海を眺めながら

海を眺めながら

2013.01.11
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予約してあった寝台列車が霧のために運休とのこと。信じられないことだ。


18時50分、デリー駅に到着。1番線のホームで待つ。当初の切符をキャンセルし、1本前の切符を取りに窓口に行く。(頑張れイムラン)

2人の荷物の番をしながらホームで待っていると、左後ろから肘をたたかれる。左を振り返ると赤ん坊をおぶった10歳くらいの女の子が、うつむき加減に無表情に右手を差し出している。反射的にズボンの右ポケットを探り、たった1枚だけあった硬貨を小さな手のひらに落とした。手のひらに届いた瞬間、手のひらが少し沈み、女の子が少し驚いたようにも見えた。アルミの1ルピー貨と違って5ルピー貨は重みがあったからかも知れない。
黙って去っていく女の子を眼で追いながら、肘をたたいた微妙な力加減、差し出された小さな手が自然すぎて、暗示にでも掛けられたかのように施しをしてしまったことに呆然とした。

  • DSC05871.JPG


  • 幸いにも切符が入手でき、1番線から5番線に移動する。
    DSC05872.JPG


  • 変更した列車も1時間15分遅れて、19時55分出発
    オバサンが窓からゴミを捨てている。
    DSC05875.JPG


  • 取れた切符は、22と21。上の段22を占める。
    DSC05881.JPG


  • リンゴはしなびている。ジュースだけ飲んで寝ることにする。
    2枚のシーツをビニール製のシートに敷き、毛布を被せ、シーツとシーツの間に体を滑り込ませる。なんとか寝れるな。

    7日目 12月28日
    0:00
    眼が覚める。

    隣の上段のベッド(20番)の日本人青年が呻いている。。
    一息ごと、ウ~とかハア~とかうめき声を上げ、同じく一息ごとになにやら独り言を呟く。
    「大丈夫ですか?」
    「大丈夫だと思います。」
    苦しそうだが、遠慮したのか小声になる。

    1:00
    眼が覚める。
    再びうめき声で眼が覚める。朝7:40着予定なので、困るなあと思いつつ声を掛ける。
    「風邪ですか、熱があるんですか?」
    「少しだけです・・・。寒くないですか?」寒気がするようだ。
    「もっと着たらどうですか?ガイド呼んでトランク開けてもらいましょうか?私は3枚着ていますよ。」彼のガイドは気にもしていないようだ。
    「4枚着ています。」
    「ここから風が来ていますね。カバーしましょう。」とダウンのコートでエアコン寝台車の通風孔からの風を遮るように覆いをする。
    「ありがとうございます。うるさくしてすみません。」

    2:00
    眼が覚める。うめき声よりも独り言が大きい。
    「大丈夫ですか?独り言が多いみたいですよ。」
    「大丈夫です。」

    7:00
    眼が覚める。青年はぐっすり寝付いているようで静かである。毛布もはだけている。

    昨日のリンゴを食べてからトイレに行く。今はどのあたりなのだろうか?芯を捨てる。トイレの穴からは地面が見える。枕木に垂れ流しなのだ。
    なるほど、使ったトイレットペーパーが風で飛んでいくわけだ。
    インド人は右手のコップに水を入れて、左手で肛門を洗う。
    DSC05877.JPG


  • 朝食はイムランが頼んでくれる。薄くて小さなインド風(イギリス風?)食パン2枚と小さなハンバーグ2個。挟んで食べてみる。鶏肉だろうが意外と旨い。この時点で列車は6時間遅れと聞く。
    青年のガイドが、「ダイジョウブデスカ?」などと調子よく声を掛ける。青年は、いかにも日本人らしく口ごもり遠慮しているので、「He wants another blanket!」と言って毛布を持って来させる。お調子ガイドは、夜間客を放置しておきながら、「アナタタチ、ナニカタベマセンカ?」などと調子のいいことを言っている。

    大体このお調子ガイドは、私の下の段だったイムランを替わらせ、もう1人の日本人青年を押し込み、自分の寝台から離してせいせいと寝ている奴なのである。
    Thanks Sorry Pleaseの3語が辞書にないインド人がガイドをやっているのだから、日本人添乗員のようにはいかないだろうが、だからといって客が遠慮していてどうするという気はする。

    体育系に見える青年が言うには、2人とも昨日から下痢で2時間おきにトイレに行っており、脱水症状防止のため水だけ飲んでいるとのこと。
    食後、イムランがチャイを持ってきてくれたので、2人にも勧める。いったん断ったが熱湯殺菌だし、温まるからと言ったら、下の段の青年が「飲もうかな」と言い、2人ともおいしいと言って飲んでいた。生姜がたっぷり入っているから腹下しにも良いのではないかと思う。

    2人が申し込んだ旅行会社は、旅工房。インドの提携旅行会社はバイシャリ・トラベル。
    いろいろな会社が同じようなツアーを組成しているのだ。
    日本とインドの小規模な旅行会社が提携してツアーを企画し、その商品を旅行代理店が販売して手数料を稼ぐ業態なのだろう。
    そういえば、滞印中、見かけた日本人旅行者は2人連ればかりで、3人以上の団体は、家族連れの韓国人、欧州人ツアー、そしてインド人観光客ばかりだった。日本の大手旅行会社の客は全く見かけなかった。

    今にして思えば、成田発のAI307便で窓際の席だったのだが、隣に子供、その隣に母親が座る3座シートで、子供がむずがるので構ってやり仲良くなったのだが、行きの道中からインド人と交わることになってしまったのだ。機内は満席で前後のシート合わせて9人中私以外はインド人。母親が言うには、この子の父親は旅行会社に勤めていたが5年前に独立し、日本で旅行会社を開業したということである。先が楽しみですねと言ったら、どうなんでしょうねえと流暢な日本語で返された。妻としては、会社勤めの方が気が楽なのだろう。





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最終更新日  2013.01.21 20:17:24
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