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サイド自由欄

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トールも製作に関わったオラクルカードです♪
2009年07月06日
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ルキア内の神殿で彼は瞑想に入っていた。寝もせず飲食もせず、ずっと滝行のような状態でもう十日になる。
それは緑の少女をルキアから出さないための結界を作っていたからだった。

結界に関しては免許すらもっている彼女を留めるために、結界そのものの強度でなく、彼女自身の意欲をそぐ方法。
具体的には瞑想によって自分自身の闇にアクセスしてそれを引っ張り出し、閾値ぎりぎりで彼女の部屋、行動範囲が広がってからはルキア全体に流す。
ルキア自体が特殊な次元にあって波動の低さとは相容れないため、自然に打ち消そうとする力と拮抗して微妙なバランスを保たなければならない。
範囲をルキア全体に広げてからは、デセルやララー達、他の住人に影響を出さないため、最後はマリアも隣の部屋で瞑想に入っていた。

技術的な面だけでいえば、十日も不眠不休でなくてもできただろう。
しかし、少女にとって重大な課題である闇を後ろ向きにひっぱるという行為は、トールにとって考えうる限り最大最悪の方法であり、きつい精進潔斎を自分に強いなければ、とても保たなかったのだ。


退院の朝も、トールはそのまま壁際にもたれるように座っていた。
闇とのアクセスを切って結界は解除したが、姿勢を変える気力もない。

元々マリアなどはあまり食べないが、他の方法でエネルギーを補給している。今回はそれも断って潔斎していたので、いくら三次元の肉体はないといっても、十日間寝ずの飲まず食わずでは、普通は持たないのだ。
そのうえルキアとクリロズに、他に二人同時存在させていた。最後はそれももたなくなり、まず三時間ほど前にルキアの一人が消え、一時間前にはクリロズの存在を式神に交代した。完全にエネルギーの限界を超えている。

すると本体がやってきた。

(お疲れさま。そのうえあっちこっちで喧嘩してさ。あんた馬鹿じゃないの?)

自分に対して容赦がないのはお互いさまだ。トールは短い思念の苦笑を送った。まだ心話する気にもなれない。

かすかな思いを読み取って、本体はうなずいた。エネルギーが枯渇しているのは本体も同じだ。なんといっても同じ人なのだから。

(わかってるよ。絶賛枠広げキャンペーン中、ってやつね。
けどさあ・・・・・・緑ちゃんのオペ、ララーちゃんの本体さんのオペ、デセルさんのオペ、またララーちゃんの本体さんのオペがあって、次が結界のための精進潔斎だっけ。
一瞬たりと休んでないじゃん。それじゃ余裕がなくなって当たり前でしょうよ。
私も笑えるくらいフラフラなんですけど。
しかも今日このあとすぐスカイプのセッションなんですけど!)

(余裕があるようなら、まだまだなんだろうよ)

トールは答えた。エネルギーのキャパシティを上げるには、一度完全に使い切らねばならない。

(やっぱり。今回のことは、もっと上からの指示があったんだね。
でもそれでぎりぎりになって緑ちゃん泣かせてたら意味なくない?)

それを聞いてトールは重い息をついた。お互い、それは地雷だ。

(まあ、文句言ったってしょうがないけど。どうせ私もあんたなんだし。じゃあ仕事してくるから)

そして本体は戻っていった。
次に感じたのは緑の少女の気配だった。



退院の朝、少女はまっさきに神殿にいるトールの気配を探した。
マリアやデセルがお祝いを言ってくれたけれど、待ちきれなくなって羽をつかい、上空に飛び上がる。

今度はあらかじめ場所を聞いておいた。
高く舞い上がって、あれが森で、泉で、神殿はあれだな、と見当をつけて降りたつ。
入ってみると、内部はうっすらと虹色をうかべる清浄な光に満ちていた。両脇に柱がたくさんある廊下のようなところで、どこにトールがいるのかわからない。

すると、(三、だ)と心話がきこえた。

少女はその言葉の通り、いち、に、さん、と数えながら前に進む。三歩めを踏み出すと、すっと小さな部屋にでて、そこに壁によりかかるようにして目を閉じたまま長身の男が座っていた。

「トール・・・・・・」

「退院おめでとう」

ベニトアイトの瞳をひらき、トールは微笑んだ。見せないようにしていても、その顔に疲労がうかんでいる。

少女は駆け寄って、まだ光の滝に打たれたままの彼をどうにかしようとした。
とりあえず横になるのを手伝ってみたものの、少女の力ではとても部屋まで運べない。

重い彼の腕をひっぱりながら、そもそも横にならせたこと自体間違いだったんじゃないかと本気で困っていると、トールはくすりと微笑んだ。
つかまれた腕を逆に引いて華奢な身体を抱き寄せ、片手で魔法陣をつくる。
次の瞬間には、二人はもうルキアの部屋のベッドの上にいた。

しばらくそのままでいた少女だったが、ふと疑問がわいた。

(どれが本体? 他のトールは?)

(もちろん、ここにいるのが本体だよ)

(なんで?)

(もし途中で持たなくなって一体ずつ消えていっても、最後に残るのが神殿にいる私でなければ結界がもたないだろう?
・・・・・・もういつでも出られるから、どこへ行ってもいいのだよ)

青灰色の瞳をうっすらと開いて言う。疲れのあまり、彼がもう眠りの淵に立っていることはすぐにわかった。
彼の言葉遣いが、距離感が完全に変わったとも感じたが、それを確認するのもはばかられる。

(ずるいよ。この状態で、じゃあね、バイバイ、なんて言えるわけないじゃん)

(じゃあそばにいておくれ……)

華奢な身体を抱きしめて、トールの瞼が落ちる。ハートチャクラがつながり、暖かな幸せが二人の胸に満ちた。

彼は半分眠りながら、意識の半分で二人のエネルギーを根源に繋いだ。大きな優しい光がまんべんなく注がれる。エネルギー枯渇状態にある自分と本体、そして少女と本体。全体をチャージし、さらに少女の総エネルギー量を上げるつもりだった。

その良き日、ルキアには幸福が花の香りのようにずっと満ちていた。






















*************

>>【銀の月のものがたり】  目次1  ・  目次 2

>> 登場人物紹介(随時更新)


ようやく退院~。
明日の七夕を前にらぶらぶっぷりを晒しておきますw
書くほうもこそばゆいんですがね^^;



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最終更新日  2009年07月06日 12時52分53秒
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