子となった竜二が、反発しながらも師匠の芸に魅せられていき、古典落語というものを理解していく成長物語にもなっています。

ミステリが主役ではありませんが、登場人物も生き生きと描かれ、読んだ後には、いい人情噺を聞かせてもらったという気持ちになります。

笑酔亭梅寿謎解噺  笑酔亭梅寿謎解噺 :田中啓文


ハナシがちがう! ハナシがちがう!: 田中啓文
2006年8月文庫化されました。










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最終更新日  2006年01月02日 21時44分20秒
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